手に持ったソレの重さは命の重さ
ずっしりとそして冷たいソレは貴方と同じもの
これにいつも守られていた
今は、自分で自分を守り――貴方を守りたい
trigger Act:54 引き金を引く時は
「母さん!!」
路上へと停めた車内から周囲に気を配っていた矢先、路地の角から母親を抱えた赤髪と後ろに茶髪
外を見ていたケンはいち早く気付き飛び出した
その声を聞いた母親も同様悟浄の腕から抜け出し互いに抱き合う親子
なんと微笑ましい、感動の再開だろうか
まで涙を浮かべその光景を見ていた
「あーなんで皆さんおそろいでココに居んのよ?」
「GPSを追って来たんだ。それより焔は?」
「焔ならもう直ぐ来ると思うぜ!」
不思議がる悟浄に簡潔に説明を施し今姿が見えない男の安否を一応聞く
悟空の言葉通り幾らかして焔も同じ所から出てきた
これで揃ったワケだが焔の表情が聊か晴れないのに気がつく
「おかえりなさい。どうしたの?」
「あぁ…少々厄介なことになってな」
首を傾げて見上げてくるを撫でながら観音に目を向ける
先ほどの事を報告しなければならない
逃げたはずの社長と、三蔵達の状況を
話終えた時、はこれほどにもなく不安に揺れた
あの、いやな予感が当たってしまったのかもしれない
となれば、三蔵は無事ではすまないだろう
動揺するを傍らに観音はいたって冷静だった
あの男がココでくたばるワケがない、と不敵な笑みを携えながらを安心させるように撫ぜる
その掌が不覚にも温かくて、焦っていた心が冷静を取り戻すにもそう時間はかからなかった
慈悲と慈愛をこめたその瞳が教えてくれた
三蔵は、の不安はきっと――
「じゃあと親子は安全な場所に、」
「私も、行きます。行かせてください」
観音の言葉を遮りは言った
その瞳は進撃に訴えてくる
決意を秘めた、その奥底には戸惑いも不安も無く――静かに射抜く
呆気に取られる一同を他所に光明が口を挟む
「これからは先ほどより危険です。それでも貴方は行きますか?」
怖い
怖いけれど
は譲れなかった
ただ待っているだけでは駄目なのだ
祈っていても、何も変わらない
今まで幾度と無く守られてきた
その三蔵を、今度はが守りたいと
何も出来ないかもしれない
足手まといになるのは十分承知の上だ
でも、それでも行かなくてはならない気がする
「行きます」
その一言に、全ての思いを詰め込んで音に乗せる
悟空のように元気なわけではない
焔のように全てを冷静に受け止めたものでもない
悟浄のように軽くても奥底に秘めた強さでもない
は、らしく
ありのままに発した声
「ふっ…これが知れたら怒られんだろうな。あの金髪によ」
「その時はさんが何とかしてくれますでしょう」
「ったくよー。いいねェv彼氏も彼氏なら彼女も彼女ってやつ?ま、俺は嫌いじゃねぇけどサv」
「…俺の見込んだ通り、いい女になったな」
「へヘッ!カッコいいぜ!」
危険だけど、の想いが伝わったからみんなは賛同の声を掛ける
それぞれ思い思いの表情を浮かべて
「八戒の説教も覚悟しねーとナ」
「俺、それだけは勘弁…」
「大丈夫!私が全部引き受けます!」
「「潔く説教受けさせていただきます」」
悟空と悟浄はにだけ説教を受けさせる気は無いらしい
まぁ、後々小言を貰うんだったら潔く、ね
「さて。準備は出来てんだろうなぁ?」
「バッチリですよv」
「まったく人使い荒いのは相変わらずだな」
これから戦闘に行くと言うのに余裕綽綽な観音の一言
それに満面の笑みを浮かべる光明
呆れながらもノリ気な焔
「行きましょうか!」
何故か元気な、と個性派集団は目的地に行くため車に乗り込んだ
親子は桃源郷の別館にも手が回っているかもしれないと言う事で
比較的安全な焔の隠れ家に非難してもらうことになった
何度も謝罪と感謝を口にする母親は涙ぐみ最後は笑顔でお別れだ
ケンも先ほどとは打って変わって喜びが前面にでて見る者を勇気付けるような、そんな笑顔
「無事で、帰って来いよな!俺たち待ってるからさ!」
「うん。行ってくるね!」
車が見えなくなるまではちきれんばかりに手を振り続けるケンを背に一行は都心へと向かう
最後の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた
手に持つ銀色の拳銃
それは三蔵が持っているリボルバー式ではなくオート式
弾は十分に込めてある
ストックだってあるし弾切れの心配はなさそうだ
自分はこんなに貰っても必要ないかもしれない
初心者でも扱えるソレは見た目より聊か重くて
なれない重さはの心に大きく圧し掛かる
コレは意思の表れなのだ
自分で自分を守る
そして――三蔵を、守る
そう決めたのだ
とはいっても何も出来ないかもしれない
守ると言っても銃を撃つだけが守ることではない
決意だけでもいけないと言うことは分っている
それでも、大切な人を守るのに理屈はいらないのだ
自分に出来ること
それがに課せられた大きな課題
否、やらなければならないこと
三蔵を目の前で失いたくない
ましてや大人しく家に篭って報告を待つだけもだめなのだ
自分が、過去と決着を
そして彼を――
守るなんて大それたこと出来ないけれど、また同じ過ちを繰り返してはいけない
これは自分で思ったこと決めたこと
だから
私は銃を手に取った
引き金を引く時は、刻一刻と――・・・
To be continued.
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ATOGAKI
ちょっと急ぎすぎたかもしれない。そして八戒…あまり心配されてないですね。ごめんなさい!
それとヒロインが言いたかったことがね、上手くまとめられなくて何を言いたいのかさえもわからない…これも管理人の力量不足と言いますか言い訳にしか聞こえない
予定を大幅に変更してあと数話で終わります。紅孩児達のことも組み込まなくてはならないのでまだまだ長くなりそうですが私の予定ではこのマフィア編と共に終わらせます
過去との決別…も含めてなんですがあんまり関係ないかもです←。いいのかそれで。