7月下旬前中旬寄り


盛夏の候と言われる夏真っ盛りの平日。生徒達はそろって暑さに耐えながら登校する。

私も其の中の1人だ。まぁ、周りには登校する生徒なんて居ないんだけどね。

なんでかって?そりゃーあーた。アレですよ。いつもの、アレ。


遅刻です!はっはっは!


こんな態度担任の前では出来ないけどさ、遅刻した理由はちゃんとあるんだからね!


「まさか…テストの結果が気になって寝れなかったなんて…こういう言い訳は通用するかな?」


テストの〜なんて、大嘘です。



「ほう…俺にそんな嘘が通用すると思っていたのか」


お約束です。どうしてこうも予想通り出てくるのかな。え?もうココ教室ですか!?


「と言うワケで、寝坊しました!理由は特にありません!」


スッパーン…!


「痛っ…」

「胸を張って言うな!この馬鹿娘ぇ!!」

「ですよねー!」









時刻は、終業式なんてとっくのとうに過ぎ、緊張のテスト返しをする直前。
は冒頭の通りハリセンを受け、自席に大人しく座った。
また放課後の居残りを言い渡されたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

そう。運命のテスト返しが今まさに始まろうとしているからである。

普段は賑やかだが、しかし成績が悪いわけではないが居るクラス。
誰も緊張などしてなく、それよりも今日から夏休みだと言う事で浮かれている様子だ。
そんな中を取り残されたは緊張しかない。遅刻して何処が、といいたくなるのは分ってますって。

三蔵はポーカーフェイスを崩す事無く淡々とテストを返している。これでは満点とったのかそうではないのかには分る筈も無い。
いつもの態度で目の前の教卓の前に居る担任はとっても普通だ。普通すぎて逆に怖いほど。


「次ぎ、秋菜」

「はぁ〜い」


このギャル真っ盛りのちょっと時代遅れでもない気がしない秋菜幸子。彼女も見てくれはあぁだが頭は良いほうである。
そんな事は置いておいて、次はの番だ。どうしよう。気ばかりが焦って混乱してきた。
満点取れなかったら…。考えるのもおぞましい。取れないとは思って居ないと大口叩いていたわりには情けないのである。

そして、とうとうの番が来た。


「次ぎ…」


目の前に居るのにも関わらず律儀に席を立って受け取りに行ったは担任から答案用紙を受け取った。
そこで目が合う2人。なんだ、この、沈黙は。


「もしかして…そんな…」


顔面蒼白になっていくを他所に答案用紙を受け取って歓喜の声をあげている生徒達。
しかし黒板前の2人の様子に何事かと視線を向けた。
あまりにも長い、沈黙。見詰め合う2人。なんだ、なんなんだ一体。


「…」

「うっ……」



「満点だ」



「マジっすかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「チッ…夏休みは好きにしろ。次ぎ、黒野」



は嬉しさに涙がこみ上げてきた。そして不可解な行動。もう教室から駆け出しそうな勢いである。
そのまま隣のクラスの八戒に報告に行きそうなに一喝する三蔵。
モチロン、クラスメート達は何がなんだかさっぱりである。


「言い忘れていたが、今回の数学で満点がでた。だ」


マジかよー!
俺なんて平均ギリギリが良いところだぜー?
すごーい!


などなど。このクラスは盛り上がるときには盛り上がる、とっても素直なクラスであった。
思い出したくない思い出だが、入学当初のイケメンに呼び出された時も大いに盛り上がった。
真実を知っても、盛り上がったのだが。

そんな事はさておき、一喝を喰らったはこれまた大人しく自席に着席した。
ふるふるとこみ上げてくる喜び。ただ純粋に、あの数学で満点を取ったことが嬉しかったのだ。

『もちろん俺も手加減はしねぇぞ』

手加減無しの担任の本気に勝てた気がして、とっても嬉しかった。


「これで文句は言わせない!言えないでしょ!」


「、これも言い忘れていたが夏休みの補修は受けるように」


「ですよねー!!!!」





担任は甘くは無かった。やはり鬼の化身だけある。



























「ねー!満点おめでとー!あたし平均ギリだったんだけど〜」

「でも結構良い点じゃーん」

「でっしょー?もう先生ってホント容赦ないよねぇ〜」

「ホントホント。私応用苦手なんだけどね」

「でも今回はがんばったじゃん!」

「まぁ、ね…」

1時間目終業式、2時間目テスト返し、そして現在3時間目。
この時間は最初に夏休みの事について担任から説明やら注意事項が書かれたしおりを朗読させられ(担任自身はなんの説明もしませんでした)
今は自由な時間にして良いとのお許しを得た時間である。

そしてここぞとばかりにに話しかけてきた幸子。ちなみにの席に来たので教卓の所に座る三蔵には丸聞こえだ。
別に後ろめたい話では無いが先日の一件がある。だからはちょっと居心地悪そうだ。
一方三蔵は気だるげに横を向いて窓の外を眺めていた。もちろん聴覚は全身全霊を持ってと幸子の会話に傾けている。

「あのねぇ、昨日決まったんだけどー計画はー」

幸子によると日時は7月と8月を跨いだ3日間。集合場所は朝の9時駅前集合。そんで現地で相手の野郎と落ち合う予定らしい。
他に女子は1人。たちとあわせて3人。相手も3人で合コンだ、わーい。みたいな。
盛り上がってるのは幸子だけなのだがもそれなりに合わせることにしたのであった。はっはっは。

「何処に止まりに行くのさ?」

「んーとねー何処だっけかなぁ…軽井沢?それか九十九里だった気がするんだけどなー」

「ハッキリせい」

「確かーあ、そうだ!軽井沢だよ!」

「(最初ので合ってたワケね)そーなんだ。避暑には最適だね」

「でも海で泳ぎまくるからぁ、日焼け止めは必須っしょ!まぁあたしは焼くけどね!」

「ガン黒…(ボソリ)」

「みっちり焼いちゃえよ!絶対幸子には合ってるから(なんか聞こえた…空耳…?)」

「でっしょー?!後のメンバーは、えりだから!」

「マジでー。急に誘ったわけ?」

「うん。昨日ね!」

「(迷惑過ぎるだろ)そっかー楽しみだね!」

「もーあたしめっちゃ気合いれてんだぁー!今年の夏には彼氏作るよー!」

「がんばれー」


こんな感じで3時間目は終わった。ちなみにが聞こえた囁きは空耳ではない。思わず口を滑らした担任である。

いきなりだが説明しよう。幸子が言っていた『えり』とは、がテストの振り替え休日で一緒に遊んだ友達である。
こんな所でまさか登場するとは思わなかったのはとて同じである。のである。



そんなこんなで、放課後。いつもの如く、教卓には担任、そしてその目の前の自席に座るだ。
大会が近い運動部は練習していて、声を聞くだけでもとても暑苦しい。しかしこれが青春なのである。どちらかと言うと眩しい。


「あーもう無理ですホントごめんなさいだよ幸子コノヤロー」

「確かにあれじゃ断れねぇな」

「ですよねー!ってか先生ボソリと言うのやめて下さいよ。思わず吹きそうになったじゃないですか!」

「何のことだ」

「しらばっくれちゃってさ!しかもアレは死語ですよ!」

「知らんな」

「んの鬼教師ー!」

「貴様…」

「先生のバーカ」

「…」

「もうさ…夏休み全て献上を免れたのはいいですけど…やっぱり合コンは不安ですよ…」

「テメェで決めた事だろう。責任持って彼氏でも作って来い」

「先生酷い!私に彼氏なんて、天変地異でも起こらない限り無理ですってば!」


前に天変地異が起こったような錯覚は体験したけどね。お陰で車の助席は私の指定席になりました。


「そうだったな。貴様の春は程遠い」

「むー。水着はビキニ派ですかそれともワンピース派ですか?」

「ワンピース派だ…って何を言わせんだ馬鹿娘」

「へー先生はワンピース派ですか。じゃあワンピースにしよっと!」

「あ?」

「だってー私もワンピース派ですし、ビキニは恥ずかしいじゃないですか。しかも初対面の野郎に私のビキニは見せないわっ!」

「なんだそりゃ」

「ちゃんと幸子が言ってた様に日焼け止めをしてー海で浮き輪持ってらんらんるー!」

「その年になって泳げんのか貴様は」

「何言ってんですか、泳げますよ失礼な!5メートル位はね!」

「みじけぇ」

「…うるせぇやい」

「ったく。溺れたらどーすんだ」

「だから浮き輪です。浮き輪はとっても優れていて大きな波が来ない限りとても安全でかなづちには必要不可欠なん…」

「例えば大きな波が来たとして助けてくれる奴が居なかったらどうするんだ?」

「それは…自力で乗り切ってみせますとも」

「無理な話だろ。5メートルじゃあな」

「ですよねー!もう沖には行かないように浜辺で遊びます!砂のお城なんて何年ぶりだろーうへへー」

「ガキか貴様は…」


「先生にとってはまだまだガキですよ?高校生ですもん」


「…そうかよ」

「でも、早く大人になりたいかもです」

「…」

「そーしたら、先生みたいにカッコイイ野郎と対等に付き合えるでしょ?」

「(野郎って…)精神年齢の問題じゃないのか?年は関係ねぇだろ」

「それもそうだけど…先生は見た目かっこいいけど中身は全然ですよね!おっかないもん!」

「んの野郎…」

「冗談ですよ冗談!あ、でも先生が悟浄先生みたいにたらしじゃいやだなぁ。かと言って八戒先生みたいににこやかでも気色悪…」

「勝手に人を想像するな。自分でも気色悪ぃ」

「あははは!先生のにこやかな笑顔…?ぶはははははは!!!!!」

「夏休みの課題7割増しな」

「はは、は…?すみませんホントごめんなさいかんべんしてくださいもういいませんからおねがいします」

「冗談だ」



(あ。 今の ヤバイ)



「先生、テイク2−お願いします!」

「あ?」

「今のですよ!今の!!」

「あぁ?」

「今、笑ったじゃないですか」

「っ…」

「前にも見たことあるケド…天然記念物並みにヤバイですよ」

「俺は保護動物か」

「私の脳内では保護すべき表情です」

「アホか」

「ねぇねぇ先生!もう一回笑ってくださいってばー!」

「るせぇ!さっさと帰れ馬鹿娘ぇ!」

「先生が居残りっていったんですよー!横暴だー!」

「ふん。忘れたな」

「私ってなんて理不尽なのかしら!みんなの前で宣言したんだから明日聞けば分る事ですよ!」

「明日は夏休みだろうが」

「あ」

「…アホ」

「ホ、掘りごたつ」

「つるし首」

「ビンゴ」

「ゴミ」

「みんなのゴルフ」

「不揃いのりんご」

「ご、ご?またご?ごー。んーとごー、ゴリラ!」

「ラ…って何でしりとりしてんだ?」

「だって先生が始めたんですよ?」

「よく聞け、アレは偶然だ」

「ダンカン」

「負けだな」

「マジでか」

「ハァ…貴様と居ると疲れる」

「ズバリ、年ですね!」

「ひっぱたくぞ」

「幼児虐待反対ー」

「幼児って年じゃねぇだろ」

「じゃあ生徒に暴行反対ー」

「減らず口を」

「そのままバットでホームラン並みに送り返してやんよ!」

「じゃあ俺はバックホームでアウトとってやる」

「残念。その球はホームランです」

「知るか」

「矛盾しすぎですよ先生」





「知るかよ」





「…っ!」





「精神年齢が低くとも、それを補える物があれば問題ないだろ」





「矛盾…してますよ、先生」





(今のは  何…?)





「知るかってんだよ…」





「卑怯だ理不尽だ横暴だ」





「なんとでも言え。馬鹿娘」





















本格的に、夏が始まる。学生達が待ちわびた、夏休み。


私には、夏より遅い春が来た様です。


























夏季<

(それは、本気?それとも気まぐれ?わからないよ)
















ATOGAKI
つい癖が…!最後の方とか会話だけSSみたいになってるぅぅぅぅ!そんな筈では…笑←
ほのぼの目指しました結果がこれですよ。もうサーセンw

今更ですが、ヒロインと三蔵サマの言う夏休みを『献上する』と言うのは間違えではありませんぜ!
三蔵サマは標準語の『返上』でヒロインは特別に『献上』です。誰に献上するかって?知ったことか。←
ヒロインちゃん…洗脳されているのでしょうか。ネタが分る人は分りますね。さぁご一緒に、らんらんるー!\(^o^)/(色んな意味でオワタww)
きっと三蔵サマは内心、(ダメダコイツハヤクナントカシナイト)って思ってたに違いない。もうごめんなさい_orz自重します

そんなこんなでー会話だけSSもどきの途中の事とか分らないですよね!分るわけがないだって管理人も分らない!←
これは、皆様の妄想で補って頂きたくそうろう…。何をしたかって?それはあーた、アレだよ。アレ。管理人は恥ずかしくて言えないー!(お前w)

ではでは。次回もよろしくお願いい頂きたくそうろう…。それでは!ノシ