心臓に直接叩き込まれるような爆発音。
一瞬の輝きを放ち、空に消えていく大きな光る花。
夏の一大イベントである花火大会に便乗して、着飾った私は彼の後ろを付いていく。
握られた掌が熱を帯びて、本当に掴んでいるのかさえわからない。
歩調を合わせてくれる彼は振り返る事無く進み、目的地も告げずただひたすらに歩いた。
壮観なまでの花火の様に、一瞬でもいい。
ただ貴方の胸に、私と言う存在が少しでも残れば。
それでいいのに。
埋め合わせだと彼は言った。前回の事はそんなに気にしなくていいのに、優しい彼は頑なに主張する。
嬉しかった私はもちろん2つ返事で了解するのだが・・・。問題は起きた。
「おはよう、。遅刻しないで偉いじゃないか」
「あ、おはよう焔にぃ。私だってそう毎日遅刻してるワケじゃないもん!」
朝、時間通りに登校したは補習が始まる時間に備えて準備する。
そんな時に現れたのはのいとこである、この学年に赴任してきた焔。
まだ教科は決まっていなくて、三蔵に指導されながら副担任なポジションで落ち着いている。
「朝食が整うリビングで交わす挨拶じゃないんですから…」
「あれじゃ夫婦か本物の兄妹だワナ」
「親戚なんだから普通じゃねぇの?」
「一応ココは学校ですからね、悟空」
「そうそう。こんな場面、アイツが見たらどーなるか…」
「うげー。想像しただけでも無理無理無理」
「さんってば、こういう時は鈍いですからねぇ」
「罪作りなおんにゃのこだな…可愛いから許す」
「エロガッパ…」
朝の教室はなんとなく空気が張り詰めていて、どことなく緊張感を感じた。
でも寝ぼけている雰囲気も入り混じっていて不思議な感覚だ。
遅刻せずに来れた日は少ない方だからこの感じは毎回思う。慣れないなぁ、と。
「今日の補習1時間目は俺が担当することになったんだ。だから、よろしくな」
「うん。アレ、先生は…?」
「玄奘先生はちょっと用があるらしくてな。校内には居ると思うが…わからない事があったら俺が答えるから安心しろ」
「あはは。焔にぃって頭いいもんね。こちらこそよろしくお願いしますよ、焔先生」
今日の補習は三蔵居ないんだって。なんか、物足りない。
夏休みの補習と言うものは、週に2日づつあるものだ。
別に連絡を取って会えばいい話なのだが、やはり学校で会うと言うのはなんだか別格の様な気がする。
そんな複雑な心境を自分でもわからないまま、は補習に集中する事にした。
「って集中できるワケないじゃん!!!!!!」
そうなのだ。今日は約束の花火大会の日なのである。
本当は補習なんてサボって準備に勤しみたいところなのだが、担任は許してくれまい。
現には律儀に担任に相談した所、当たり前だが許可が下りるはずも無く浮かれた頭で登校した、と言うわけである。
「…俺の授業は集中できないのか…?」
「あ、ゴメン焔にぃ…そういうワケじゃないんだけど、ね」
「じゃあどういうわけなんだ、!」
「えっと…だから、その…(めんどくさいなぁ)」
それは流石に酷いんじゃないか、って感じのの心の呟きが色々と物語っていた。
兎に角騒ぎ始めた焔を宥めなくてはならなくなったは、自分が発言してしまった事を心底後悔したとか。
ちーん。
「はぁ・・・なんで補習って3時間もあるの?お昼前に終わるとしても中途半端な時間だよねぇ…」
いそいそと帰り支度をしながら、ため息混じりに呟いた。
この学園は一応進学校とあってか、勉学に関しては厳しい方なのである。
基本的に生徒は成績が良い者しか居らずこの補習も自主的なのが多い。
そんな中、唯一出ろと言い渡されたのがだ。この学園始まって以来の事じゃった…。
「幸子なんて素行悪いじゃん…!でも頭がいいとかありえん!!」
遅刻魔のお前が言うな。そんな言葉が何処からか聞こえてきそうだ。
と言ったようにの午前中はそんなこんなで終わる。昼食後は夜に備えて準備開始だ。
三蔵の実家に行くのは夕方前なので時間が余り無い。は急いで帰宅することにした。
準備と言っても前日やなんやらと、し始めていたので浴衣の着付けとかそんな感じだけである。
「早く着替えて行くぞ」
「ちょ、先生…出てってくださいよ」
「あ?」
「『あ?』じゃないですってば!今から乙女が着替えると言うのに居座るつもりですか?!」
「浴衣に着替えるのは良いが、一人で着れんのか?」
「…のーぷろぐれむ」
「…」
昼食を終え宅に帰ってきた2人。三蔵は渋々廊下で待たされるという事になっていた。
が実際に1人で着付けが出来るのかどうかはいいとして、何故こんな糞暑い廊下で待たされなくてはならんのか、と。三蔵は1人ごちた。
どうせ暫くしたら帯が結べないと泣き言を言うに決まっている。現にドアの向こうでは帯と格闘している声が聞こえていた。
呆れながらも部屋に戻っていく三蔵は内心、楽しんでいるに違いない。
「うはぁ〜先生って浴衣の帯結べるんですねぇ。意外すぎる」
「うるせぇぶっ殺すぞ」
「照れない照れない」
「…」
「すみませんでしたその掲げているハリセンを降ろしてくださいごめんなさい!!」
帯を持ったままハリセンまで抜けるとは。どこまで器用なんだこの男は、とはハラハラしながら思った。
てきぱきと結ばれていく帯を見つつ…いや、見れないんだけどね。
は時々触れる三蔵の手にドキドキしながら後ろを向く体制でよかったと心底思う。
化粧で誤魔化せない程赤くなっているだろうから。
「ど、どう…ですかね?」
「・・・・・・馬子にも衣装だな」
「言うと思った!絶対言うと思った!!」
そんなこんなで準備を終えた2人は三蔵が運転する車に乗り込み、目的地へと向かった。
三蔵の実家まで約3時間と言ったところか。『前日に泊まりに行く』でもよかったのだが補習を忘れちゃいけねぇのさ。
現在15時。花火が始まるのは19時からなので余裕は十分にあった。
それと忘れてはいけない。三蔵もの要望で浴衣に着替えなくてはならないのである。
「花火大会の会場って三蔵の実家から近いの?」
「近いな。歩いて10分程すれば直ぐだ」
「じゃあ家からでも見れるんだね!」
「そうだな。だがお前は出店に行きたいんだろ?」
「うん!りんご飴とー焼きそばとーかちわり買ってもらうの!」
「・・・増えてねぇか?」
「気にしない気にしなーい!」
何処から見ても浮かれているのが丸わかりの。
三蔵もつられるように自然と笑顔になっていくのだが、それは誰にも知られること無くすぐさま顔を引き締め運転に集中する。
そうして3時間。三蔵の犯罪すれすれのスピードで若干早めに着いた2人。
車を降りたは、目の前に聳え立つ建物に釘付けになった。
「お、寺・・・?」
お寺だったのだ。それは由緒正しき日本の伝統と言わんばかりの立派なお寺。
この隣の男から想像もつかないような実家にはただ唖然とするばかりである。
「なんか文句でもあんのかコラ」
「いえいえ、ただ…」
その先は、何も言うなオーラを出す三蔵によって遮られるのは当たり前である。
ただっぴろい境内を突っ切り、本堂へと入った2人は仏像の前で正座。
三蔵は帰ってきた時には必ずこうして手を合わせるのが日課だと言う。
もそれに習って暫く目を閉じた。静かだ。何と言うか、心地よい静けさだった。
「おや?江流、帰ってきてたんですか。おかえりなさい」
暫く精神統一よろしくな静かな時間を過ごすと、奥から人影が。
それは見紛う事無き、あのお坊さん。金髪で後ろ手にみつ編みをし、優しそうな顔。
「あ…」
見たことあるのは当たり前だ。このお坊さんはの父親が亡くなった時、葬儀で読経してもらったお坊さんその人なのだから。
唖然と見つめる。三蔵は知ってたのだが、あえて教えることもあるまいと思って黙っていたのである。
そんな事ならもっと別の物を用意したのに、とはいそいそとお饅頭を渡す事にした。
「まぁ、あの時のお嬢さんでしたか。大きくなりましたねぇ」
「あ、あああの時はお世話になりました!まさか先せ、三蔵のお父さまだなんて知らない物でしたからえっと」
「兎に角落ち着け」
「相変わらず可愛らしい娘ですねvこんな鬼みたいな三蔵に捕まっちゃってさぞ苦労していることでしょう」
「いいいえ、そんな苦労されているのは三蔵の方でして、私なんかいつもお世話になりっぱなしでしてお恥ずかしいです!」
「何語喋ってんだお前は」
第一印象のへったくいれもない挨拶なのだが、この暖かい雰囲気に顔を緩めた。
ちなみに、三蔵の生徒だという事は伏せています。は自分の社会性の無さに泣いた。
「では、三蔵の着替えが終わるまでお茶でもしましょうか」
「はい!あ、手伝います!」
「ありがとうございますvさんは本当にしっかり者ですねぇ」
「そ、そんな事ないです!母と2人暮らしなので、家事やらなんやらやらなくてはならないので…」
「十分、偉い事です。そんな謙遜なさらずに、堂々と胸を張っても良いのですよ」
「えへへ…ありがとうございます!」
光明と会ったのはあの葬儀以来であった。なのでどこかそわそわした様子のに光明は思わず笑が漏れてしまう。
あの時は今より随分幼くて。そういえば何歳になったのだろうか。
光明が疑問を口にしようとしたのだが、着替え終わった三蔵が来たことにより口を閉ざす事となる。残念。
はと言うと、思わずお茶を噴出しそうになるくらいに動揺していた。…アレだ。浴衣だよ三蔵先生。
「・・・なんだ」
「・・・」
「・・・」
「・・・浴衣だぁ・・・」
「・・・」
「似合ってますよ、江流v」
「・・・」
光明がを代弁してくれた所で、着慣れないものを着ているので気恥ずかしくなったのか、三蔵はドカリとの隣に座る。
光明の向かい側に座っている2人。並んで見ると実にお似合いである。
「うん。かっこいいよ、三蔵」
「このタイミングで言うか普通…」
「予想外だった。いや、絶対似合うとは思ってたけど・・ここまで似合ってると反対にムカツクね」
「お前が着ろと言ったんだろうが。そんなしみじみ言うことでもないだろうに…」
お互い照れ隠し?の様な会話を交わしながら光明は1人、微笑ましい光景に和んだと言う。
まさか三蔵に…と、1人微笑みを漏らす光明が居たとか、なんとか。
「行くぞ」
そろそろ始まる時間だろうか。3人机を囲んで穏やかな一時を堪能していると、徐に三蔵が言った。
時計を見てみると開始10分前くらいだ。居心地が良すぎて時間を忘れてしまう所だった。
少々後ろ髪を引かれながらも、2人は会場へと向かう。
光明も誘ったのだが『2人でいってらっしゃい』と言う言葉に甘え家を出た。
「ナウなヤングに着いていくなど、無粋ですしねぇ」
玄関先で死語が聞こえたが、ここは。気にしないことにする。
空に咲く大輪の花の様に、一瞬だけでも輝ける日が来るのだろうか。
「うわー凄い人…結構いっぱいいるねぇー」
「この辺の奴等にしてみれば、年に1度の1大行事だからな」
「三蔵、大丈夫?人混み苦手でしょ?」
「都会に比べればどーってことねぇよ」
「へへへ…ありがとう」
会場に着いた時には既に人混みで溢れ返っていて正直、少し不安だった。
三蔵はこういうところが嫌いで、しかものわがままに渋々付き合ってくれたのだ。
それが心苦しくもあり、でも滅多にないデート。花火が打ち上げられると共に、は不安を打ち消した。
「なんか本当に、恋人みたいだね」
「何今更の事言ってんだ、お前は」
はぐれない様にと考慮してくれる三蔵。手を繋ぐのは慣れない事だった。普段あまり恋人らしい事はしてくれない彼は珍しく積極的だ。
学校の近所では無いと言うのが後ろめたさを無くしているのだろう。はそれがとても嬉しかった。
「あ、かちわり発見!隊長、アレが欲しいであります!!」
「わかったからハズイ事言うなっ」
「あ、あそこに焼きそばも!あれも買ってー?」
「あぁ。もう好きにしてくれ…」
お前は馬鹿猿かとツッコミそうになったが抑えた。
ココにはあの笑顔の青年も、エロガッパも馬鹿猿も居ないのだ。
こんな時くらい2人きりを堪能したいと思う三蔵である。
「やっぱり花火といえばあれだよね!」
「なんだ」
「たーまやー!」
「・・・」
夜空に打ち上げられた花火が大きな音と共に咲き乱れ。
ひとたまひとたま丹精込めて作られた火薬玉は職人の手によって打ち上げられる。
成功するのを願って。綺麗な花を咲かせてあげたいと。自分の全てを火薬玉に乗せて。
「綺麗だね、三蔵」
花開く瞬間に照らされた横顔は、どこか愁いを帯びていて。
「・・・そうだな」
思わず見入ってしまった。花火より、隣に居る存在に。
「ねぇ、三蔵。すっごくその浴衣、似合ってるよ」
手から伝わる温もりに神経を持ってかれ、内心緊張気味のは唐突に言った。
集中して無いとわからないくらいな反応を示す三蔵は、暫し呆れ顔で。
見入っていたことに気付かれたかと、内心慌てたが振り返った彼女の顔を見ると杞憂だったのだと胸を撫で下ろした。
「いきなりなんだよ。さっきも言ったじゃねぇか」
「いやぁ〜なんとなく言いたくなったっていうか?」
「なんだそりゃ」
目当ての物を買って道路脇に移動した2人は、手をそのままで次々と打ち上げられる花火を見上げた。
でも、意識は互いに隣へ。恋人繋ぎなんてそんな大層なものでは無いが、十分幸せを感じられる。
「なんかさー。こうして2人っきりで出かけるってあんまり無いよね」
「いつもはうるせぇ馬鹿共が居るからな」
「あはは。楽しいからいいけどね」
恋人気分を堂々と満喫できるのは普段の生活の中で無に等しい。
だからこそ今が新鮮で、与えられた『恋人』の時間が気恥ずかしくもあり、喜ばしい事実でもあった。
その証拠にの顔には終始喜色満面に満ちあふれていて、三蔵は誘ったことを心底よかったと思う。
埋め合わせと証して、実は己が1番行きたかったなど…死んでもいえまい。
「お前も、」
――似合ってる。
「え?なぁに?」
花火にかき消された言葉は、唇に乗せて。
「――!」
「…アホ面」
「なっ!さ、三蔵!!」
「返るぞ。そろそろ疲れた」
「三蔵の馬鹿ぁ!!!」
「置いてくぞ」
馬子にも衣装。最初に言ったが、本音は着飾ったはこれ程になく魅力的で。
キスが精一杯の言葉だった。伝わったかどうかは別としてだが。
暗くなったり、明るくなったり。それで垣間見れる三蔵は照れているのか耳が赤くなっていて。
それ以上に恥ずかしそうなは気付けなかったが、先ほどとは違い指を絡めた掌の温もりに一層嬉しさをかみ締めた。
「あ、りんご飴」
「まだ食うのか」
「あれが本日のメインディッシュなの!」
「太るぞ」
「うるせぇやい」
ねぇ、三蔵。私は貴方の心の中に残れる様な存在ですか?
一瞬でもいい。一瞬でもいいから、輝いてる?
「三蔵、大好き!」
「・・・そうかよ」
繋いだ手をそのままに腕を絡ませ、いつも以上には甘える事にした。
普段は出来ないのだから今だけは、いいよね。自分に自問自答して、この瞬間を大いに昇華する。
帰り道、背に花火の光を浴びながら2人は何を思うか。
「三蔵のお父さんにもお土産買ったし、後は家で見ようね三蔵!」
「それまでに終わってなきゃいいがな」
「もー!夢の無いこと言わない!」
「はっ」
「鼻で笑うな鼻で」
家からでも十分見える花火。だがの要望で態々会場に出向くことになった。
それは何故か。
お祭りに行けなかった事に、何故そんなに気負うものがあるのか。
(俺はお前に行動で示さなきゃいけねぇんだ)
言葉に出来ない分。好きだと言えないのだから。だから。
負い目を感じている訳ではない。否、そんな理由で態々苦手な人混みに行けるほど神経は図太くない。
全てはの為。愛しい存在が笑ってくれるなら、己は何でもしてやれる。
「穿き慣れない下駄って案外疲れるんだね…」
「ただ単に運動不足なだけだろ」
「そういう三蔵だって通勤は車だし…大丈夫?足痛いのやせ我慢してない?」
「ぶっ殺されてぇのかお前は」
何処からともなく出してくるハリセンを出さないだけマシであろう。
今日は特別なのだと、は嬉しそうにはにかんだ。
「でーっかい花火、綺麗だったね!久し振りに見たよー」
家路に着いた2人は時々花火に照らされる田舎道を興奮収まらぬまま足取り軽く歩いた。
まさかこうやって2人で花火を見れる日が来ようとは、誰が思っただろうか。
決して離さない手や、寄り添っても嫌がらない三蔵、いつも以上に甘えてくる。
2人とも見慣れない格好で、新鮮な気持ちになれた。素直に楽しめる。
来年もまた来れたら。そんな柄にも無いことを思ってしまうのも、この時が幸せの証拠だろうか。
「、――!」
「・・・へっへへ。お返しだよ、三蔵!」
「上等だ…」
三蔵の首に腕を伸ばし、頑張って背伸びして漸く届く背の高さ。
不意打ちを喰らった三蔵は、ニヒルに笑う。
そしてもう一度、己の唇を押し付けるのだ。今度はしっかり腰を引き寄せて。
「こんな所で、恥ずかしい…」
「お前から仕掛けて来たんだろうが」
「それはそうだけど…やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいの!でも嬉しい!」
「どっちなんだ…」
夏のくせに夜は肌寒い。だから、抱き合った温度が丁度よかった。
浴衣越しに伝わる温もりに身を寄せて、2人は離れたくないと言わんばかりに暫くそのままで。
幸い田舎と言うこともあり、人通りは無い。好都合この上ない状況を十分に利用する手は無いのである。
「早くしねぇと、花火終わっちまうぞ」
「・・・うん」
「いいのか?」
「・・・こっちの方が、いい」
「・・・そうかよ」
先生と生徒を演じるのは学校に居る時だけがいい。
こうやって枷を外して恋人である時間を昇華して、一緒に笑い合って、愛し合って。
端から困難があることは十二分に承知している事。
だから。この時だけは素のままの関係で居させて。
「ったく…本当に我が侭な奴だな、お前は」
「満更でもないくせに」
「普段我慢しているお前への、褒美だ」
「じゃあ、私も三蔵にご褒美!」
「こんな暑苦しいのは御免だがな」
「・・・満更でも、」
「うるせぇ」
まったくもって、しょうもない馬鹿娘だ。
の言うとおり満更でもない、むしろ自ら望んで抱きしめる三蔵はさらに腕の力を強めた。
素直になれない分、行動で示して。言葉なんて要らないくらい、この思いが伝えればいい。
口に出来ないのはこの性格上、これからもそのままだろう。
三蔵の精一杯の愛情表現はわかりにくいものがあるが、には十分伝わっている。
これ以上の幸せが、あるのだろうか。
本日最後の花火が打ち上げられるのを横目に、もう一度口づけを。今度は深く、甘く。
花火のように輝けなくともいい。ただ貴方の記憶に残る事ができるのなら、それでいいんだよー。
僕らの花、
一瞬で消えても後悔は
しない
(後悔なんざ、真っ平御免だ)
ATOGAKI
タイトルとか色々、いつもと違う感じにしてみた。そして前半部分は必要なのかわからない。笑
長らくお待たせいたしました。花火大会篇、無事にupできました。長い。お待たせしてしまった時間も、文章も。
兎に角甘を取り入れてみたのですがー!個人的にはギャグを前面に出したかった。いや、それは駄目だろうと頭の中に住む妖精さんにツッコまれました。
実際に花火大会に行ったりして考えてみたけれど、やっぱいつもの感じに終わってしまいましたね。笑
終始グダグダなのはやっぱ、甘と言うものは難しいからであって、管理人が苦手ry。考えがまとまらない!!!!orz
うおおおお!まだまだ夏休みは終わらない!8月イッパイは夏休みの話中心で書いていきたいです!!
また光明サマを書きたいです。それと、花火を背に浮かび上がるシルエットとか…いいよね←