7月最後の日

私は今、慣れない早起きをして最終チェックを済ませ駅に急ぎ足で向かっているところです!

アレだよね!前々から準備してたんだけど当日になってアレが足りない、とか出てくるんだよね!

私だけではないと信じてるから!絶対ね!

もーなんでよりによって駅が遠いのかな!学校行くより遠いよコンチクショー!

キャリーケース(小)は重いし、もう災難だ。お母さん…車の免許とってくださいよ。

現在8:30。約束の時間まで30分ですか。そうですか。今しがた家から出たところなのであと40分はかかりそうです。

…面目ない。

多分、何も持っていなくて全力疾走すれば間に合うだろう。が。今はキャリーがある。絶体絶命!

もう幸子は分ってるよね!私が遅刻するってさ!だから余裕がある時間に設定したんでしょ?そうだと思いたい!

カミサマでも仏サマでも良いから今だけにお力をください。もう、ヤバイ…



「乗せてやらんでもない」


「カミサマァァァァァ!!!ってなんだ鬼か」


「…じゃあな」


「すみませんでしたぁぁぁぁ!!!!!!」



そんなこんなで、偶々通りかかったと言う担任、玄奘三蔵先生の車に乗せてもらい、遅刻は免れたのであった。

助席は前回言ったとおり、私の指定席です。誰にも譲りませんよー!


「先生、ありがとうございます…ホント助かりました!」

「はぁ…遊びのときだけ遅刻しないのはいけ好かんが貴様には無縁の話だったな」

「うへへー」

「少しは反省しろ馬鹿娘」

「すみません…」

「…ったく。で?西口か東口かどっちだ」

「…西口でっす!」



アレから。なんでこんなに普通に接すれるかって?
それはですね、夏休みの補習と言うものは、夏休みに入って直ぐにあったんですよ。
だから、あの放課後の一件以来私は正直どう接すれば良いのか分らなかったんです。
しかしこの鬼教師は自分だけそ知らぬ顔していけしゃあしゃあと接してきやがりましてですねぇ…。

まぁ、これは先生なりの優しさなのかも知れない。と、思ったのもつかぬ間。


『俺の顔見て今更見惚れてんじゃねぇよ。』


煽ってきやがりました!あの教師、自分がした行いをこれ見よがしに煽ってきたんだよ!
しかも補習受けてる生徒の目の前で!もう恥ずかしくて教室飛び出したかったよ!
なんなのさ!?一体!あの鬼教師は何を企んでいるのかね!!小一時間問い詰めてやりたい衝動に刈られたさ!
このままでは苛立ちだけが私の中を支配しようとしていたんです、が。
その後、何故か八戒先生がこっそり耳打ちしてくれたんです。


『三蔵は、アレでも相当頭の中が混乱しているんですよ』


自分でやっておいて変なところで素直ですよねぇ〜なんて言いながら八戒先生は笑顔を携え去っていきました。

なるほど。普段はあんな台詞言わないもんね。
そうかそうか。アレでパニクッて居るのか。ならば、と。私は溜まりに溜まった鬱憤を晴らすため、先生をおちょくることにしたんです。


『先生ー!今日の居残りは無いんですかー?』


『っ!?……貴様…っ!』


『(耳、赤いですよー!)はっはっは!』


これで私の鬱憤は無くなった。なんか、やってやったぞって感じ!
でも先生は1枚も2枚も上手でした。無念!


『そうか…はそんなに居残りをしたいか。お望み通り、貴様は居残り決定だ。逃げたら承知しねぇぞ!』

『マジ…っすか…?』

『貴様が望んだ事だろうが。ざまぁみろ』

『職権乱用反対!』

『俺は生徒の為に態々要望を聞いてやってんだ。むしろお前が俺に感謝しろ』

『やられた…!!』

『(ニタリ)』


あんな、微笑みは、天然記念物の何でもありません!むしろトラウマ決定の代物です!!!


それからと言うもののこのお泊り合コンの前、3日ほどこんな感じでやってきたものですから気まずいなんて空気はとっくに消えました。
ちゃんと居残りはしましたよ。えぇそれは想像の絶するほどの課題の量を付属品としてね。むしろそっちがメインだよ。
あれも先生なりの照れ隠しなのかもしれない。ってか、今更だけどなんで八戒先生は、その…知っているのだろうか。


「気にするな。死ぬぞ」

「嘘じゃないと分るから余計に怖いです…」


恐るべし、八戒。










そして。ただの世間話みたいな会話をしていたら駅に着いたようだ。
場所はいくら早く来過ぎたからって近い所に停められるワケが無い。見られたら…それを考えることさえも躊躇われる。

「先生、ありがとうございました!今日も学校ですか?先生は大変ですねー!」

「行きたくもねぇ所に行く貴様よりはマシだ」

「うるせぇやい!」


は自分がちゃんと笑えているか、心配だった。
実は言うと、放課後の一件の事は未だに頭が着いていけないでいたからだ。
それにアレから有耶無耶になって、真実かどうかさえも分らないから。


(アレは どういう 意味? 教えてよ、先生)


「ったく…そんな無理して笑うな。掻っ攫うぞ」

「え?」

「このまま貴様を連れて、」

「先生…?」


三蔵の手がの頬に伸びる。
その手つきはまるで大事な物を触るかのように優しく、暖かい。


「……彼氏なんぞ作ってきたら、俺が許さん」

「先生は、私の父親ですか」


「ちげぇよ。貴様の、彼氏だ」


「…二股はお嫌いですか?」

「胸糞悪ぃな。特に、好きな女がするのだけは我慢ならん」

「私も、浮気する彼氏なんて大っ嫌いですよ」

「お互いにしなきゃいい話だ。する理由もねぇしな」

「ですよねー!じゃあさ先生、彼氏が居るのに合コンに行く彼女をお許しください。浮気じゃないからね!」

「当たり前だ。したら引っ叩く所の話じゃすまねぇからな」

「おー怖い怖い。じゃあ行ってきます!」

「あぁ」



車を降りたは、一度も振り返る事無く目的の場所へと歩いていった。
三蔵もまた、一度も見ることも無く車を発進させる。


「素直に帰りを待っていると思うなよ…」


なにやら不穏な空気を纏わせ、三蔵は己が出勤する学園へと向かう。
一体、何を考えているのだろうかこの鬼教師。纏う空気までも鬼になりかけているぞ。


「決行は…明日、か」


さて、三蔵は一体何を企んで居るのでしょうか。答えは後程。


















「あっれー?にしては珍しいじゃん!一番乗り?」

「そうみたいだね!」

「なんか機嫌良いし?そんなに彼氏が欲しいのかよっ!」

「(アンタじゃあるまいし…)久し振りの海だからね〜」

「答えになってないし!」


三蔵と別れて数分後、集合時間ちょっと前に幸子が現れた。そしてが既に居ることに心底驚いているようだ。
そして約束の時間ジャストにえりも到着。さぁ、海へ旅立とう。


「もーいきなり言うんだからさ。私碌な準備できなかったよ〜」

「えりも押し切られた口でしょ」

「幸子強引だからねぇ」

「しかもあの嬉しそうな笑顔…断れないよね」

「何々?何の話?!」

「「いや、海が楽しみだなーって話をしていただけだよ」」

「海!と言えば焼く!それに限るっしょ!」

「「そうだねー!」」


君ら、電車内で騒ぐのはやめましょう。


「あーもー彼氏欲しいー」

「私はいらん」

「なんで?もう居るの!?」

「黙秘権を使います」

「ずるい!」

「はっはっは」


時間が経つと、山々の合間から海が垣間見れた。
夏の海と言うものは何故こんなにも胸躍るのだろうね。


(出来れば…先生と)


まだ、夏休みは始まったばかりだ。


(まぁ補習はいっぱいあるからね。嫌っちゅうほど会えますがな)


は車窓から見える海を眺め、若干遠くに居る恋人同士になりたての彼に想い馳せた。








+++







波の歌声。賑わう人々。潮風の匂い。ウミネコの鳴き声。漁船の音。そして何よりこの暑さ。
たちは数時間かけて今回の目的地、海に着いた。駅を降りたら直ぐそこに海が見えて開放感に溢れている。

そして海の空気を思う存分味わう事無く早速幸子が相手の野郎を探しに駆け出した。

「ちょ、幸子!」

「走ったら危ないよー!」

とえりの静止の声を振り切り、幸子の姿は人混みに紛れ見えなくなってしまう。
現地について早々はぐれちゃいますか迷子ですか。
慌てた2人はなんとか幸子を探し出すと、そこに居た見知らぬ野郎3人を見てこれがアレか、と認識したのであった。

「っちわっす!今日から3日間よろしくっす!!」「よろしく」「楽しもうぜ!」

「です」「えりです」「幸子でぇっすv」

若干女子約2名冷めている様子だが野郎共は幸子属性らしい。まぁ。予想はしていましたけどね!
ココではなんだと、一先ず泊まるホテルに行こうと言うことになりお泊り合コンの一行は宿泊先へと向かった。

部屋は3人一緒で男女に別れてある。あとの説明はめんどくさいので省略。

そして時刻は夕方になり、夕食の時間になった。
さて、これからが合コンの本番です。みなさん、やる気の無い女子2名も含めて気合入れて望みましょう。

「私が王様みたいだね(極限にめんどくせぇぇぇぇ!)4番と6番が抱き合うー!」
「その番号俺たち!しかも男同士なんてちゃんひでぇよーv」
「わーご愁傷様ー!(私もそんなのみたくなかった☆)」
「ー飲んで飲んで〜」
「(私たちまだ高校生だって…)私弱いからー!」
「い〜からい〜から〜」
「(酒くさ!)はいはい、幸子にあげるよ〜!ホレ、なーに持ってんの!なーにもってんの!」
「飲みたいーかぁら持ってんの!」
「なら、飲ーんで飲んで飲んで(以下略)」

以上の会話で分るとおり、主催者幸子は泥酔。しかもまだ高校生と言うね!なにやってんのかな!
そしてえりはと言うとお酒の匂いで酔ってしまったらしい。テラスに出て外の空気を吸っているようだ。ってか弱いな!
そんで肝心のはと言うと、野郎共+幸子の酔っ払い相手をしていた。えりが恨めしいです!
もう王様ゲームとかやけくそだ。本音を隠して建前だけを並べるはまさに神ですありがとうございました。

実は言うとこの合コンでは、女子3人は20才と年を誤魔化して参加していた。
野郎共はきっと20歳が実年齢だろう。免許証を見せびらかしてきた。にとってはちょいと悔しい事である。

(私もテラスに行っていいかな!いいよね!周りは酔っ払いだけだ!)

4人の目を盗んではテラスへと駆け出した。もう死に物狂いである。

「あ、!ごめんね?1人で任しちゃって…」
「いいよー。私も匂いで酔っちゃったみたいだからちょっと風に当たりに行って来るね。えりは先に戻ってて〜」
「うん。気をつけてね!」

えりと変わりばんこにテラスに出るとそこに見える景色は絶景。
波が岩を削る音、闇夜に浮かんだ月、それが海に反射して幻想的な景色が作り出されていた。

(先生にも…みせてあげたいな)

海はポケットから携帯を取り出すとカメラを起動させ、素早くシャッターをきる。

(この景色が消える前に、見せてあげたいから…送信、と)


宛先:金髪鬼教師
件名:絶景かな
本文:ホテルのテラスから。先生にもこの感動をおすそ分け!


我ながらに羞恥心を煽る台詞だと自負する。しかし本当に感動を分けてあげたい。むしろ分かちあいたい!と言う気持ちの方が大きいみたいだ。
返信が待ち遠しい。待ちきれないよ。

〜♪〜〜♪

「うそっ!着信だ!」

めんどくさがりな彼だからそこのものであることは明白で。
は飛び出しそうな勢いの心臓を落ち着かせながら通話ボタンを押した。


『貴様の携帯は画質が悪い』

「ちょ、第一声にそれですか!酷いですね!!」

『うるせぇ。で、用件はアレだけか?』

「…そうですケド」

『貴様…』

「あ、もしかして『寂しい〜』なんて言葉待ってました?いやぁそんなお恥ずかしい、」

『寝言は寝て言え』

「ですよねー!もう幸子はテンションおかしいし、野郎共は酔っ払ってるしで大変ですよー」

『まさか…貴様も酔っているなんてことねぇよな?』

「まっさか!身長伸びなくなるのは嫌ですからね。飲みません!」

『秋菜にも言って置けよ。飲んだらぶっ殺す』

「……あっはは」

『手遅れか。ったく…しょうもねぇ奴だな』

「えりは大丈夫ですよ?」

『黒野は多分お前らの中では1番しっかりしてんだろ。心配する必要はねぇな』

「あれー?先生私は!?」

『貴様は目が離せない程の馬鹿娘だ』

「ひどいですってばー!この鬼畜鬼教師!!」

『帰って来たら何をしてやろうか…』

「すみませんでしたほんとかんべんしてください!!!!!」

『精々楽しみにしてるんだな』




(あ、絶対今、笑った)




「やっぱり先生、会いたいよ…」

『なんだいきなり』

「だってさ。今先生の目の前に私が居たら、表情が見えたでしょ。あの天然記念物並みの綺麗な笑顔が」

『何言ってやがんだ貴様は…』

「ホント、何言ってるんでしょうね。あまりにも海が綺麗で、反射するお月様の色が先生の金髪にダブって見えるから」

『それは偽ものだ』

「それくらい知ってますよー!」

『たった数日だ。我慢できんほどガキじゃねぇだろ』

「先生は。先生は会いたくない?私に」

『さぁ、な』

「あはは…先生素直じゃないですねぇ!」

『お前もな』

「反論できないから悔しいです」

『ふん。俺に勝とうなんざ100年はやいんだよ』

「仰る通りでございます」

『…そろそろ部屋に戻ったらどうだ。海辺は夏でも寒くなるからな』

「うん。ありがとうございます」

『秋菜を悲しませたくねぇんだろ?風邪なんぞ引いたら台無しじゃねぇか』

「ですよねー!」

『夏休みだからって寝すぎんなよ。この馬鹿娘』

「それは無理です!」

『はっきり言いやがって…じゃあな』

「…うん。おやすみなさい。先、生…?」

『俺の名前はそんなんじゃねぇよ』

「意地悪だっ…!」

「ふん。また明日だ」

「うん、また明日ね、ってえぇぇぇぇ?!」


ツーツーツー。


「いや、明日もまだココだしあえないし?なんで、どうゆこと?先生ってばまだ頭の中混乱してるの?そんな馬鹿な!」


虚しく響くは携帯の通話終了を知らせる音。そして波。室内からは騒がしい声。
はわけの分らないまま、担任に言われた通りに室内へと入った。
そしてそこで見た光景とは。できれば見なかったことにして部屋に戻りたいと思わせる程荒んだ光景であった。

(せんせ…三、蔵。私は当分寝れないみたいです。そしていつもの如く、寝すぎます)

電話では呼べなかった担任の名前を心の中で戸惑いながらも呼んだ。

(早く、直接口で伝えたいよ)

ついさっき会話したばかりの三蔵に想い馳せて、は目の前に広がる光景に脱力すのだった。あぁ、哀れ。


「えり…野郎共はどうする?運ぶの嫌なんだけど」

「私も嫌だ〜そのまま放置でいいんじゃないかなぁ」

「いい提案だ。よし。放っておこう」

「私たち、極悪非道だね」

「こんなんで極悪非道だったら私等の担任はどーなんのさ」

「鬼…」

「正解」


こんな事本人の目の前で言ったら絶対にハリセンの餌食になりかねない。と、2人は顔を見合わせて盛大に笑いあった。
夏休み、青春の1ページ。これが、青春だと言うのか。

と、笑うあう2人の間にあまり酔っていなかったらしい野郎1人が来た。


「あのさ…俺、ちゃんに用があるんだけど…」

「じゃあ私は先に行ってるね!ごゆっくり〜」

「ちょ、えり足はやい…!」


一瞬の内に2人きりにされたは心底ため息を吐きたい衝動に駆られたがココは我慢だ。
一体なんなのだろう。男はほのかに酒の所為だけではなさそうな赤みを帯びていて目がとても真剣だった。
いやな予感。


「俺さ…ちゃんの事が」


やっぱりか!


「もしかしてカメラ回ってない!?他の野郎実はおきてるなんて事…!酒の肴にはなりたくないんだからね!」


思い出したくも無い記憶が甦ってきては反射的に辺りを見渡した。
言わなくても分るだろう…今回ばかりはドッキリでもなんでもない。
の奇怪な行動に目が点の男。ちょっとひいてる様だ。


「…ちゃん?」

「あっはは!なーんてね。私酔っ払いの戯言聞く暇なんて持ち合わせてないから。おやすみ」

「う、ん…」


さてさて。の本音はいずこへ。


(まだ、三蔵に言われてない言葉を他の野郎から聞きたくない)


恋する乙女とは、複雑なものなのです。




























夏季<後の上

(実った恋。言葉はイラナイなんてただの強がりだ)

















ATOGAKI
うん。酔っ払いのテンションなら任せてよ!管理人の周りはカオスばっかりだから(なんぞwwwww)

そんなこんなでいきなり恋人同士になってしまいました、ヒロインと三蔵サマ。あっれー?ノリでくっつけちゃったよ。
会話だけが目立ちます。ホントすみません。何かに焦っていた感じです…。
なんか、前中後構成にするって最初に決めちゃってでも書きたいことがイッパイありすぎてまとまらなくなってetc…。
1話分の量も統一しなきゃいけないし。そんな葛藤が私にもありました。笑
今はもうアレさ!<後の上>とかwwwwwなんか増えたwwwwwwwwww
なんでもやっちゃう管理人でサーセンwwwww

あとは、うーん。日記でも言っていたように、メモったネタのお披露目です。『電話する』です。
甘く切ない(笑)を目指しました。あうあう、会話だけってホント手が早くなるんだけどw内容はちゃらんぽらんwwww
まぁ、そんな感じで、次回もよろしくおねがいします_orz