「ぱぱー、なんでお風呂にニラを入れるの?」
「ニラじゃない。菖蒲だ」
「しょうぶ…?だれかと勝負するの?」
「そっちじゃない。これはこどもの日に風呂に入れて、節句を祝うんだとよ」
「じゃあわたしのお祝い?」
「そうだ」
「ふーん。だべれるの?」
「これはきたねぇからやめておけ」
ちゃぷちゃぷと菖蒲湯で遊ぶ。それを見て三蔵は複雑な気分だった。
いつまでこうしてお風呂に入ってくれるのだろうか。娘は成長と共に学び、いずれかは父親とお風呂に入ってくれなくなる。
それが親離れの初歩段階だ。娘を見守る父としてそれがどうも、悲しかったり。寂しかったり。
まだまだ幼い年齢だからその心配は無いだろうけれど。
(いづれ…臭いとか、キモイとか、言われるようになるんだろうか)
そんな娘に育てる気はないが、聊か不安なのは致し方ない事であろう。
テレビなどで聞くところによると、そういった子供が増えてるとか。
この男、見かけによらず娘の反応を気にしているようである。
(反抗期が来ないと碌な大人に育たんと言うが…反抗期、か…)
口を利いてくれない時が来るのだろうか。
言葉も暴力的になって、終いには嫌われて。
(それだけはごめんだ)
大丈夫。三蔵が親ならば、口の聞き方云々心配はいらなそうだから。嫌われるかどうかは分らないが。
「ぱぱー、うまく結べないよぉ」
「…貸してみろ」
「ぱぱもへたくそー」
「うるせぇ」
「ぶきっちょだねー」
「…」
千切れてしまった菖蒲はかれこれ十数枚。未だ無事なのは数枚程度だ。
ここは良いところを見せたい三蔵だが、なかなかうまくいかない。
「ぱぱ、しょうぶしようよ」
「俺が勝つ」
「しょうぶだけにしょうぶー」
「……その年で親父ギャグは勘弁してくれ…」
「はっかいはいっつも言ってるよー?」
「・・・・・・・・・」
勘弁、してくれ。
と、三蔵は心底思ったとか。
「ぱぱぁ。もうあがるー」
「分ったから、滑るなよ」
「うん!」
湯船からを出してあげると三蔵もその後に続いた。
とてとてと歩き、お風呂から出る。ドアを開けてあげるとは三蔵を見上げ、微笑んだ。
「タオルはぁ?」
「ここだ」
には少々高い位置に置いてあるタオルを渡し髪を不器用ながらも拭いてあげた。
使っていない部分を使い、は器用に体を拭く。その連係プレーが素晴らしい。
「ぱぱも風邪ひいちゃうよー」
そう言ってタオルを差し出すに愛おしさが募る三蔵。
の髪の毛も拭き終え、ありがたく受け取った。
「早く服を着ろ」
「うん!1人できれるよー」
「偉ぇな。前みたく後ろ前反対に着るなよ」
「もぅしないもん」
「どうだか」
「むー。ぱぱのいじわるぅー」
「早く着ないと風邪引くぞ」
「うん!」
覚束ない手つきで賢明に1人でこなそうと格闘している姿がとても愛くるしい。
見ていて和むその光景に三蔵は知らぬうちに表情が和らいでいた。
あぁ、こうやって一つ一つ覚えて、全部1人で出来るようになるのだろう。
それがまた、悲しい三蔵であった。
一緒にお風呂に入るうちが花なのだから、今のうち娘とのスキンシップとやらを堪能しておきたい。
複雑な親心…父親とはそういうものなのだ。
いろはにほへと
ちりぬるを
(美しく咲き照り映える花々はいつかは散ってしまうものだから)
まぁ入ってくれなくなるのは、当分先の事ではあるがな。
ATOGAKI
花は散ると言うことは、一緒にお風呂に入ってくれなくなると言うこと。
使い方間違ってるwwwwって言うか根本的におかしい。と、思った人は常識人です。(馬鹿にしてんのか)
一緒にお風呂!それに幼女(子供)とつけるとエロくならない不思議!(幼女はアウトwww)管理人の変態度がわかるお話でした。←
ちゃんとお下劣な単語は控えていますが…大丈夫かこれ。(なにがw)今更過ぎますね。ホントどうしようもないなぁこの管理人。
ほのぼのと、一緒にお風呂に入る。微笑ましい光景ですね。
お題配布元:構成物質 様