ソファの上で無邪気な顔して眠るこの子は…あの頃の私と同い年くらいかな?
trigger その面影は
「だから僕、母さんを助けに行かなくちゃいけないんだ!」
桃源郷本社に着き目を覚ました少年
暖かいミルクを淹れてあげると早々に話を聞きだした
悔しさが滲み出る反面未だ洗脳されているのか
話し終わると立ち上がるケンを八戒が宥める
まずは落ち着かせてあげないと、
「ガキ1人で何が出来る」
八戒が声を掛ける前に三蔵が言った
その言葉はケンに大きく圧し掛かる
「三蔵っ…!」
八戒が静止の声を上げるが三蔵は尚も続ける
「テメェが先立って行動しても母親は助からねェ。むしろ親子共々無駄死にするのがオチなんだよ」
「っ…!でも、でも僕はそれでも行かなくちゃいけないんだ!!」
「何も出来ねェガキが大層な口をほざくな。寝言は寝て言えクソガキ」
ソレは誰に向けた言葉――?
「僕が、僕がっ」
見ていられなかった
この哀れな少年を誰もが
ジタバタと八戒の腕の中で暴れるケンは叫び続けた
悲壮なまでのその声は室内に響き
哀しげに消えていく
「八戒。そのガキをもう1度眠らしとけ」
「三蔵…。わかりました」
先ほどやったように八戒はケンに手刀をおくる
小さな唸り声と共にぐったりとしたその姿に誰もが胸を痛めた
特に
同じような経験をしたは
どうしてこんな罪無き幼い少年が?
「この子の為に、出来ることは無いのかな…?」
「そうですね…早めに手を打たないと母親も危険でしょう。
この子が来たときは既に彼等は帰った後でしたけど、知られるのは時間の問題です」
それならば早く行動に移さなければ
しかしなんの手がかりもない状況で何が出来ようか
「悟空に連絡できないのか?」
「ソレが…携帯も一向に繋がらない状態です」
頼みの綱も断たれた、と言うことだ
「まさか母親が捕まっているとは予想外でした。けれどまだ、全て駄目になったワケではありません」
「相手からの連絡、か」
「そうです。それと僕の情報網をフル活用して居場所特定と情報を割り出して見せます」
「頼んだぞ八戒」
「えぇ。焔、貴方は次の行動に出ていてください。調べがついたら連絡しますので」
「わかった」
焔と八戒の会話を聞いてはケンを見た
手刀を喰らって今はスヤスヤと眠る小さな存在に自分との面影を重ねてしまっているのかもしれない
涙が出そうになったが堪えた
この子の痛みを自分は知っている
でも、同じ悲しみにあわせてはいけない
1人で果敢にも敵に立ち向かう事が出来る程の大好きな母親と言う存在を取り戻してあげたい
もう
同じ悲劇を繰り返してはいけないのだ
「大丈夫ですよさん。僕等がちゃんとやりますから」
俯いていたの頭に手が乗せられた
その掌は勇気付けてくれるかのように暖かかくて
「俺もな。…」
八戒の手が引くと今度は焔の掌がおりてきた
ポンポンと優しく叩かれるとは微笑んだ
2人の掌は心地いい
悲観的になっていたの心を癒してくれた
「ありがとう…八戒さん、焔にぃ」
「フフフ…僕の事は呼び捨てで構いませんよ。おっと、それ以上言うと怒られちゃいますね」
「あぁ。独占欲の塊がな」
「…」
八戒がチラリと三蔵を盗み見ると焔と共に部屋を後にした
最後に意味ありげな微笑を残して
残されたのはと穏やかな寝息をたてるケン、それと今まで黙っていた三蔵
隣で煙草をふかす金髪は何食わぬ顔で天井を見ていた
そんな彼の様子にはひっそりと微笑を漏らすと三蔵の肩に凭れ掛かる
頭を肩に乗せ目を閉じた
あの2人はきっと慰めてくれたんだ
ケン君に自分の面影を重ねてしまった自分を
嬉しいよ
本当の家族みたいで、みんな優しくて
そりゃあ過去の出来事は悲しかったけど、
「私ね、みんなと、三蔵と出会えたことが幸せなの。だからもう大丈夫…な、つもり」
「ふん…信憑性に欠けるな」
「そんなことないよー」
言葉と裏腹にわかっている、とでも言うように頭の上に感じる重量感
三蔵は寄りかかってきたの頭の上に己の頭を凭れ掛かけた
何も心配することは無い
触れる部分から伝わる想いはの不安な心を打ち砕く
口は悪いがその優しい態度で示してくれる
そんな三蔵が大好きだ
寄り添う様にお互いを支え合って静かに過ごす時間は限りなく穏やかで
その甘い雰囲気に眠ってしまいそうだった
To be continued.
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ATOGAKI
お子様の前でなにしてんですかあんた等はっ!笑。そしてラブシーンを書くのが至極苦手な管理人は執筆に数時間も掛かったとか
まぁ、時と場所関係なくラブラブできるのはバカップルの特権ですから許してあげてください。私を(お前か)
三蔵サマどぎつい言葉をケン君に向けましたが、知っての通り…優しさから出来ています(バファ●ンのノリだな)
次回は、どうしよかな…←