ごちん。
がたん。
トトト。
「はっきり言って、目が離せん」
タッタッタ。
「ぱぱー変なかんじするからとってー!」
「はぁ・・・取ってやりたいのはやまやまなんだが、駄目だ」
「むぅーみえないー」
「・・・我慢しろ。もう少しの辛抱だ」
「うーん」
の左目には、見慣れないものが着いていた。
目を隠す為のモノで、怪我などした時に使う眼帯だ。
どうしてそんなモノを着けているのかと言いうと、良くある麦粒腫・・・一般的には『ものもらい』と呼ばれている病気にかかってしまったのである。
朝、目が覚めたら痛いと泣き出す。突然の事で何がなんだかサッパリだった寝起きの三蔵。
痛みの原因は直ぐわかったのだが、こんな幼い子供に眼帯をつけていいものかと考えた。
片目を覆うのだから極めて危険だろう。しかし薬を塗ってそのまま放置なんぞ以ての外。
苦悩しているとは興味津々とあってか、難なく眼帯を着けたので三蔵の取り越し苦労に終わった。
「ぱぱーお昼寝しっいたぁ!」
「大丈夫か!モロに当たっちまったな・・・痛くねぇから泣くな、」
「うぅ〜い、いたく、なぁい・・・!ひっく・・・ふぇえ〜」
「もうお前は走り回るな・・・。ゆっくり慎重に歩け」
やはり、眼帯と言うのは危険だ。先ほどから数回に渡って色々な箇所をぶつけている。
青痣やら、たんこぶやら・・・見ていて痛々しい。
大人しく座っていればいいのだが、そんなたまではあるまい。
今日は長めに昼寝でもするか、と三蔵はそう結論付けた。
「いたいのー!かゆいよぉー」
「・・・弄くるんじゃねぇ。薬塗るから、大人しくしてろ」
「ぱぱぁー・・・ぐぅ」
「明日になれば治るって医者が言ってたろ?それまでもう暫くの辛抱だ、」
「うん・・・、がんばるー」
「いい子だ」
腫れた瞼は朝と比べて大分マシになってきていた。
早いうちに医者に見てもらいに行ったり、フラフラとおぼつかない足取りの我が子をハラハラしながら見守ったり。
最初こそは強がって見せたものの、あまりの痛さにまた、顔を歪める。
泣かれるのが1番心苦しかった。傷が増えていくのを見るのが辛い。
一刻も早く、治るように三蔵はの瞼に唇をおとした。
「ぱぱ、うつっちゃうよー?」
「移んねぇよ、コレは」
――俺に移っての病気が治るんだったら、喜んで向かい入れてやるよ。
「ほんと?」
「嘘着いてどうする」
「ぱぱは優しいから、うそつくのー」
「そりゃあ、どんな優しさだよ・・・」
「ぱぱは『ぶきよう』だからー」
「――!・・・そんな事、誰から教わったんだ?(大方検討はつくけどな)」
思いも寄らぬ我が娘からの言葉。
純粋な我が子だからこそその言葉は真っ直ぐで、不覚にも直接心に突き刺さった。
己はそんな事を言われるような人間ではない。それなのに。
「はね、ぱぱの事がだいすきだから、なんでもわかっちゃうのー」
泣いているのはこの幼い我が子なのに。
何故だか自分が泣いているような錯覚に陥った。
「だからね、はぱぱのぶんまでないてあげる!」
本当に純粋で、愛おしい我が子。
「・・・そうか、よ」
でも、泣かれる側としては気が気じゃ無いんだと、いつかわかってくれる日が来るだろうか。
涙に暗る
(泣くなよ、この馬鹿娘)
ATOGAKI
花に傷があああ!!笑
今回は眼帯ネタ。否、ものもらいネタでございます。『もの"も"らい』か『もの"わ"らい』か悩んだ挙句、調べてみたところ正式名所が載っていたので採用←
こういうの、よくあります。
ぶっちゃけ管理人はものもらいになった事が無いので痛いのか痒いのかわかりません!←
友達に聞いたことも無かった気がするし、まぁ想像で描かせて頂きました。おかしかったらご指摘よろしくお願いしますです(´∀`;)