題名:反省文


内容


私、は先日窓ガラスを割ってしまいました。枚数で言うと20枚だそうです。

バスケ部部室の掃除ロッカーから拝借させてもらったモップで鬼神の如く暴れまわったりと大変な迷惑をおかけしました。

ごめんなさい。

後でお饅頭と共に、各教員一人ひとりにお詫びしに参りたい所存でございます。

これから、遅刻はどーにもならないと思うので素行だけでもちゃんとします。どうかお許しを。

それと校長先生、窓ガラス代を立替してくださり誠にありがとうございます。

後程払いますので首を洗って待ってろ余計な事しくさってからにコンチクショー。

・・・ではなく、出世払いという事であと数年程待って欲しいです。

忘れた頃に貴方の目の前に叩きつけますので、もう手遅れなお肌のお手入れ代にでもしてください。

そして、生徒のみなさんにも影響を及ぼしてしまい、しかも午後の授業は無くなったと聞いて正直羨ましいと思ったのはココだけの話。

わたしが復帰した頃には授業も進んで午前授業だけと言うのは無いのでしょう。

ってかむしろ補習がわたしに待ち受けているのなんてまるっとお見通しですからね。

その手には引っかかりませんよ。えぇちゃんと心して挑みますとも忌々しい。

最後に、わたしの愛すべき鬼担任サマサマに大怪我をさせてしまった事を一番反省しています。

お見舞いやら身の回りのお世話は謹慎中にさせていただきましたのでその辺はご心配なく。


では。心から謝罪と、反省を。 以上。


                           3年A組 






P.S.反抗期フェアは無事終了致しましたので、寂しいとは思いますがご了承くださいまし。





















これってただの謝罪文じゃね?とは思いますが、コレが私なりの反省文なんです。謹慎最終日に書かせていただきました。
必死こいて徹夜で書き上げ、予想通り寝坊し遅刻して息絶え絶え職員室に提出したんですが。

どうやらわたしはもう一度反省文を書かなくてはならないらしい。はて、何でだろう?






















「こんなもん受理できるかぁぁぁぁぁ!!!!」

「そんなに怒らないでくださいよー渡囲先生。高血圧ですか?」

「、お前と言う奴は・・・!アイツと同じ事をっ」

「?・・・まぁ兎に角、コレ校長先生に渡しといてください。私の謝罪の念がたーっぷり篭っているんで」

「渡せるか!!!書き直しだ、」

「えー!今日遅刻してまで徹夜で頑張ったのにぃー」

「『頑張ったのにぃー(声マネ)』じゃないわ!!お前本当に反省してるのか?!皮肉がたっぷりの間違いだろう!!しかも心なしか校長中心に!」

「・・・ケチ」

「ケチじゃないケチじゃ!!いい加減にしないともう1週間謹慎させるぞ!!」

「それはそれで魅力的・・・はっ!補習が増える!それは駄目、ぜったい!!」

「麻薬は身を滅ぼします・・・って違う!あぁワシまでに汚染されてきたと言うのかー!!」

「面目丸つぶれですね。ププー!」

「日本語の使い方がなっておらん!やはりもう1週間謹慎・・・」

「あぁぁああそれだけはご勘弁を!!もう担任のお見舞いとか暇つぶしが無いんですから!!!」



「ほう・・・アレは償いの念からくるものじゃなくてただの暇つぶしだったワケか」



「え?え・・・?な、ななななななー?!」

「玄奘先生・・・もう体の方はいいのかね?」

「はい。お蔭様で・・・と言いたい所だが、右手が使い物にならんのです」

「骨折には至らなかったんだろう?よかったな」

「(良くはないが)ヒビが入ったのも結構な痛手です」

「お前も大変だな、こんな不良生徒を受け持って・・・」

「ちょ、それどういう意味ですか!私はこんなにも反省していると言うのにっ」

「さっきの発言と、この反省文はなんだ?鬼担任?・・・課題9割増しな」

「ひぇえええええええええ!!!!」

「自業自得じゃないか。ま、課題が増えたなら反省文の書き直しはしなくていいぞ。おまけして成績の評価をワンランク下げてやろう」

「そ、そんなー!!2人して酷い!酷すぎるようぇーん!!」

「反省してんなら態度で示せ」

「そうだぞ、。退学にならないだけマシなんだからな」

「なにこのダブルパンチ・・・鉄壁の塀城と謳われた厳格教師と泣く子も黙る鬼教師とか。笑い事じゃない!!」

「あたりめぇだこの馬鹿娘ぇ!」




スパーン!




「お見事」 パチパチ








そんなこんなで、謹慎から晴れて自由の身になった私、は遅刻さながら登校し、反省文その他課題を提出し今に至ります。
何故職員室にこんな長居をさせられなきゃならないんだ、と悪態つくものの次の授業が一緒の担任と並んで歩けたので気分を落ち着かせる事に成功。
謹慎中は毎日会っていましたが、学校では久し振りであるからしてどこか新鮮さが滲み出てきます。うふふ。コレだよこの感覚。嬉しいなぁ!
事件を巻き起こした癖に不謹慎ではありますが、やはりこの全身から湧き上がる喜びは抑えられそうに無いようです。


「うへへー。なんか何もかも久し振りだなぁ」

「どっかの誰かさんのお陰で俺も同じ心境だ」

「ソレは言わない約束!」

「言いたくもなるだろ・・・事件を起こした張本人がこれじゃあな」

「・・・でも、嫌にならないんだね?」

「ふん。・・・こんくらいで冷めんなら、端から相手にしねぇよ」

「不束者ですがこれからもよろしくお願いしますよー!」

「調子に乗るな、この馬鹿娘」


私が割った窓ガラスは綺麗に修復されていて(といっても張替えたのだろう)廊下も綺麗に掃除されていた。
そしてもう数歩先には、あの事件の終止符が打たれた床。今はもう跡形も無いけど鮮明に思い出せるよ。・・・昨日の事のように。
毎日、夢を見る。あの時の夢と、一生三蔵と合えなくなるオプション付きの特大サービス。参っちゃうよ、ホントさ。
コレが私が犯した罪の代償と言うのなら、足りない気もするのは気のせいじゃないだろうね。私はもっともっと、償わなきゃいけない。
だから、これから一生懸命頑張るつもり。コレが私なりの罪滅ぼしなんですよー。あはは。


「三蔵、片手だけで大丈夫?何でも言ってね!手伝うから!!」

「そうか。だったらこの際コキ使ってやるよ。覚悟しておけ」

「ですよねー!言うんじゃなかった!!」

「ったく・・・俺は定規使わなくとも図形はかけるから安心しろ」

「そうだね。黒板の薄い升目を真剣に見つめて超!きっちりかっちり線引くもんね!『うむ。』とか言って満足げに笑うんだよねもちろん黒板に向かって!」

「何故、知ってるんだ・・・」

「伊達に最前列のど真ん中に座ってませんよー。あぁ昏い」

「・・・・・・」


休み時間なので生徒たちは廊下を歩いてたり友達と談笑・・・そんな何の変哲も無い情景が視界に移り、正直ほっとした。
何か言われるんじゃないか、とか。文句言われるんじゃないか、とか。冷や冷やしっぱなしなんですけど。
ってか、さっきからなんか聞こえるのは気のせい・・・にしたい。


「お!みっちーじゃん!今日はモップもってないんすか?!」
「すまん、安西先生はつれて来れなかった」
「代わりといっちゃなんだが、カー●ルサ●ダースを持ってきたぜ!」
「ケ●タに返して来い」
「これって眼鏡本物なんだぜー?」
「ホントだー!三井も吃驚!」
「いやぁあの時は興奮したよな!俺も真似しちゃおっかなー」
「カッコよかった・・・私ファンになろうかしら!」
「あははーもう一回みたいね!」
「鬼神の如く窓ガラスを割って走る女・・・なんかそそるものがあるよな」
「でもさーあれ見せ付けられたら、」


「「「「「「嫁には貰いたくないね!」」」」」」


「ですよねえええええええ!!!!!」

「ぶっ」


私の久し振りの姿を見て好き勝手抜かす生徒たちは、特に嫌悪も無いようでいつも通りだった。
隣からは噴出す声も聞こえたけど・・・聞かなかった事にする。生徒たちの会話もろとも。

こうして、長い道のりに思える廊下もとうとう行き止まりだ。それもその筈、鬼クラス3年A組は廊下の突き当たりにあるのですから。
それは兎も角、前のドアの前に立つ担任。後ろのドアの前に立つ私。何故か自然とこのフォーメーションになったのかは謎。
ドア越しには教室内は賑わう声が聞こえ、きっと前のドアが開いたらみんな静まるのだろうと考えなくとも分る光景を思い浮かべ、私は思わず笑ってしまった。
少し離れた所から『何笑ってやがる』とかなんとか聞こえたけどこの際シカトする方針です。

では、鬼担任サマ。ご一緒に入りましょうぞ!


――ガラガラッ


「みなさんお久しぶりでーす!」



春うらら。新学期2日目にして1週間の謹慎を言い渡された私は漸く自由の身となり、1週間ぶりに学校に登校することが出来ました。
みんな暖かく出迎えてくれ、あの事件が嘘のように思えてきます。あぁみんなの優しさに、すっごく感激!泣けるでぇ!!


「!ってあぁ先生!もう!一体どっちに対してリアクションとればいいのよー!」

「ギャハハー!!タイミング合いすぎ!!もうこれ傑作じゃね!?」

「みんなぁ・・・寂しかったであります!ホントに、ごめんなさい!!!」

「超意味不明!!いきなり謝ってきたよコイツ!!!」

「・・・もう大丈夫なんでしょ?いつものだよね?」

「もちろん!あの時はお世話になりましたいやはや・・・」

「ギャハハ!!最高だったからOKだし!ってか気持ち良さそうだよ窓ガラス割るの!!アタシもやるし!!」

「やっちゃだめだから!幸子の場合謹慎で済まされない気がする!」

「えり、何気酷いよ・・・」

「ねー、もう『反抗期フェア』は終わっちゃったのー?」

「るせっ!もうとっくに店じまいしたよ!!」

「なんだーつまんないのー!!ぎゃははー!!」


「貴様らいい加減静かにしやがれってんだ・・・」


会話は友人A、Bだけですが、他のクラスメートたちも凄く騒ぎ立てています。
本当にこう言う時は盛り上る世にも奇妙な特進クラス。え?もちろん、私もその中の1人ですとも。
担任も肩の事を心配されつつ、クラスの様子を見て叱るも心なしか満更でも無いようです。素直じゃないんだから!

兎に角、何事も起きなくてよかった。心底安堵に胸を撫で下ろした私は、もうそろそろ予鈴も鳴ることだし席に座る事にしました。

「私の席はっと・・・」

最初に言っておきます。私はこの1週間のブランクなんてものがあったワケでもないし、かといって間違えたわけでもありません。
いや、最終的には間違えたって事になるんですが・・・ついついいつもの癖でして。

本来、最後尾の窓際にも関わらず自然と向かった先は最前列のど真ん中。今現在担任が立つ教卓の目の前でございます。
誰も不審に思っていなかったようです。そのくらい、私の席がココなのだと当たり前だったからなのでした。
『の特等席』。そんな張り紙がデカデカと張られても不思議じゃないくらい定着した座席。
みんなからしては最低最悪だと3日間落ち込む程の席なのでしょう。しかし私にとっては今年で3年目。最高最善の座席なのです。

私は今年も1年間よろしく、相棒。とどこか哀れみの眼をむけつつ、鞄を机の上に置きました。もちろん、最愛の座席に。
しかし、しかしです。私は忘れていたのです。そう、確か自分は新学期、最後尾の窓側だったという事を。
このクラスは全員が揃って居ない限り、それと担任の一言が無いと席替えはしないのです。
春休みと間を空けず謹慎処分になった私は、学校が休みと言う事にこの上なく恐怖を覚えました。休みは学校関連の記憶をうろ覚えにするのです。

前振りが長くなりましたが、教卓の目の前の席に自分の鞄を置いた私、。
しかしその瞬間、背後から聞きたくも無い片言の声が私の背中に投げかけられたのです。
甲高い声で、クラス全体を巻き込んだ彼女、メアリーでした。
そのお陰で有頂天だったは一気にどん底へと逆戻りです。


「オ久シブリネーチャン!デモネ、ソコノ席ハ、メアリーノ席ナンダヨー?忘レチャッタノカナァー?」


「・・・イラッ」


「抑えて!」
「ギャハハまた反抗期かよ?!」


彼女の存在を忘れてました。いつの間にか自然に頭の中から抹消されていました。そのまま忘れたままでよかったのにさ!!
メアリーは、私の顔を覗きこむ形で下から上目線で見つめて来ます。一瞬顔が凶悪に歪んでいた気がしますが見なかった事にしておきますね。
何より自分の怒りメーターの為に。ソレは兎も角、何故か教室内がシンと静まり返ってしまいました。息を呑む音も聞こえてきます。はて、何でだろう。


「チャン、休ミボケカナ?モウ学校ナンダカラ、チャントシナイト駄目ダヨー?」


「ソウデスネー」


「、片言移ってる!」
「『アルヨー』とか付けたら萌えだと思うんだけどー!!」


、我慢だ我慢。堪えるんだ・・・!!今ココで怒りを爆発させてしまったらまたしても反抗期再来じゃコラァァァ2(ツー)になること間違いなし!
どっかの厚化粧な友人Bの発言も無視です。ってか『アルヨー』はなんか違う気がするんだ!


「ネェ、早ク退イテクレナイト、メアリーガ座レナイヨ〜・・・チャーン」


「あぁ、ごめんね。私間違えちゃったみたいだね。すまんね。いやぁすまんすまん」


「眼が笑ってないよ」
「そして気持ち篭ってないんだけど!」


気を取り直して、鞄を再度持ち室内を移動する私。なんか色々突き刺さる視線が痛い。攻撃的じゃなくて、言葉にすれば『ご愁傷様』的な。
やっぱ・・・このクラスメート達は薄情物でした。えぇ、私もその中の1人・・・って凄い屈辱感!!
あぁ、なんか窓際族みたいな感じだね。机の中はまだ何も入ってないし心なしかガラリと寂しそうな空気に包まれているような錯覚に陥った。
ってかちょっと、担任。黙ってないで何とか言おうよ!!


「じゃあ授業始めんぞ・・・、号令」


「・・・きりーつ・・・れー・・・・・・爆発」


「どかーん・・・っじゃねぇ!真面目にやれ真面目に!!」



「反抗期・・・再来?」
「ギャハハー!盛り上ってまいりました!!!」


この時、私の脳内にはメアリーの凶悪な表情でいっぱいでした。あのしたり顔がこびりついて離れない。
言われた号令も上の空。笑い声も、向けられる視線も、全部どうでもよくて。
メアリーに汚染された脳内では、腐食化が進んで居る様で、どんどん思考回路がショートしてきた。
そんな中、とても隅っこの方でおぼろげに思うことが一つ。

――室内はそんなに広くないのに、窓際族と教壇までの距離がとても・・・遠く、遠く。



「・・・どかーん」



私の呟きは誰にも聞き取られる事はありませんでしたが、言葉通り、私の思考は爆発してしまった。のかもしれません。




















誤爆自爆どっかーん

(どっかの爆弾魔みたいな台詞だ)











ATOGAKI
カタカナ読むのめんどくさいっすね!ってか読み辛いっすね!!←

前に書いたかな・・・三蔵先生はプライベートでは名前呼び。学校では苗字とオフオンを割り切っています。今更ですね。笑
謹慎中の事を書こうと思ったんですが、ソレと言って目新しい展開が浮かばなかったので省略させていただきました。
久し振りのメアリーそれと色んな人。『起立礼爆発』ネタはだれかが前に言ってた様な気がします。ちなみに私は爆笑しましたよ。笑
うん。ちょっと眠いんでまとまらないけれど・・・次回からそろそろ本題に入りたいと思います。

ってか、謹慎中に三蔵先生の身の回りのお世話をしたと言うところに誰もつっこまないのがミソだと思うんだ!笑