「既成・・・事実・・・・・・」
はその一言を呟きながら、昼下がりの午後の廊下を歩いていた。
これが後でとんでもない騒動を巻き起こすとは夢にも思わず・・・。
教えて先生! 〜その言葉は危険な香り〜
「なぁ三蔵・・・俺、聞いちゃったんだけどさ、その、えっと・・・」
「なんなんだ貴様は。はっきり言え、鬱陶しい」
午後の授業も残り僅かとなった職員室。殆どの教師は出払っており、残された数人の教師は各々のんびりと時を過ごしていたその矢先の事だった。
悟空が顔を真っ赤にしおずおずと、煙草を堂々とふかす三蔵の元へとやってきたのである。
語尾を濁し戸惑いを見せる彼は、三蔵の剣呑な態度を諸ともせず未だ言うか言うまいか迷っている様子。
そろそろ、そう頑丈でもない三蔵の堪忍袋の緒が音を立てて切れそうだ。だが、悟空はタイミングが良いのか悪いのか、寸での所で口を開いた。
「三蔵ってさ・・・その、にもう・・・手を出したとか、言わない・・よな・・・?」
「ぶふーっ!!!」
唐突に何を言い出すのだこの猿は。思わぬ悟空の発言で、三蔵は己の煙草の煙で咽る事となった。
「ゲッホガッハ・・・ゴホゴホ・・・ッ貴様という奴は!!何を出だすんだいきなりっ!!!!」
三蔵は物凄く動揺している様だ。その証拠にいつもなら間を開けずハリセンが小気味良い音を奏でるのだが、今は其れが無い。
悟空も悟空でハリセンが無い事より、質問の返答が気になる様で躊躇いがちに、されど興味津々の光が宿る瞳を向けてくる。
今度は三蔵が戸惑う番であった。それにしても、何を根拠にそんな馬鹿げた事を言い出すのか皆目検討もつかない三蔵である。
だが其れは、悟空のもったいぶっているんじゃないかと言いたくなるくらい口を濁した後に紡がれた言葉によって姿を表した。
「こんな公共の場で何をほざきやがる!!この馬鹿猿!!!」
「い、いや、ごめん!マジごめんって!!でも、さ・・・があんな事言ってたからつい・・・・・・」
「『あんな事』だと・・・?」
「そうなんだよ!なんか、『既成事実』?とかなんとかさ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
今この瞬間、史上最強に居た堪れない空気が2人を包み込んだ。
数時間前。陽気なお昼休みでの一コマ。
三蔵がテストの採点か何かで手が離せない状況の為、渋々ながらクラスメートとの昼食を採っていたまさに其の瞬間。
別に友達との食事が苦なワケではないのだが、いかんせん、今までずっと共にしていた存在の欠落により若干テンションが落ちる彼女。
そんなの様子を知りつつ気にしない彼女の親友2人は、沈んだ空気に負けず劣らず好き勝手会話に講じていた。
「でさー!その男がさぁ、いきなり合コンに参加してきて、あろう事かこの私に目をつけてきたのよ!!」
「うんうん、それでそれで?」
「そしたらさぁー、唐突に言うんだって!『一緒に既成事実作ったら結婚できるね!』って!!」
「うわー!きんもー!!ストーカーより性質が悪いねぇ!!」
「でしょでしょー!?アタシすんごく気持ち悪くなって逃げてきちゃったんだよねー!!」
「追いかけてこなかった?襲われたりしなかったよね?!」
「そこら辺は抜かりないから任しといてってー!ギャハハハ!!!」
「『既成事実』・・・『結婚』・・・」
耳に入ってくる会話は右から左へと筒抜けになるだったが、とある単語に反応を示した。
ぶつぶつと呟く彼女を横目に、尚も会話を続ける親友2人はの小さな声が聞こえて居ないのかオールシカトである。
「既成事実とか!アタシらまだ高校生だし!!ばっかみたいよねー!!」
「幸子なら不思議じゃないけどね!」
「ひっどーい!えりなんて一生男知らないままっぽい!!」
「其れを言うならじゃない?だって告白されても全部断ってるしー、もしかして・・・!!」
「それは無いっしょ!まだまだ子供なだけじゃん?ギャハハー!!!」
「『子供』・・・『オトコを知らない』・・・『レズ』・・・」
心なしか、否、何処を如何見ても先ほどより断然沈んでゆく。
だが酷すぎる親友の言葉は止まる事を知らないかのように口からひょいひょい出てくるのであった。
一見イジメを受けている様にも見えるが、親友だからこその発言である。言ってしまえばただの冗談程度の物。
なのだが、今のには効果抜群と言う事は目に見えていて。
「・・・ねぇ。いい加減ウザイ。もうちょっとテンション上げてなって!!あぁもう根暗ウザイ!!!」
「誰の所為でが沈んで行くと思ってんの!?」
「其れを言うならえりだって・・・!」
「私は別に・・・!」
耐え切れなくなったのか、ため息と共にを見る親友、幸子とえりは主旨がずれつつヒートアップしていく。
それも聞こえないほど自分の世界に入っていくは、呪文の様に小さな声で呟き続けた。
「『既成事実』・・・『子供』・・・『大人』・・・『オトコ』・・・『結婚』・・・『生徒』・・・『教師』・・・『叶わぬ恋』・・・『奈落の底』・・・、・・・・・・、」
聞こえた単語の数々は、親友2人を心配させるには十分で。
何かに取り付かれたようにフラフラと教室を後にする彼女を、見送るだけしか出来なかったのであった。
そして冒頭に遡る。今は一応授業中なのだが、のクラスは悟浄ともあってか廊下をふらつく事ができた。
無意識なのだが足は止まる事無く、自然と昇降口に着いてしまった。
ハッ!と、我に帰るが時既に遅し。彼女は気付けば何故か靴に履き替え、帰る準備満タンで突っ立っていた。
「え・・・?今何時?え?・・・ってか授業中じゃん!!私ってば何やってんだろ・・・」
しっかり荷物も抱え、このまま帰る事もできるは混乱する脳内を沈静する事も出来ずあたふたとするほか無い。
そんな彼女を見つけてしまった男が一人。悟空との会話を暫し強引に終わらせた彼女の担任、三蔵である。
男は挙動不審なを発見すると共に声を掛けるかどうか迷うのだが、授業中という事もあり教師として注意を促す事にした。
「オイコラ、。お前こんな時間に何やってんだ」
「ひぇ!!ああああこれはこれは担任様ではないですか!!如何したんですかこんな時間に・・・!」
「それはこっちのセリフだ馬鹿娘。今は授業中だろ・・・もしかしてこのまま帰る気じゃねぇだろうな」
「いいいいいや、これはっその・・・えっと・・・うーん・・・?」
「ハァァァ・・・」
深い深い溜め息は静かな昇降口に響き渡り、気まずい空気が流れた。
は自分が何故こんな状態になってしまったのか考えあぐね、三蔵は三蔵で先ほどの会話もあり冷静な判断がつかないでいる。
奇妙な心境のままの2人が織り成す偶然にも似た思わぬ出会いは、徒に状況を雁字搦めにするばかりであった。
「・・・教室に戻ります」
「いや待て。もう時間が時間だ。お前はこのままついて来い」
「でも・・・」
「簡単に説明してやる。お前にはお灸を据えねばならん」
「です、よねぇ・・・」
と言う事で三蔵の言うがままに数学準備室へと連行(?)されたは、ソファに座り目の前の男を控えめに見やった。
反対に連れて来たは良いものの、何を言えばいいのか頭を抱える三蔵はとりあえず煙草に手を伸ばす。
数回煙を吸い、吐き出す作業をしたらそこはかとなく落ち着くことが出来た。とりあえず、当たり障りない会話をしようか。
「で・・・お前は何故あんな所に居たんだ」
「・・・気付いたらあそこに居ました」
「理由になってねぇ。一体如何すれば無意識の内に帰ろうとすんだよ」
「さぁ?」
「すっ呆けるのもいい加減にしろ・・・まぁ、大方の検討はつくけどな」
「え!?な、何故に・・・!」
3時間目の数学の授業が終わった以降、碌に会わなかった筈なのに全部お見通しだと言わんばかりの三蔵に疑問符を浮かべる。
それも其のはず、親友2人との会話なんぞ聞かれるワケが無いのである。では、情報源は一体誰だろう。
考えても答えは出ない。それを踏まえては首を傾げるばかりである。
「兎に角、だ。遅刻癖の上に授業放棄なんぞ以ての外・・・何があったかは深く追求しねぇが身分を弁えろってんだよ」
「はい・・・ごめんなさい・・・」
「ったく・・・。今回は体調不良だって事にしといてやるから、俺が終わるまでココで大人しくしていろ。わかったか」
「・・・はい・・・・・・」
の不可解な言動も、全部己の所為だとしたら。そう考えるとついつい甘くなってしまうのは三蔵の悪い所だ。
優しさも場合によっては本人の為にならない。それをわかっているのだが如何せん、彼女の様子を見るといてもたってもいられなくなってしまう。
そんな三蔵の葛藤はぐるぐると脳内を引っ掻き回し、冷静な判断を鈍らせ結局はこんな状態を作ってしまった。
既成事実だかなんかだ知らないが、はそれを望んでいるのだとしたら――己は一体如何するのだろうか。
とりあえずは様子見という事でこの場はグダグダのまま納める事にした。
果たして、それがいけなかったのか。
翌日。珍しく規定通り(即ち定時)で帰宅できる事になった三蔵は、気恥ずかしいと思いつつも一緒に帰ろうとを誘った。
のだが、返って来た返事は落胆させるには十分な威力を持ったもので。所謂、断りの言葉だ。
理由を問えば親友2人と寄り道しながら帰ると言う。学生の身分で寄り道なんぞけしからん。
一種の逆恨みにも似た感情を生徒である親友2人に向けそうになりながらも、三蔵は1人寂しく帰路に着くのであった。
「じゃあ、鬼担任も帰った事だし?早速合コンへと洒落込もうじゃーん!!」
「前にも似たような事があったような・・・?」
「って事は最終的に保護者引率になる訳?それはマジ勘弁・・・」
「まぁまぁ細かい事は気にせずパーっと行こうよ!!ギャハハハー!!!」
後ろめたさ満点なの様子を物ともせず勝手に盛り上る親友2人はさっさと先を行ってしまう。
慌てて追いかけるものの、やはり何処か腑に落ちないは強引な親友2人に着いていくしかない。
何処を如何すれば合コンに行こうなんて経緯になるのかわからないが、なにぶん、勝手に決まってしまった事だ。
言い訳がましいが、全部自分の為とわかってしまった手前、断れる筈も無く。渋々ながら2人の後を追うであった。
「今回はね、近くの男子校の奴でー、かなりの上玉揃いらしいよ!超楽しみなんですけどー!!」
「あっははは・・・私もいい加減彼氏作ろうかなぁ〜」
「何々?えりってば欲求不満?キャーイヤラシイ!!」
「幸子に言われたくない!あーぁ不潔ぅー」
「何よ!こう見てもアタシの体は潔白だし!!」
「・・・マジでか」
「アンタねー!!今までアタシをどんな女だと思ってみてきたワケ?!」
「まぁ・・・見たまんま?」
「超イミフなんですけどー!!ギャハハハー!!」
もう先を行く前の2人の会話なんて聞きたくも無いは、周囲の注目をごっそり集める羞恥心から顔を俯かせた。
早く終わってくれればいいと、口に出せないもどかしさから深く溜め息を吐くのである。
「暗い!!アンタの為に合コンのセッティングしたんだから、この時間くらいは盛り上ってよねー!!」
「そうだよ。男に興味ないとか思われたくないでしょ?だから、今は何も考えずに楽しもうよ!」
「そうは言うけど・・・うん。努力はするさ」
どうやら本気で心配をさせてしまっているらしい。
ココで実は担任と付き合ってますー、なんて言えるはずも無いは精一杯2人の心遣いを無下にしない様勤める事にする。
大きなお世話だとは心の内に閉まっておこう。
そして時間通り開催される合コン。夏休みに痛い目に合ったばかりだと言うのに性懲りも無く盛り上る幸子は学習能力以前の問題だと思う。
アレだ。これはもう、性分なのだろう。何事も楽しい事が好きな彼女は騒がずには居られないのだ。
えりもえりでそんな幸子に感化されキャラが崩壊している。一体どうなってしまわれたのだ、彼女は。
嘆かわしい事実に頭を抱えるであったが、先ほど言われたように空元気でも場を盛り上げようと気分を切り替える事にする。
「桃源高校2年!秋菜幸子でぇーっす!」
「同じく黒野えり!絶賛彼氏募集中でっす!」
「・・・、。男に飢える華の女子高生だよ・・・!」
若干すべった気もしないでもないの発言はどうやらウケたようだ。これをどっかの誰かさんが聞いていたらハリセンが飛んでくる事必須。
いけないいけない。今は全部忘れてこの合コンに集中しなくては。
しかしそう思えば思うほど、ドツボに嵌ってゆく感覚が手に取る様にわかるから性質が悪い。
先行き不安のまま、合コンは勝手に盛り上がりを見せていくのである。
「ねーねーちゃーん?俺と2人っきりにならない?」
いや、結構です。嫌です。キモイです。
「あ、お前ずりーよ!は俺と一緒が一番いいに決まってんだろ!」
何勝手に呼び捨てにしてんの?頭おかしいんじゃない?
「ば〜っか。さんは僕みたいな清純な男が好みなんだって」
清純・・・?その鶏冠頭を見てから発言してください。ギャル男も吃驚だわ。
表情には出さないものの、詰め寄ってくる3人の男にドン引きのは早くも帰りたい一心である。
肝心の親友2人は気持ち良さそうに歌をうたっている。向き合いながら笑ってないで助けて下さい。これ切実。
「うーんどうしよっかなぁ〜。3人ともカッコイイから迷っちゃーう!」
これは我ながらに会心の出来だ。ぶりっ子的な素晴らしい自分の演技も捨てたもんじゃあ、ない。筈。
「ちゃんマジ可愛い〜!俺、本気で惚れた!!」
「俺だってもう一目見たときからに骨抜き!」
「お前等下心丸出しなんだよ!僕は純粋にさんとお付き合いしたいと思ってます!!」
「あっははは〜みーんな巧い事言っちゃってさ〜!そんなに困らせると、泣いちゃうぞ☆」
あーなんかもう、だんだんノってきた。こうなったらやけくそだ。
「を本気で好きだったらぁ、誠意を見せてね!」
「何すればいい!?俺なんでもやっちゃうよー!」
「俺も俺も!どんな困難でも乗り越えてを彼女にするぜ!!」
「これがさんへの愛の試練だというならば、火の中水の中、僕は貴方の為に尽くします!!!」
・・・寒っ。
「ん〜と、じゃ〜あ。まずは課題1。カラオケの受付のおねぇさんに直接私が今飲みたい物を注文してきて☆見事当てた人が課題2へ進めるの!」
「お安い御用だって!待ってろよちゃん!君の為に俺が華麗に注文してきてやっから!」
「っしゃ−!の事ならなんでもわかるぜ俺!あ、ちょ、お前それフライングだろ!!」
「さん!僕との愛の為に、大船に乗ったツモリでまっていてください!!」
と言う事で、カラオケルームを後にした男子校3人が駆けていくのを横目に、未だ熱唱している親友2人に向き直る。
素早くリモコンを手にすると曲の停止ボタンを光の速さで押した。この課題を提案したのは何を隠そう、3人きりにする為である。
「!何してくれてんのよー!!折角気持ちよく歌ってたのにぃー!!」
「『歌ってたのにぃー』じゃない!おかしいでしょ!!明らかおかしいでしょこの状況!!端から歌うためだけに来たんかいアンタらは!!」
「あったりまえじゃーん!あんな男連中なんてアタシには眼中にないっつーの!!」
「こんの野郎ー!私を嵌めたな!!いくら男連中のおごりだとは言え流石に酷すぎる!!!」
シンキングターイムよろしく、それとはかなりかけ離れた話し合いの中、えりだけは異様に落ち着きを払っている。
と言うか、歌を邪魔されて怒って・・・?逆ギレも良いところだ、とは密かに思った。
ではなく、2人が独占している為、次の曲が入っていないので繋ぎのBGMが静かに流れる。と幸子の言い争いは多分外まで聞こえているであろう。
早くこの戦いに終止符を打たねば男子校3人が戻ってきてしまうと言う焦燥感もそこそこにこの状況を打破しようと切磋琢磨するだ。
「あーもう!!わかったから!!アタシも男連中の相手するから帰ろうとしないでってばー!!」
「ハァ・・・来なけりゃよかったわ・・・このウスラボケがっ!」
「ねぇ、そんな事はどうでもいいから、曲入れていい?良いよね?答えは聞いてない」
この不毛な争いはなんなのだろうか。そんな事を考える余地も無く、最悪な事に男子校3人は揃って戻ってきてしまうのであった。
「ちゃーん!今店員が来るから楽しみにしててね!」
「絶対俺が正解だからさ!当たってたらチューしてっ!」
「僕と一緒に飲み明かしましょう!今夜は僕が楽しませてあげますから!!」
いい加減にしてくれ。
一方、とある部屋では。
「いやぁ〜楽しそうですねぇ。特にお隣の部屋は」
「俺も合コンに混じりてぇ〜!あの2人のパフィ●も可愛くて間近で見てぇワ!若干選曲が古い気もするけどもヨ」
「あーぁ!隣はあーんなに華やかなのにさ・・・なんで俺らはこんなむさ苦しいの?」
「・・・・・・・・・」
見たことある様な、否、嫌と言うほど見慣れた4人組は居た。
ココに来るまでの経緯は・・・まぁ、とある笑顔の青年の仕業なのだが詳しくは伏せておこう。みんなの生死の為に。
「何々?ちゃんってば面白い提案するねぇ〜!惚れ惚れしちまうぜっ!」
「あの演技も大したもんだって!普段とは全然別人だもんな!!」
「あはは・・・彼女にあんな一面もあるんですねぇ。吃驚通り越して感心してしまいますよ、僕」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
約1名程、終始無言のままだが、他の3人は気にも留めず盛り上っている。
一体どうしたらこんな状況になるのか・・・。蛇足ついでにお話しておこう。
それは一件の電話から始まった事だ。自暴自棄になりながら車を運転する某金髪教師の携帯に着信を知らせる音が鳴った。
丁度自宅の付近だったのでその着信はシカトされたが、車を駐車場に止め終えると面倒だが折り返し電話を掛ける三ぞ・・・ではなく金髪教師。
その辺は律儀であるからして、いつもの様にとった行動が後に後悔する事になろうとは夢にも思わない。
数回の呼び出し音を聞き、漸く繋がった通話口からは先ほど掛けてきた本人であり、めんどくささを一層強める要員でもある男の声。
『あ、三蔵ですか?僕です八戒です。ちょっと楽しそうな事を見つけてしまったので電話を掛けたんですが・・・まさか運転中って事はないですよね?』
「罰金なんぞに金をかけてられるか。もう家に着いてんだよ」
『おや、お早いご帰宅な事で貴方にしては珍しいですねぇ。さんとはご一緒ではないのですか?』
やけに最後を強調する男に嫌な予感を覚えた金髪教師だが、動揺している事を悟られぬ様普段通りを装う。
まぁこの男にかかればまるっとお見通しなのだが。それでもプライドが許さないとばかりに突き通す事にした。
「アイツは、」
『えりさんと幸子さんと一緒に遊びに出かけたんですよね』
「・・・知ってるんだったら聞くなっ」
『いやぁ、もしかして貴方が見栄を張って『さんと一緒に居る』と言うのを期待していたんですけどねぇ〜』
「しね」
『あははは。まぁそれはさて置き、問題です。さん達は一体何をしにカラオケに行ったでしょうか』
電話越しの男の真意が読み取れない金髪教師は一瞬言葉に詰った。
と言うか、カラオケに行っていると言うこと事態知らないのだから、その上何の目的かどうのこうのなんぞ知る由も無い。
カラオケなんだから歌いに行っているんだろう。だが笑顔の青年は意味有り気に笑う。何か裏がありそうで怖い。
「歌を、」
『歌いに行っているなんて野暮な事は言わないでくださいよ?面白くもなんともありませんから』
わかっていた。わかりきっていたのだが、本当にボケ殺しは勘弁して欲しい。
苛立ちが募る金髪教師は眉間に皺をこれ程になく寄せ、思わず通話をきりそうになるのを堪えるので必死である。
なにはともあれ、単刀直入に言って欲しい。コレ切実。
『わからないんですか?まったく、これだから頭の固い人間はめんどくさいですね』
「貴様・・・」
『では正解です。なんと、さん達は近くの男子校の生徒と合コンパーティーをしに行ったのでありました』
「――っなんだと?寄りにもよって合コンなんぞ・・・!」
『そう怒らないであげて下さい。さんはほぼ無理矢理連行されて行ったんですからね』
「チッ・・・またアイツらか」
『大正解です。あはは。では本題なんですが――』
そして折角帰宅したと思いきや早々に車を180度転回させ待ち合わせの場所に向かう破目になった金髪教師。
たどり着いた場所には既に3人は揃っていて、ニヤニヤと笑っていた。もちろんハリセンの音は街中の喧騒を諸ともせずなり響く。
4人揃って早上がりとは、運が良いのか悪いのか。・・・聊か虚しい気もするが今はそれ所ではないのは皆まで言わず。
「どうです?彼氏の貴方から見て、さんは今何を求めているかご存知でしょう?」
「あ、ちょーっとそこの可愛い店員さん、なーに持ってんのー?」
「うっわ・・・全部ハズレじゃね?酒とか混じってるし・・・あ、このお酒はこっちと取り替えてよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァ」
漸く第一声を発した金髪教師だが、それは溜め息であった。
赤髪教師が引きとめた店員のお盆の上には緑茶、りんごジュース、カシスオレンジ。絶対当てる気無いだろ、と言う選択だ。
未成年に酒をだす店も店だが、この選択肢は無いだろう・・・。茶髪教師はお酒の変わりにウコン茶(アイス)と入れ替える事にした。
「じゃっ、三蔵サ・マ。どーんと一発注文しちゃってよ!」
「ったく・・。―――、」
「なるほど。さんらしい飲み物ですね。普通と言うかなんと言いますか」
「さっすが三蔵、よくわかってんなー!ま、俺らにはこれが正解かわかんねーけど」
そして視点は戻り、合コン真っ只中の部屋。
「お飲み物をお持ちしましたー」
受付に直接注文にくると言う不可解な行動をした男子校3人に首を傾げつつ、店員は注文された飲み物をテーブルに置いてゆく。
1つ1つ丁寧に並べられた其れを見て、内心笑い転げるは表情に出さず、にこやかに微笑んだ。
「よし!、俺の選んだりんごジュースを受け取ってくれるよな!!」
「何を言っているんです、僕がさんの為に選んだこの緑茶に決まっているじゃないですか」
「え?あのぉーちょっと定員さん?注文間違ってね?」
「いえ、これで全部合っていますよ。緑茶とりんごジュース、それにウコン茶(アイス)です」
「ウコン茶ってなんだよ!!しかもアイスかよ!!俺頼んでねーし!!!」
なんか知らないが喚き散らす男は置いといて、目の前に3つ出されたはぶりっ子再臨。
顎に人差し指を当て、悩む素振りを見せた。
「うーん、そうだなぁ・・・全部飲みたい気もするけどぉ〜まずはウコン茶(アイス)は除外ね」
演技をしていても判定は厳しいらしい。
「ねぇ幸子、えり?貴方達なら何飲みたい?」
「ギャハハー!!なにこの3つ!!マジパネェし!!緑茶ってなにさ!ご老人かよ!!りんごジュースって子供かよ!!!」
「ウコン茶(アイス)・・・奇抜な選択だね!ププーッ!」
物の見事に端から馬鹿にする親友2人は、笑いを堪えなければならないを他所に爆笑である。あぁ羨ましい。ってか忌々しい。
親友2人の発言に凹む男子校3人。だがまだだ。ウコン茶(アイス)を選んだ(勝手に変えられた)男を除きの判定に望みを賭ける2人。
全部否定したら面白くないかな?と考えた末、は徐に手を延ばす・・・のだが。
「俺だよな!」
「いーや僕だね!!」
嬉々として瞳を輝かせる男2人。しかし其れはドアの開く音と共に入ってきた乱入者により阻まれる事となった。
「ホラよ。お望みの ”ホットココア” だ」
一同沈黙。この場に居るはずも無い人物に皆、頭が真っ白になった。特に女子3人は顔面蒼白である。
「ん・・・?あれ?ねぇえり、アタシ夢でも見てるのかな!」
「幸子、これはきっと幻覚だよ!まさかあの鬼担任がこんな場所に居る訳無いってー・・・あっはは・・はは・・・・?」
「貴様ら全員補導対象だ。鬼担任直々に来てやったんだからさぁ喜べ」
「「ですよねー!!!!」」
これは夢でも幻覚でもないと言う事は嫌と言うほど理解している。だが認めたくない一心で惚ける親友2人は光の速さでハンドアップ。
一方、男子校である男子3人は突然現れた男を知るはずも無く困惑に顔を曇らせた。
そして、問題のはと言うと。
「さっすが担任様でありますなぁー・・・丁度ホットココアの時間だったんです、よー・・・、・・・・・・・・・・・・ホントすみませんでしたぁ!!」
平謝りである。我ながらに情けないと言うか、なんつーか。
兎に角、動物よろしく首根っこをつかまれ敢え無く御用である。これには流石の教師3人も苦笑い。
「あとは任せた」
「結局後始末は俺らの仕事かよー」
「いいとこ取りもいいところですよ、まったく」
「まぁ八戒が提案っ、」
「何かおっしゃいましたか? ご く う ?」
「いや、何も言ってません」
そんなこんなで幸子主催の合コンパーティーは幕を閉じたのである。
「もー!担任の所為での男漁り計画が台無しだわ!!」
「あはは・・・私は漸く目が覚めたよ」
も安心だろう、えりが通常通りに元に戻ったし、幸子はこれからこれに懲りて大人しくなることだろう。多分。
そんな女子2人を苦笑しながら見守る教師3人は、いっその事、このままカラオケに身を投じようかととも考える。
目的は達成されたのだから、海に行った時のように遊びほうけるのもいい。それに打ち上げだと思えばオールオッケーって事で。
「さんが一番お可哀想と思うのは僕だけでしょうか?」
「首謀者がナーニ言ってんだかっ!」
「逆に今頃仲良くやってるかもよ?まぁ、無理だろうケド」
「あの嫉妬の塊ですからねぇ。悪い事しちゃいましたかね?」
「ま、後の祭りっつー事で行きましょ行きましょ。触らぬ神になんとやら、ってな」
「、幸運を祈る。グットラック・・・!」
カラオケのBGMは、止まる事無く静かに流れていく。いつぞやの保護者引率、カラオケパーティーに変わった室内は女子1名の犠牲の上に成り立つ。
考えないようにと脳内をフル回転させ、今この状況を楽しむ事を徹底する教師3人、生徒2人はリモコンで番号を押し始めるのであった。
それを背に、ただ寄らぬ雰囲気の教師1人と生徒1人はまったく真逆である車に乗り込んだ。
「・・・で?お前は俺の誘いを断ってあろう事か男漁りに出向くとはいいご身分じゃねぇか」
「うっ・・・それは、そのぉ・・・ワケが・・・・・・」
「無理矢理連行されたから仕方なかったなんぞ言い訳の内に入らねぇんだよ」
「・・・・・・ごめんなさい」
一気にまくし立てる隣の金髪教師にビクビクと身を震わせ、生徒である彼女は嫌な汗が背中に流れるのを感じた。
絶対、否、やっぱり怒っていらっしゃる。それがヒシヒシと伝わってきて、居た堪れないであった。
何であの時、幸子の誘いに乗ってしまったのか。いや、強制的だったけど。
の事を思っての行動だとはわかって居るが、結局ある意味罠に嵌められた感が否めない。
お隣の無言の圧力に恐怖するものの、幸子に対して怒りがこみ上げてくる。
本当に、自分が招いてしまった不幸からの招かざる客に心底忌々しいと思う。
「・・・・・・ハァ・・・」
痛い沈黙の中、不意に吐き出された溜め息に、敏感に反応してしまった。
そんな彼女の様子にもう一度溜め息を吐いた三蔵は徐に車を発進させ、当てもなくそのまま走らせた。
憤りを感じているのは当然だ。それと少しばかりの罪悪感と、胸に広がる黒い感情を押し留め無心でハンドルを握る。
そして脳内にはとある単語が過ぎる。
「やっぱり・・・怒ってます、よね・・・」
「・・・・・・・・・」
どうしよう。どうすれば。どうしたらいいのだろうか。
こうなる事はわかっていた。だが、まさか本当になるとは。
自分が悪いのは一目瞭然だ。謝って済む問題でも無いし、だからと言ってずっとこのままが続くのなら破局も考えられる。
都合のいい女だとは我ながらに思うが、しかし。・・・しかし。
「お前は」
「・・・?」
どれ程の時間が経ったのだろうか。人通りの少ないわき道で車を止めた三蔵が静かに、口を開く。
それに呼応するかの様にぎこちなく顔を向けたは、交わる事の無い視線に絶望を感じつつ、言葉を待った。
しかし次に発せられた三蔵の言葉に目の前が真っ暗になってしまう。
「『既成事実』とやらを成立させてぇんだろ」
「――!」
何故それを知っているのか。昨日言っていたのはこの事だったのか。
情報源はわからないが、は己の無意識のうちに言ってしまった失言に心底後悔、だが時既に遅し。
不気味なほど冷静に憤慨する三蔵に血の気が引くは、息が出来ない。しかし三蔵は更に言う。
「誰とでもいい。だから今回の誘いに着いてった、」
「ちがっ、違う!私はそんな――」
「そう言ってるようなもんだろうが!!」
耳の直ぐ横で大きな衝撃音がの鼓膜を揺さぶる。違う、と否定するを遮り怒鳴る三蔵が勢い良く座席に拳を叩き込んだのである。
その衝撃に耐えかねたは肩を竦め目を瞑る。全身を駆け巡る震えが治まる気配を見せず、その波は次第に大きくなっていった。
怖い。冗談抜きで殺されると思った。
「適当な男をひっかけて寝て、『既成事実』作って、貴様はそれで満足なのかよ!!」
「――そんなっ事、ない!違う!私、はっそういう意味で言ってたワケじゃ、ない・・・!」
「今更言い訳したって遅ぇんだよ・・・そんなにお望みなら今ココで、『既成事実』とやらを作ってやろうじゃねぇか――!」
押しとどめるる事が出来ないこの感情は、嫉妬だとわかっていた。
だが、一度溢れ出した勢いには抗えずその結果、目の前の最愛の存在である筈の彼女に恐怖を植えつけてしまった事実は変わらない。
他の男に取られるならばいっその事。徐々に大きくなる愛は歪み、不自然に入り乱れ混沌を生んだ。
震える彼女の唇を強引に塞ぎ、口内を犯し貪り続け、拒む手を払いのけて衣服の中を弄った。
歯止めが効かない己の理性は意図も簡単に跡形も無くなって尻尾も残さず消え失せる。
掴む気も取り戻す気も更々無い。ただ歪んでいくとわかっている愛と言う名の建前を本能に従い喰うだけだ。
涙を流す目の前の彼女は苦しげに顔を歪め、その表情が一層興奮を煽った。我ながらに悪趣味だ。そう、最低最悪の悪趣味な男だ。
このまま、本当に『既成事実』を作って生涯を共に暮らせるのなら願っても居ない好機。
そしたらコイツも喜ぶだろう。喜ぶ。――喜ぶ?
無理矢理犯してレイプとも言える行為で『既成事実』を作って、果たして本当にコイツは喜ぶのだろうか。
「っ――」
何を考えているんだ。俺は。
「さ、んぞ・・・?」
今まで俺は何の為に我慢してきたと思っているんだ。
「・・・っ、」
コイツが卒業するまで、我慢して我慢して、我慢を重ね。
「さん、ぞ」
ついこの前、最初で最後であろう俺なりに思いを伝えて。
ついこの前、喧嘩してコイツの幼馴染に寝取られそうになった時も我慢して。
――違う。
「三蔵」
我慢してたワケじゃねぇ。
俺は、大事にすると決めたんじゃねぇのかよ。
初めて愛とやらを感じたコイツを絶対大事にしようと、俺自身に誓った筈じゃ、ねぇのかよ。
「悪ぃ・・・悪かった、」
涙で溢れる瞳は辛い筈なのに賢明に俺を見上げていた。
その瞳には恐怖が色濃く浮かび、ガタガタと震える全身は必死に恐怖を押し殺している様で。
そして、ぎこちなく伸ばされた腕は俺の頬に冷たい感触を与え、一気に正気に戻していく。
「ごめん、なさい」
謝罪を紡ぐ彼女の唇は何度も同じ言葉を繰り返す。
震える声は擦れ、喉の奥から搾り出すかの様に何度も、何度も。
聞いている此方が痛みを受けるその音色は綺麗に、されど恐怖を織り交ぜ。
己の犯した過ちがどれ程重大な事なのか、直接脳に叩き込まれる感覚がした。
「私は、三蔵しかっ好きじゃない・・!既成事実なんてなくても、三蔵が居ればっ他はなにもイラナイ――!!」
あぁ。俺が自分から求めた女は、こういう奴だった。
「俺は、最低な男だな。そんな男を好きだと、物好きも居たもんだ」
「お互い様っでしょ?」
「そう、だな」
嫉妬に狂った男ほど、見苦しいものは無い。
些細な狂言に踊らされ、コイツを見失い、挙句の果てには自分をも見失った馬鹿な男。
大馬鹿者だ。こんな男が嫉妬に狂うだと?馬鹿馬鹿しいのにも程があるってもんだ。
それにコイツは、前途で既に俺自信が否定済みだが、アホな友人のしょうもない提案についていっただけなのだ。
冷静に考えればわかる事で、コイツ自ら合コンやら男漁りやらに出向くはずも無く、それでいて『既成事実』とやらなんぞ
ただの年頃的感覚で興味を持った(実際には持っていないのかもしれない)だけなのだ、と。
子供だとか大人だとか言うつもりは毛頭ない。
そんなもんに囚われていたら出来るものもできなくなるってもんだ。まぁ事実何もしてないのだけれども。
けれど俺はコイツより数年長く生きていて、それに経験も自分で言うのもなんだが豊富にあるわけで。
大人気ないと言うかガキだなんだと言うか。嫉妬と言うのは至極脅威なものだのだと、知った。
「前もこんな事ありましたよね」
「本当にお前なんどもなんども・・・」
「それ程三蔵の愛を確かめたいって証拠なのかもしれませんね」
「・・・無意味の何者でもねぇな」
「ですよねー!」
そうして、夜は更けつつなにぶん学生の為、早急に帰れねばならんのは明白。
そうでなくとも母子家庭で成り立つ家は門限にも厳しい(らしい)ので
このままバレずに合コンに身を投じていたのなら如何足掻いたって担任の耳に入るのは時間の問題だっただろう。
それを理解した上で三蔵は再びを家まで送るため車を発進させた。
そしてふと思い出す。
「で?課題一をクリアした次はどんな課題が待ってんだ?」
「あ」
「考えてなかったのかよ・・・無計画とは感心しねぇな」
「いや、だって・・・絶対あてる人なんて居ないと思ったから・・・」
「だが、お前の事だから場を凍結させねぇように、少なからず適当でも選ぶツモリだったんだろ」
「全部お見通しですか。まぁ、ウコン茶(アイス)も結構良いと思ったんですけどね」
「アレは馬鹿猿の提案だ。変えてなかったらカシスオレンジだぞ」
「・・・お酒はご遠慮したい所です。(これ以上三蔵を怒らす原因は勘弁被りたいところ)」
「それと、褒美はなんだったか」
「え」
「『チュー』でもしてくれんのか?」
「・・・自分からしたじゃないですかっ」
「ふん、まぁいい。接吻なんぞこれからいくらだってできんだからな。それとも、『既成事実』でも作るか」
「それはもう忘れて下さい!!!!」
まだまだ寝静まる気配を匂わせない街中の喧騒は車越しに伝わり、されど隣でハンドルを操る彼に意識を集中させる彼女には届かない。
できれば帰ったら家でのんびりしようか、と先ほどの騒動を既に遠くの彼方へと吹っ飛ばしたは静かに微笑む。
そうだ、どうせならさっき飲み忘れたホットココアでも煎れようかな。
もちろん送ってくれた感謝の気持ちを込めて是非とも三蔵を家に招いて。2人でのんびりと。
答えはいづれ教えてやるよ
(これまた危険な香りがするのは皆まで言わず)
ATOGAKI
ヒロインのうっかり発言と三蔵のちょっとした勘違いが複雑に絡み合い織り成す今回のお話。(何かっこよく言ってんのさ)そうでもしないとやってられん!笑
高校生と言えば色々な事に興味を示すだろうという管理人の独断と偏見によるちょっとシモイ内容になってしまったんですが、本当はもーっと色濃い話になる予定であったのですね。
しかし其れはココのサイトの方針からかけ離れすぎなのではないか、と正気に戻り抑えた。抑え切れてないのはご愛嬌。←
リハビリだった筈のコレはいつもの調子で尚且つあろうことかいつもより数倍調子に乗り、修羅場を書くのに快感を覚えてしまっている管理人の指は動く、動く。
やめられない、とまらない。河童海老せん!!笑
最終章への布石、その一部です。何弾目かはうろ覚え。笑
教えて欲しい事は、管理人的になんで三蔵先生はヒロインに好きだとか愛してるだとか言わないのか。ヒロインもそれが気になるのか・・・?←
いづれ教えてくれると言うのは・・・まぁ最終章でって事で。
とりあえず、今回のタイトルの意味は『既成事実』についての事ではないとだけ言っておきます。凄く出し惜しみしてる気がするのは気のせいです。笑