三蔵はなんであんなことを言ったんだろう…。
家に出るなとか、あろうことか買出しをかって出てくれるなんて天変地異の前触れかな。
いや、本当は優しいことを知っているんだけどね。
でもさ・・・・・・スーパーに1人で買い物してる姿想像すると笑っちゃうのは私だけではあるまい。
一緒に買い物したことはあるけれど、さ。
ピンポーン
あ、誰か来た!三蔵…にしちゃ早すぎるよね。一体誰だろう。
ガチャ
「ー!遊びにきたよぉ〜v」
「1人じゃ寂しいとおもってねv」
「ってか停学とかマジウケるしー!」
「優等生のレッテルもここまでだね〜」
「幸子…えり…!」
後から聞いた話だけど、2人は私の事を相当心配してたらしい。
これで、なのか…?
そんな失礼なこと言ったら罰当たりだよね。うん。反省。
「さ〜万引きで濡れ衣着せられたって?運が悪いって言うかなんていうか…」
「酷い話だよね。、大丈夫?」
「私は大丈夫だけど…ほら、2人も信じてくれるし、担任も見方だしね」
心配してくれる2人。こんな友達を持ってよかったとは思った。
ホラそこ。着いた早々部屋を物色しない。
「うわ〜コレ海で撮った写真でしょ?すっごい砂のお城〜」
「・・・・・・す、凄いよね!」
えりが何か隠しているような素振りだが深く追求したら駄目だと思う。
それは後程明らかになるのだが、は気付かないことにした。
「ってかさ、知ってる?あの男子生徒ってイジメ受けてるらしいよ?」
「え?それって…」
「先生達も今日それ知ってね、なんか生徒呼び出して話してたみたい」
どうやらが居ない間に事件を解決する糸口が見つかってきたらしい。
先ほどの電話からするとまだ容疑は晴れて居ないらしいが、停学処分は解消なのだ。
もう、自由の身ってワケですね。
「もーお酒買おうとしたらえりに止められるし?なんか面白いことやってよ!」
「よくやったえり。一発芸だって。よろしく」
「無理無理。がやんなさいよ」
氷点下零度の譲り合いが交わされるのだが、何でこうなるのでしょうか。
うふふ。結局はやるんだけどね。
空が完全に真っ暗になったころ。は何か重大なことを忘れつつ、友達2人と大いに盛り上った。
中学の頃の制服やら何処からともなく出てきたコスプレ衣装など交換しながらお披露目したりして。
夕飯の仕度をしなくてはならないのに、今この時を楽しんだ。
「次ぎはーが中学の頃の文化祭で来たメイド服とかどうよ!!」
「どっから出してきた!?私の黒歴史!!でも着ちゃうよ!特別大サービスだ!!」
「ヘアメイクは任せてー!可愛くしちゃる!!」
妙なテンションに身を任せ、着せ替え人形化したは気付かなかった。
まるで地獄の底から上ってくる様な、不気味な足音の存在を。
一歩、また一歩とドアの外から聞こえてくる、足音。
その足音は部屋のドアの前までとうとうやってきた。盛り上がりを見せる声に呆れながらも、ドアノブに手を――
「ジャッジャーン!メイド服〜似合う?似合うー?!」
「わー可愛い〜!!あたしの専用メイドにしたいくらい!!!」
「すんごく似合ってるよ!!もー最高!!」
ガチャリ
「・・・・・・」
「あ・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・お、お帰りなさいませ…ご主人様…なんつってー・・・」
バタン
うふふ。
何か、来た。
とてつもなく、恐ろしい…否、今1番この姿を見られたくない人物が。
鬼、ばっとたいみんぐで襲来。
「ちょ、…!な、なにか、何か見えた!!」
「あっはははっははははは!!気のせいだよ、うん!気のせい!!」
「私には鬼が見えたんだけど、気のせいだよね!!」
「そーだよ!ちょっと私、お茶のお代わり持ってくるから、絶対部屋から出ちゃだめだよ?ね!」
「今出たら確実に恐ろしいものが見えそうだから絶対出ないから安心して!ね!」
閉じられたドア。は大慌てで廊下に走った。
今のは完全に見間違いではない。3人は確信しているものの、認めたくない一心で忘れることにしたのであった。
「なんで…担任?」
「幸子、私たち…何も見てないよ、うん。」
一気に冷静になった2人は部屋に残り、疑問を振り払いのご冥福をお祈りした。
「あ、の…先生・・・・・・?」
直ぐ部屋から出てきたはずなのだが鬼は何故かリビングのソファでいつもの様に寛いでいた。
買い物袋は律儀にもキッチンにおいてある。
は恐る恐る声を掛けたのだが、自分の状況を見て後悔した。
(着替えてくればよかった)
そんな余裕は無かったのだから後の祭り。尊大な態度で煙草をふかす鬼は長い長ーい沈黙の後、口を開いた。
「茶。それと灰皿だ」
「少々お待ちくださいませ…」
「ご主人様、だろ?」
(何プレイ!?)
自分の格好を見下ろして納得は出来るが、ってかできるかぁ!!
部屋でついポロリと発した言葉も含めて、羞恥心が湧き上がってくる。
先生はこんなプレイがお好みなんですねわかります。
引き攣った笑みでお茶の用意と先に灰皿を用意するは何処から如何見てもメイドそのものだ。
「はい…お茶と、灰皿です…」
沈黙が、痛い。
そして自分の格好もかなり、痛い。
これも全部幸子の所為だ。と、責任転嫁したりして自分を保とうと試みるが失敗に終わるのだった。
「あの・・・先生?買い物ありがとうござい、ました」
「先生じゃないだろ。ご主人さ」
「あああああああホント勘弁してくださいいいいいいい!!!!」
「んな格好してるからだろ」
最もなのだが鬼は所詮鬼なのだ。の反応を見て楽しんでいるに違いない。
何処までも鬼畜な三蔵は横目でチラリとの格好を見て、満更でもない…様子?
「変態」
「安心しろ。主従プレイは俺の好みじゃねぇ」
「そーいう問題じゃない!!」
ものすごい恥ずかしさから赤面する。本当に三蔵はその反応を楽しんでいるようにも見て取れた。
何処までも鬼畜です。羞恥心で胸いっぱいのは気付かず頭を抱えのた打ち回るのである。
(いっそのこと殺してぇぇぇ!!)
「ってか、何で部屋に入ってきたりしたんですか!?バレでもしたら…」
「なんだ、あの2人には言ってなかったのか?」
「当ったり前じゃないですか!!私達の人生がかかっているんですよ?!もし先生が解雇処分とかになったら」
「んなの今更だろうが。覚悟の上だ」
「先生…!」
尊大な態度を崩さず、尚且つ平然と言ってのける三蔵に感動する。
覚悟は出来ている。それはも同じだ。
しかしそれを公にする事はリスクが大きくなるだけで、いくら覚悟が出来ていたって極力バレるのは避けたい所。
八戒達は既に知っているが、それを友人2人にぶっちゃけるのは躊躇われるのだ。
(2人に話したいけど三蔵の立場が…それに、禁断、秘密の恋って燃えるじゃん!?)
嘘か本気かわからないが、は秘密を守り抜く事を決意した。
「先生、ご飯食べて行きますか?理由つければ4人で食べれますよー!」
「・・・」
嬉しそうなとは逆に少々悩む様子を見せる三蔵。の手料理は食べたい。しかし他の2人も居るとなっては。
は兎も角、きっと気を使わせてしまうのは目に見えていて。三蔵は渋々辞退することになった。
「そうですか…残念だけどしょうがないですよね。うん。次ぎは絶対一緒に食べようね?」
「あぁ。悪かったな」
「ううん、大丈夫だよ」
大丈夫とは言って居るものの、顔に悲しいと書いてある。相当一緒にご飯が食べられないのが残念なのだろう。
昼食などほぼ毎日一緒なのだが、乙女心とは複雑なものなのである。
そんな沈んでいるを見かねて三蔵はやれやれ、との頭を撫ぜた。
「今度は俺の家で作れ。今日の詫びを兼ねてな」
「いいの?っやったー!約束だからね!」
「あぁ」
「うふふ〜何作ろうかなぁー!」
まさにルンルン気分のは有頂天。ここまで喜ぶとは思いもしなかった三蔵もつられて嬉しくなった。
今日の穴埋めなはずなのに作らせると言う矛盾もあるが。
さて、約束も取り付けた事だし、そろそろ帰らなくては。これ以上2階に居る2人を待たせるワケにもいかない。
「おい、俺の専属メイド」
「ん?なぁ、に・・・・・・っ!」
「じゃあな」
バタン。
お約束?別れ際のキスを交わして三蔵はの家を出た。
「んなああああああああああああああ!!!!」
いつまで経っても慣れないであった。
(いい加減慣れたらどうなんだ・・・)
心情とは裏腹に嬉しい三蔵だが、こうも毎回照れくさい反応をされたらこっちまで恥ずかしく…。
「あら、先生!」
「…こんばんは」
車に乗り込もうとドアを開けたその時、の母親とばったり出くわした。
暗がりで直ぐに気付けなかったが、その正体がわかると一旦車のドアを閉める。
の母親は近寄ると何かを察したのか申し訳なさそうに言った。
「先生…毎回足を運んでもらってすみませんねぇ…」
母親はあくまでも生徒の面倒を見る良い担任と解釈しているのだ。
まさか付き合ってますなんていえるわけが無い三蔵は言葉を選びながら、後ろめたさを押し隠し答えるのである。
「俺はを信じています。その容疑を晴らすまで、色々と話合っとかにゃならんので」
「本当に…娘の為にありがとうございます」
涙ぐむ母親は瞼を押さえ深々と頭を下げた。嘘は言ってないがやはり少々罪悪感がある三蔵。
つられて頭を下げ、思った。
(付き合ってる事実を告白したら、どうなるんだろうか)
秘密の営み
(今はまだ、言えまい)
ATOGAKI
なんか管理人の趣味全開。ホントごめんなさい!!!!_orz
シモい方は持ってこないように今まで我慢してたんですが(オイオイ)ちょっと織り込んでみたり…いや、このサイトは健全です。ご安心ください!←
えと、今回は一気に上げるつもりが遅くなってしまった4.5話でした。遅くなって申し訳ないです。
またもやオリキャラがでしゃばってしまったんですが、最後に甘をちょろちょろっと取り入れてみました。はっはっは。←
管理人も慣れません!!どーしましょ!!(おいおいおい)
では、次回は2日ぶりの登校篇と言う事で、後半戦スタートであります。