暇だ。休日以外は学校に通っているから、行かないとなるとこうも暇になるものなんですね。

身をもって知りました。私もとうとう問題児ですかそうですか。


「アンタって子は…お母さん信じてるからね!」

「ありがとうママーン!」

「じゃあ洗濯物干して洗い物やっておいてちょうだいよ。お母さん仕事だから」

「ですよねー!いってらっしゃいませお母様ぁ!」


仕事に行っていたのを呼び出されたお母さんは、心身ともに傷ついている娘を労わる様子もなく、元気に再出勤していった。

これが我が家の様子です。母子家庭だからお母さんに迷惑をかけちゃったのはとっても辛い。

が、容赦ない言葉に悲しむがここに居ます。ははは。



「これのどこか心身ともに傷ついてるって?全然元気じゃねぇか」



「ぬわっ!せ、先生…なんでいつも突然現れるんですか!」


「玄関でばったりお前の母親に会った」


「左様ですか…」



それは良いけれど。背後に立つのは勘弁してください。
























外は晴れ。私の心の中も晴れ…なんて言えないけど元気なのは確かです。
なんてったって私には強力な味方が居るもんね!これも普段の行いがいいからさ!
と言ったら遅刻以外はな、とお叱りを受けました。無念。



























「先生は、何ゆえ我に会いに来たのですか。もしかして私が学校に居ないから寂しかっ」


「んなわけあるか」


「ですよねー!授業はどうしたんですか?」


「この時間帯は受け持ちの授業が無い」


前の突然の家庭訪問と同じく尊大な態度で座る担任は、だされた(ださせた)お茶を啜りながらとてもリラックスしていた。
かってしったる他人の家とはこの事か。寛ぐ担任を横目にはなんかもう諦めた表情で向かいの席に座った。


「そんな事より、三蔵だ」

「はい、三蔵」

「…学習しろ」


と言われても、学校の癖はなかなか抜けない。まぁ学校で間違えるよりはマシだが。
大人しく従うは戸惑い半分、嬉しさ満点で表情をほころばせる。


「ねぇ三蔵。昨日のお金なんだけど…」

「返さなくて良い。どれより課題をしろ課題を」

「ですよねー!」

「停学中の課題もちゃんとやっておけよ。金返したからって減らねぇからな」

「ちぇー。少しくらいいいじゃないですかー。もとあといえば停学だって私の所為じゃないのに…」

「仕方ねぇだろ。今はまだ、容疑が晴れたわけじゃねぇ。形だけでもやっておけ」

「はーい…」


作戦失敗。我ながらにせこい事をする、と思うが理不尽な停学処分なのだ。少しくらい優しくだね。
お母さんも、担任も。容赦がない。
でも、全部裏返してみれば信用から来るものなのだ。
微塵も疑って居ないからこそ、気を使わない。普段どおりの対応に嬉しかったりする。


「あいつ等は密かに原因を探っている。お前も何かあったら全部言え」

「私だけ休んでいて良いのかな…」

「お前に動かれたらややこしくなるだろうが」

「それもそうですけど」


後ろめたい気持ちは大いにある。が、三蔵の言い分も最もだ。
事態をややこしくしないように、大人しくしているほか無いのである。


「お前はお前に出来ることだけを考えろ。焦っても容疑は晴れん」


優しさからくる厳しさ。それがどんなにの心を支えてくれるのか、十分にわかっている。
頭を撫ぜる暖かい掌も、傷ついた心にはとてもありがたかった。


「あの子が言った事を全部私に置き換えれば、多分それが全てです」

「万引きの瞬間を抑えて、逆に叫ばれたってワケか」

「そうです。私は…別に先生に突き出そうと思っていませんでした。見逃してあげようと」

「甘ぇ…それで無実の罪を着せられてんなら世話ねぇな」

「あっははは。どっちにしろ叫ばれていましたよ」

「先手必勝ってか。胸糞悪ぃ」


沸々と湧き上がってくる怒り。ぶつける相手が居ない今は抑えることしかできない。
なんと言うか、見逃してやると言ったにも関わらず恩を仇で返すような男子生徒の行動に腹が立つ。
犯罪を見逃すのもどうかと思うがそれとこれは別らしい。


「兎に角、学校の事はこっちに任せろ」

「はい…ありがとうございます」

「絶対に謝るなよ。お前が悪いワケじゃねぇんだ。見逃そうとしたことはいただけないが」


優しさは返ってその子にはよくない事でもある。だがどっちにしろこうなる運命ならば、既に関係ない。


「私、絶対に負けませんよ!」

「ふん。上等だ」

「泣き寝入りは御免ですv」

「じゃあその心意気を持ってお前は課題をやれ。やらなかったら負けだと思えよ」

「んなぁ!そりゃないぜ先生ー」

「三蔵だ。何度言わせれば気がすむんだ馬鹿娘」

「私だって…!馬鹿娘じゃなくてです!」

「んなこたぁ知ってんだよ」


全部、勇気に変える。支えてくれる人が居るから。
は決意を新たに、まずは課題をこなすことにしたのである。


「じゃあな。また来る」

「ちゃんと自分の職務を全うしてくださいよ?」

「お前と違って俺は器用なんでな。要らん心配だ」

「むきー!悔しいなぁなんか!」

「頭の出来がちげぇんだよ。残念だったな」


そろそろ時間だと席をたった三蔵を見送る為玄関まで見送る。
口では、いや、何に対しても勝てる気がしない三蔵の完璧さに悔しがるが、そんな彼が己の彼氏だと思うとちょっと誇らしかったり。

そんな事を内心思っていると、不意に近づく気配。
確認する間もなく、唇に触れる温もり。なんなのか理解するとは一気に赤面した。


「なっ…」


「課題、やっておけよ。」


バタン。

何も言えないまま、無情にも玄関の扉が閉まる。
それと共にはその場にへたり込んだのであった。


「なぁぁぁぁぁあああ!!!!」


































「近所迷惑だ…あの馬鹿」


初心な反応ありがとうございました。そしてご馳走様。

三蔵は閉まってでも聞こえる絶叫を背に、車に乗り込んだ。
聊か長居をしてしまった様で、次の授業まで時間が無い。
毎回に遅刻を叱る側が遅刻してれば世話ねぇぜ。


「あんな赤面したら、こっちまで恥ずかしくなるじゃねぇか…」


赤くなった耳に気付かず、三蔵は車を走らせた。あぁ、本当に時間がヤバイ。
制限速度なんてこの金髪には無意味な物になってしまうんですよ。


「そういや…今朝…」


三蔵はふと思い出す。それは今朝の事。何か言い忘れていた気がする。


「あぁ、そういや…」


今朝、の停学処分が言い渡され、それを伝えた三蔵。
そうすると、次々から湧き上がる生徒達の声。

『ちょっと先生!なんでが停学なのよ!』
『そうです!が万引きなんてしません!』

三蔵は内容まで教えて居ない。完結に停学になったとしか伝えてないのだが。
しかし噂は広がっていてきっと全校生徒は知っている様だ。
それでもこの三蔵が受け持つクラスの全員は、疑いもなく、むしろ反論した。

『そんなことはわかっている。形だけだ』

『それなら良いけど…今日の家に行こう、えり』

『そうだね。濡れ衣着せられて、可哀想だよ…』

『そうしてやれ。1人じゃ退屈だろうしな』

いい仲間にめぐり合えた。それはきっと自身の人柄から来く物なのだろう。
三蔵はそれが妙に、誇らしかったり。口には出さないが心の中で自慢の彼女だと惚気るのであった。(幸せ者ー!)



そんなこんなであの2人が来ると伝え損ねた三蔵。


「まぁ言わなくとも…サプライズだサプライズ」


伝えてくれと頼まれたワケではないので気にし無い事にした。

























ただ会いたかった

(元気そうで、一先ず安心)













ATOGAKI
今更ですが、2年の夏の後です。(夏季篇後の舞台ね)
どうやら管理人は鬼になりきれなかった様だ。全校生徒を敵に回すなど…出来るはずがない!
と言う考えから来た生徒の様子。いい仲間に恵まれたね。よかったヒロイン!←
しかし、執拗に課題にこだわる三蔵。一応曲がりなりにも先生ですからv
ここらへんの鬼畜っぷりは最大限に発揮されたようです。いらんがな!笑

甘さを…管理人にとっては最大限の甘さを…入れた…んだ、がっ…!orzこれが限界だぁぁぁあっぁぁ!!ごめんなさあああい!

次回、本題をちょっと外れて友人2人(多分)の訪問の話中心になると予想。間幕みたいな。