どうして気付かなかったのか、とか。色々己を攻め立てたい衝動に駆られた

















   trigger  Act:5 知った時にはもう遅い


















同じ時間帯に来るはずの彼女が来ない

それだけでこんなに自分が心乱すとは思いもしなかった

急に沸き起こる不安

ソレが実際の事にならなければいい

でも現実はそう甘くない


三蔵は初めて彼女の部屋に入ることになった




ピンポーン


自分の部屋と変わらない呼び鈴の音

同じだけど今は全く正反対の状況だ

少し間延びする音にもどかしさを感じながら待った

しかし一向に扉が開く気配が無い

どうしたものか、と考えて一つの結論に達した

昨日、床に落ちていた物

ふと眼を留めるとそれは銀色のもので

見知ったソレを拾い上げると案の定、鍵だった


…落としていった事にも気がつかないのかあの馬鹿は


天然にも程があると三蔵はまた頭を抱えるのであった

しかしソレが今役に立ったと三蔵は一旦自分の部屋に戻ると返しそびれたその鍵を持ってまた隣の部屋の前に立つ

ガチャリ

と生々しい鍵が開く音を確認してドアノブを捻り中に入った

自分と違ってほんわりした室内

ソレが彼女らしいと思う三蔵

自然と緊張する心を落ち着かせ足を進めた


少し違うが同じ様な間取り

置くには寝室へと続くと思われる引き戸風味のドア

ソレを右にあけると思ったとおりベットが1つ

その上に丸くなるように眠る彼女の姿を見つけるとまた、抱きしめたいと思う衝動に駆られる

しかし今回は押さえられそうに無いその衝動

彼女は涙を流していたから

眠っているのに流れ続けるその涙に三蔵は胸を締め付けられるような感情が湧き出てくる


それは自然に、そして当たり前の様に三蔵は彼女を抱きしめた

離したくはない

自分らしくないその感情を留める事などできず

頬に流れる涙を指で掬う

そして僅かに震える唇に己のを重ねた


「…」

落ち着かせるように、安心させるようにその名を紡ぐ

次第に湧き上がる感情を知った時には既に遅かった


もう自分は彼女に囚われているのだと、気がついた三蔵であった























To be continued.






















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ATOGAKI
いつもの如く短いですが、三ちゃん気付いた。ようやく気付いたみたいな笑
これからようやくストーリーが進みます。長かったようなそうじゃないような…
囚われるの好きじゃない三蔵サマなんですが、なんかノリで書いちゃいましたすみません←
ってか三蔵サマって…なんなんだ?(まて)謎のまま物語は続いてゆきます…どうしよう