ね、いっぱいいっぱい頑張ったの。
だからね、ぱぱに見てもらいの。
ちゃんとできたら、褒めてもらいたいのー!
「ではさん、ココの問題解けるかな?」
「は、はい!えと、にいちがに、ににんがし、にさんがろく、にしがはち(以下略)」
「2の段全部言えたな。偉いぞ、さん」
「えへへ〜」
教室内が歓声に満ち溢れ、は静かに席についた。
黒板前ではの担任である焔が特製の九九表プリントを持ち、授業を行う。
クラスメート達は次に指されるかもしれないと言う緊張に少々顔が強張りつつあった。
普段は楽しげな授業も今日は違う。
何を隠そう今日は授業参観の日なのである。
当然後ろには生徒達の保護者が参列しており、その中には一際目立つご一行様も健在だ。
授業開始から一番手に指名されたのはで見事な回答をし、幸先よろしいスタートをきる。
それに黙っていないの保護者達。
「どうだ、この華麗な回答は」
「なんであーたが誇らしげなのヨ」
「みんなで教えた貝がありましたねぇ」
「完璧すぎ!すごいぜー!!」
ただでさえ目立つのに騒ぐな、と言いたい所である。
は最後尾なので真後ろに立つ保護者たちにはにかんだ。
兎に角授業妨害寸前の一行は焔に促され一旦静かになるのであった。
「ゴホン。では次ぎ・・・」
授業参観は1時間目に算数、次に国語、英語、体育と順番に午前中一杯行われる予定だ。
親馬鹿たちは本日休暇を取ってあり、全部参列する気満々での活躍を見逃さないよう見守るらしい。
普段は見れない愛娘の学校での生活をとことん堪能する。
次ぎは国語の時間。
「ではさん、『○○は木から落ちる』 さて、ここには何が入る?」
焔は1時間を有意義に使い、必ず1教科全員答えられる様、巧い具合に調整しつつ授業を進めていた。
そして国語最後の問題。が得意とする簡単な諺である。
コレは八戒に教わったので楽勝だ、と思われていたのだが。
「はい!『悟空』です!!」
やってしまった。
は自信満々に間違えてしまったのである。
コレには先生共に保護者は苦笑。他の生徒たちらは爆笑の嵐であった。
「あっははは。僕の教育の賜物ですねぇ〜」(※4.心静かならず参照)
「貴様八戒!に何を教えてやがんだ!!」
「こんな事教えてたのかよ!よりによってなんで俺!?」
「まぁ・・・ある意味正解だワナ」
そんなハプニングもありつつ、国語の授業は幕を閉じた。
ちゃんと言い直したは、実はワザと・・・だろうね!
お茶目な一面を見せたにコレはコレでいいか、と三蔵はご満悦である。
そんで英語もスムーズにこなしていき、休憩時間での一コマ。
「いやぁ、は日本語も英語も完璧ですねぇ」
「うん!がんばったよ!」
「将来は通訳とか?理数系に強い気がする!」
「いや、それだったらフライアテンダントとかいいでない?」
「ううん、はぱぱのお嫁さんだよー?」
「偉いぞ、」
体育の時間。
2年2組の生徒、保護者一行はグラウンドに出る事になった。
保護者はグラウンドへ一足先に担任と向かい、生徒たちは着替えを済ましグラウンドに整列。
炎天下の中、よくもまぁご苦労なこって。
周りには若い奥様だらけで、の保護者一行は目立つ目立つ。
特に三蔵はその金髪が太陽の光に反射して後光の光を浴びている様に見えたとか。
お陰では直ぐ見つけられたそうな。
「ぱぱー!眩しいよ!」
「・・・・・・そうか」
「ハg」
スパーン!
「誰がハゲだ誰が!」
「猿の頭は小学生以下だな」
「言わなくてよかったです、僕」
そんなこんなで授業の内容は進んでいき、鉄棒の試験をする事になった。
生徒たちは各々緊張と、保護者にいい所を見せようと気合十分だ。
もその中の1人であり、実は鉄棒の事を保護者一行に黙っていたのである。
「鉄棒・・・僕聞いてませんよ?」
「俺もだワ」
「俺も俺も!逆上がりかぁ〜」
「・・・やるじゃねぇか」
はこの日の為、4人に黙って練習してきたのだろう。
それがわかり4人はのサプライズを看届ける事にした。
内緒にしていたは意気揚々と三蔵達に見てもらうため、鉄棒の前に立つ。
「では、さん。頑張れな」
「はい!」
鉄棒を握ったは真剣そのもの。
三蔵に褒めてもらう為、1人でも頑張れるんだと成長した姿を見せたくて。
は足を踏ん張り、勢いつけ堂々と逆上がりをして見せた。
「――!」
その姿は成長を意味するもので、とても。
着地にも成功したはまず先に三蔵の所へ走った。
ちゃんと出来た。成長した所を見てもらえた。
その思いがを突き動かす。
「ぱぱー!できたよ!失敗しないで出来たのー!」
「・・・偉いぞ、よくやった・・・!」
歓声が沸き起こる中、微笑ましくも親子は抱き合うのであった。
「・・・その頑張り、しかと見届けましたよっ・・・グスッ」
「ひっく・・・ちゃん、良く頑張った・・・!」
「〜!すっげーよ!凄すぎだよぉ・・・!ズピッ・・・」
なんだコレ。
きーんこーんかーんこーん
そんなこんなで午前中、大成功を収めた授業参観。
生徒たちは保護者に後ろ髪を引かれつつ別れ、昼食の時間である。
も、鉄棒の事もあってか未だ泣き止まず三蔵に縋りついたまま。
三蔵も愛娘を離すまいと抱きすくめる腕に力をこめた。
「三蔵、が給食を食いっぱぐれてしまいますよ?」
「あーこりゃ駄目だわ・・・親馬鹿に続きファザコン・・・」
「見てて恥ずかしいような微笑ましいような・・・?」
少し離れた場所で見守る3人は聊か呆れ顔。
なんか三蔵のキャラが壊れてきてないか?と口には出せず、ただ呆然と見つめるだけである。
声を掛けるも尽く聞いて貰えず(聞こえてないのだろう)親子愛は発展してゆくのだった。
「ぱぱー!いっぱい練習したんだよ?褒めて褒めてー!」
「あぁ、偉いぞ。お前は俺の誇りだ。自慢できる娘だぞ」
「ぱぱ大好きー!」
「俺もだ」
いや、の成長はとても目を見張るものがあるのでそこら辺は褒めるべき所だろう。
しかしこの濃厚な親子愛に微笑ましいを通り越して嫌気が差してくるのも事実。
家に帰ってからでもいいではないか。でも聞き入れてもらえない。
もう帰っちゃおうかな!と諦め始める3人である。
「ホラ、さーん!給食だから戻ってくるんだぞー!」
「ぱぱー!」
「!」
ぐわしっ!
「なんですかあの抱擁は。三蔵・・・僕達先に帰っちゃいますよ?」
「俺らは俺らで今日のお祝いの準備しねぇとな」
「が好きなご馳走を八戒が作ってー、俺はプレゼント買いに行こっと!」
――からの思いは十分すぎるほど三蔵に伝わった。
だから、そのお返しにたくさん愛そう。
これからも成長を見守る側としては微笑ましい限りなのだから。
「ぱぱあのね、いつまでものぱぱで居てね?」
「当たり前だ。は俺の娘だからな」
「って事は、が三蔵のお嫁さんになると言う夢は無かった事になるんですね」
「ばっか八戒、それを言っちゃあお終ぇだろ!」
「うわー三蔵こっち睨んでる!早く帰ろうぜ!!」
思ひ出回廊
(成長してきた記憶を思い出に残していこう。いつまでも)
ATOGAKI
成長するのを寂しく思っていた三蔵ぱぱですが、花に魅せられて嬉しいようです。笑
いやぁ小学2年生の授業の内容なんて忘れてしまって思い出すのに苦労しましたw
九九はやったと思います。管理人の学校は英語が必ずあったのでそれも取り入れてみました。短縮したけどね。笑
さて、やっと書きたかった授業参観の話でしだが、なんと。ココで三蔵ぱぱシリーズ完結でございます!!(どーん)
いきなりィィィ?!みたいな(笑)
あっははは。嘘です☆←←
なんかこの思ひ出回路のノリが最終回っぽかったんで、つい(貴様って奴はwww)
次の話も決まってますのでご安心を。笑
んで、管理人は考えたのですが、お題本編と番外を分けていつか完結させたいと思っておりますです。
それまでどうか長くなりそうな予感ですがお付き合いしていただけると嬉しいです!では。