こんな所で終わってたまるか…アイツの元にかえらなきゃならんからな



 ――ねぇ三蔵…貴方はちゃんと帰ってくる?貴方は今、無事なの?
























   trigger  Act:52 四面楚歌

























「いやぁ…予想していた事ではありますが現実になっちゃうと恐ろしいですねぇ」

「…本当にそう思っているのか?」

「ふふふ…嘘ついてるように見えますか?」

「あぁ。俺には少なくともそう見えるな」



ジャキと言う音と共に向けられる銃口

目の前の男は不敵な笑みを浮かべコレがワナだとわかったときには既に遅く

囲まれたと理解するには十分で、それでいて余裕気味な2人

向けられた銃口の数なんぞどうでもいい、と言う様に三蔵も懐から愛銃を取り出す

そして目の前の胸糞の悪い男の眉間に照準を合わせた――


































    パンッ――








「三蔵…?」









「おや?どうしたんですかさん」

「いえ…三蔵のマグカップがいきなり割れて…」





「伏せろお前ら!!」






けたたましく鳴り響く大量の銃声

観音の声と共に激しい雨のように降り注ぐそれは室内の物を次々と壊していく

壁や椅子、机までも蜂の巣状態になる中その場に居た3人は銃撃を交わすため物陰に隠れた

観音も敵対するため何処からともなく拳銃を取り出すと応戦する

窓から見えていた黒ずくめの男は倒れていき、それでも姿が見えない敵からは銃弾が打ち込まれる

全員がマシンガンなのか一向に止む気配の無い銃弾の雨

こんなこともあろうかと、様々なところに隠し通路などある桃源郷本社

この部屋も例外ではなく何も無く見える床を観音は開けた

3人はすぐさま中に入りケンの居る部屋へ向かう


「一体なんなんでしょうか…」

「ふぅ…大方トイの差し金だろうな。戦力が欠けた今をこことぞばかりに攻撃しに来たのさ」

「最初からわかっていたんでしょうね」

「糞ッ。俺とした事が油断しちまったようだぜ」

「兎に角今はケン君を助けて、他の人達が帰ってくるのを待ちましょう」


敵に気付かれないように薄暗く灯った照明を頼りにケンが居る数メートル先の部屋に通ずる廊下を歩く

何もかも仕組まれていたのなら…だったらコレはこちら側のミスの他ない

さすがこの街の中枢を牛耳る男

一筋縄ではいかない事に観音は苦虫を噛み潰したような表情になった

ココまで手を出してきたのなら、きっとあの2人…否5人にも手が回っているのは明らかで

元々人数が少ない桃源郷は今手元に駒は無く、打つ手が無いのだ

少々一手を打つのが遅かったか――



「私も久し振りの戦闘…なんだかワクワクしますよ」

「フッ…久し振りにタッグを組むか?俺は御免だと思ってるがな」

「奇遇ですねェ。私も貴方とはもう組みたくないですよ。でもそうも言ってられない状況じゃ仕方ないですけど」


「あの…お2人は何かなさってたんですか?」


疑問に思うのも無理も無い

今交わされた観音と光明の会話は意味ありげでとても物騒だ

は首をかしげた


「俺等はな…なんつーか昔裏家業を営んでいたんだ」

「それが今では大きくなってこの『桃源郷』が出来たんですよv」


観音が築きあげたこの桃源郷

しかし方裏には光明の力添え…なるものがあった

昔は観音の言うとおり裏家業を営んでいた2人

まぁ2人に言わせれば『暇つぶし』なんだろうけど驚愕の真実には変わり無い

色々やんちゃをしてきたのだと言う2人には…とっても興味を惹かれた

と言うか単純に『カッコイイ』とか言っているのだが


「オイオイ。俺たちの泥仕事をカッコイイなんてよく言えるなぁ…ククク」

「ふふふ…嬉しいことですねぇv」

「私の両親も同じようなものですし」

「そういやそうだったな。さすがマフィア…カモッラの娘ってか?傑作だ!ホント俺の周りにはろくな奴が居ねぇよ」

「モチロン貴方も含めて、ですよ?観音」


まったく…コレだから面白い、と観音は笑った

己が作ったこの桃源郷と名乗る何でも屋紛いの会社

それに己が思うままに集まる様々な人種

全く持って滑稽だとどこか憂いを帯びた瞳に何を思うか観音

その慈悲と慈愛を込めた瞳はとても楽しそうに細められた



無事にケンの居る部屋にたどり着くと慎重に扉を開けた

この部屋は何も被害は無く敵にも見つかっていない様だ

ソファに座って未だ状況が理解できていない少年を床下に引きずりこむと地上に通ずる扉を閉めた


「な、何が起こってんだよ?!」

「まぁ静かにしろガキ。今この会社は敵がわんさか来ててな…ちぃとばかし危険なんだよ」

「ふふふ…落ち着いてください。今から安全な所に避難しますから」

「大丈夫みたいだから、強いお兄ちゃん達が帰ってくるのを待とうね」


やっぱり状況が理解できない…と言うか理解できるような発言が少ない3人の言葉になんとなくだが理解したケンはおとなしくなった

聞き分けのいいガキは嫌いじゃねェぜ、と言う観音に促され一行はまた別の所に行く

暫し歩きとある場所に行くと地下の駐車場に着いた

車が並び様々な車種がある

ココには蛍光灯が爛々と光り本当に普通の地下駐車場のようだ

でも見る限り外へと通じる出口がない


「ココの出口を開けたら気付かれる…だから強行突破するっきゃねぇよ」


観音は手に小さなリモコンを出して開くと思われる壁を指差した

この扉をあけて坂道があり、そして地上に出る扉をもう一つ開けると出れると言う

2重扉になっているらしく、でも一見見ただけではわからなかった


「まぁ実際開けてみればいいんですよ」

「ホント凄いですね…」


驚いているはまだ仕掛けがあるのでは無いかと見渡している

それを微笑ましく思う光明は軽くだが説明するともっとは驚愕に目を見開いた

どれもこれも自分には新鮮で別世界に居るみたいだった

でもコレは物語りでも空想のものではない、現実なのだ

だから追っ手は来るし、今も早々に出なければならない

下手したら囲まれて袋のねずみ状態になってしまうかもしれないのだから


「なぁ、どの車にのるんだ?」


やはり少年は車に興味があるようだ

そうれもそうだろう

ここにある車はどれもこれも高級車、1世代前の旧車、新車などなど

全ての車種があるのでは無いかと思うほどだ

ケンの言葉にニヤリ、とどこか人の悪い笑みを浮かべた観音

先ほどの慈悲と慈愛に満ちた瞳は見るも無残に消え去っていた


「やっぱガキはガキだなぁ。全部俺の自慢のコレクションだぜ」


実は観音、無類の車好きであることが発覚

それは置いといて観音はポケットから一個の鍵を出した

金色で蛍光灯の光を眩いくらいに反射するそれは、には見知ったものだ

金色の鍵と言うものが珍しくて見入ってしまったことがある

そしてその鍵の車に何度も乗せて貰った

そう、その鍵は


「三蔵の車、ですよねぇ…?」

「お。やっぱ知ってたか。そういや結構持ち出しされてたからなぁ…お前と一緒にドライブしてたのか」

「あの子がドライブ…ぷ」

「なぁなぁ!どれだ?その鍵の車は!」


金色…といえば鬼畜男の象徴であるのだが鍵まで金色と言うのが多分味噌なのだろう

ってか観音はそれを狙っていたのかは不明だがその鍵しか貸していないので実質上三蔵の車になっていた


「ココを出たらイヤでも銃弾による穴が開く。この車はもうアイツのもんみたいなものだし…丁度いいだろう」


いや、よくないだろ

と、他の5人が居たらすぐさまツッコミが入る観音の台詞だが幸か不幸かツッコむ人間はこの場には居ない

なので妙に納得してしまった一行は早々に三蔵の車に乗り込んだのだった


「俺の愛車に傷なんかつけたくねぇからな」

「それは私も同じですよvよかった…江流の車があって」


((いいのかな…?))


なんとも言い難い2人の会話にとケンは内心苦笑した

























To be continued.


























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ATOGAKI
菩薩様の趣味発覚 笑。そんなわけで桃源郷本社の内部をちょこっと紹介させていただきました
まぁ敵を多く作る桃源郷にはなくてはならないお約束の隠し通路等等…。そして菩薩様と光明さんの過去も出てきました。うん。思い付きです←
なんか三蔵サマ…とっても哀れで仕方ないんですけど汗。ドライブというのも思い付きでありまして時間があったら番外編みたいな感じで書きたいですね
うん。次回はー奪還組みの3人と合流して三蔵と八戒はまだまだ引き伸ばします。じらしてるわけではないよ!まだ考えて無いだけさ!←
サブタイトルは菩薩様サイドと三蔵サイドをまとめて…四字熟語難しい!