「僕はただ、隠れていることしか出来なかったんだ」
trigger Act:43 無力だ、と嘆くのか
それは突然だった
怪我を負わせてしまったをつれて帰ると三蔵から連絡を受けた次の日の事
朝からけたたましく鳴り響いた騒音に目を覚ますと打ち破られたドア
下の階から聞こえる母親の悲鳴
色んな男の怒鳴り声
銃声音と何かが壊れる音
ケンは何事かと階段を下ようとした
だがトキに止められ彼女はケンを庇うように階段を下りる
「おばあちゃん!」
「トキ、貴方は静かになるまでココに居なさい!」
「何でっ」
「いいかい?絶対奴等に見つかってはいけないよ?隠れてなさい」
「おばあちゃん!」
ワケもわからず息を潜めてその場に立ち尽くすケン
下では尚も騒音は止まず怒鳴り声にも拍車が掛かる
何?一体何が起きている?
暫くすると騒がしかった下も静かになった
震える足でケンは祖母が通った階段を下りる
廊下に泥がついた足跡を伝ってリビングに入ると目の前に広がるのは、荒らされた部屋
幾らかの血痕
壁には銃弾の後があり家具も毛皮のカーペットも何もかもズタズタで
誰も居なかった
呆然と立ち尽くすケン
何がなんだか思考が着いてゆけない
母さんは?おじいちゃんは?おばあちゃんは…?
「ねぇ…誰か…居ない、の……?」
静まり返った室内でケンは立ち尽くすしかなかった
何?何なの?何があったの?
その時
リビングに転がる電話が鳴り出した
軽快に鳴り響くソレは呆然と立ち尽くすケンには死の宣告に思えて
怖い
ただ1人残された彼は無意識に受話器を取った
『やぁ君はケン君だね?』
「…誰?」
『私は君のお父さんが勤める会社の社長だ。君に話があってね』
「何?社長さんが僕に何の話があるっていうのさ」
『フッ…その様子だともう誰も居ないんだね?』
誰も、居ない…?
「みんなどっかいっちゃったんだ」
『お母さんもだろ?』
「うん…」
受話器越しに聞こえる声が、イヤに耳障りだった
何もかも見通すような、ふざけた言い方
時折聞こえる喉を押しつぶしたような笑いを堪えるその声に
ケンは嫌悪が沸きあがって来るのを感じた
『お母さんは、とある悪い組織に連れ去られたんだ。君はその悪い組織の親玉をやっつけに行かなくちゃ行けないんだよ?』
低めのテノールがまるでケンを洗脳させるように言った
『そしたら君のお母さんも戻ってくるよ』
悪い、組織
その親玉
それを僕がやっつけに行かなくちゃ行けないんだ
そうしたら母さんが、戻ってくる…?
「何処に居るの?その親玉って言うのは…」
『ソレはね、』
ケンは聞き終えると一目散に家を出た
数少ないお小遣いを持って駅に向かう
途中で早起きの近所の人が声をかけてきたけど
何も耳に入らなかった
無我夢中で列車に乗り込むと
今まで頭が真っ白だった脳が落ち着いてきて
涙が出た
「母さんを返せぇ!!!トイ・ダストォォォォ!!!!」
僕 ガ 、 助 ケ ナ キ ャ 。
To be continued.
MENU
ATOGAKI
またシリアス…ごめんなさいダヨね。←
少年ケン君の回想です。洗脳とか、色々聞いた事あるような内容ですが…カミサマとは一切関係アリマセン。やっぱ小さい子にはこの方法が一番かと
ってかこんないたいけな(生意気だけど)少年に何しとんじゃ俺…話打ってて哀しくなってきましたorz
イヤイヤ少年の無念は桃源郷総出で晴らそうじゃないか!と言う事で次回に続く
ってかもっと違う展開もあったんだ、と書き終わってから思いついた!/(^o^)\