夜の静寂がとても孤独だった
trigger Act:40 長い夜
辺りは静かだ
先ほどまで出入りが激しかったが今はひと段落して誰も動く気配が無い
色々な車が並ぶ駐車場に焔は1人、リムジンの運転席に居た
窓に映る自分の姿に一層孤独を味わう
「…」
思うのはただ1人、先ほど兄貴宣言をしただった
10数年前
まだ社会にも入りたてだった焔に親切にしてくれたカモッラと名乗るの両親
己はマフィアとかではなかったが偶然出会った2人の存在が今でも目に焼きついている
行きつけのバーでどんなことを話したか
例えば、娘が今年9歳を迎えるとか何とか
例えば娘がとても可愛くて仕方ないとか
例えば娘がうんぬんかんぬんetc…
親馬鹿も大概にしてくれ、と当時はゲンナリして聞いていた焔
それと、忘れてはならぬの両親が言ったあの憎き発言である
それは、街中でみた金髪の美丈夫が可愛かったとか、是非とも娘のお嫁さんにしたいとか
イヤイヤそのときは流石にツッコんだが(娘のお嫁にしたいとか矛盾してますよ)
親子揃って天然なのだ
今に思えばきっとその金髪は…あの三蔵だ
話された後己も偶然街中で見かけたが、あの憎たらしい眼光といいの嫁にはふさわしくないと心で思ったこともあった
ってか少年だアレは
結構焔にしてみれば三蔵には古い因縁があったのだ(焔が勝手にだけど)
そんでひょんなことから再会してしまった…
ありえない
全くもってありえない話である
この俺を差し置いて、なんで…
再会した三蔵はとても外見通り憎たらしくて
反対に影でこっそり見守っていたの方は大きくなるにつれドンドン可愛さに磨きがかかって行く
いつか俺がを嫁に貰うのだ、と試行錯誤してたとかなんとか
それから数年後
三蔵はあろうことかの隣に引っ越した
お互い知らないで居たことなのだがどうしても腑に落ちない
神は焔に邪魔をしたいようだ
悉く打ちのめされた焔はとても哀れだった
しかも決定的な瞬間も見てしまった
廊下で抱き合う2人…(Act::13参照)
絶望に追いやられた瞬間だ
そんなことはどうでもいい。イヤ、良くないが
10年前
写真を見せてもらったの姿に想い馳せる焔は(もう犯罪です)10年前の事件で始めて実物を目にすることになるのだが
正直あんな状況で出会いたくは無かった
それからだろうか
焔はマフィアと言うものにいい印象を持ってはいない
の両親がやっていた事とは言え、その同属?に殺されたのだ
焔は燃え盛る炎の中両親の亡骸の傍に、朦朧とするを見つけた
一発でだと、2人が言っていた溺愛の娘だとわかった
自分が思い続けて1年
ようやく見れたと思ったら
どうしてだ
どうして2人が死ななければならない?
こんな10歳そこらの娘をおいて先に逝ってしまわなければならないのだ
マフィアに殺意が沸いたのはこの時だ
今は無理でも、必ずいつか報復してやる、と胸に誓った
2人の為にのためにも己が必ず、と
そしてその小さな手を取った焔は、事前に連絡を受けていた孤児にを預けることになる
この事態を想定しての両親は手を回していたと言うことを知ったのは随分後だ
なんてこの手は非力なのだろうか
掌に感じる温かみを握り締め必死に走った
敵に気付かれては全てが水の泡
この子は俺が守らなければ、
そう強く思いながら…
まさか、あの話題の美丈夫に…
「を泣かせたら俺が殺してやる」
でも、の両親が望んだ結果になったことは喜ぶべきだろうか
なんの因果か知らないが偶然が重なり合った必然としかいいようのない出来事に
焔は自傷するように笑った
どうかが
幸せになれれば、と
コンコン
焔が思いに耽っている時
運転席の窓がノックされた
見てみると正体は赤毛の男で
その姿を見た焔はよくも邪魔してくれたな、と悪態をついた
「よーお兄さん♪1人で哀しくちゃんを思ってたのか?」
「黙れゴキブリ風情が」
「んだとコラァ!!このロリコン野郎!!」
「誰がロリコンだ!俺は純粋にを…!」
「まぁ、キッパリ振られちゃいましたけどね」
「…言わないでくれ」
「ハハハ…ご愁傷様なこって」
赤毛を携えた男悟浄は先ほどココに来るまで合流した八戒と事のナリを聞いていた
実際目にしてみるとこうも見てられない姿なのか、と心底哀れに思ったとか
それはともかく誰かに聞かれてはならない話をするため来た2人をリムジンの中に押し込む焔
表面上はなんでもないと言う感じだが隠しきれて居ないのは黙っておこう
「ふふふ…一人になるとついついいろんなことを考えてしまいますよね」
「まだ言うか八戒」
「ま、人生開き直りが大切よ?焔も俺たちよりかなり年上なんだから諦めなって」
「お前に何がわかる!」
「まぁまぁ。今はそんな事知っている場合ではありませんよ2人とも」
原因はお前だろ、とツッコミたかったが八戒の笑みに押し黙る
そうだコイツは腹黒だ
久し振りだったので忘れかけていた焔であった
「ほんじゃま、時間も無いことだし?ちゃっちゃと話しちゃおうぜ」
「そうですね。あの2人が気がかりですし簡潔にお話します」
「そうしてくれ」
「今回は、特にすることがありません」
………。
簡潔過ぎる、と言うかなんと言うか
その場に異様な空気が漂った
「いや、あのね八戒さん?」
「なんですか?悟浄さん?」
さん付けは寒かった
「いや、だから何もすることが無いんだったら俺は何の為に呼ばれたワケ?」
「いや、だからいざと言うときのためだって言ったはずですよ?」
「いや、だからいざと言うときがあったらどうするんだ?」
「その時は…臨機応変に対応してもらうしかありませんねぇ」
爽やかな笑みを崩さない八戒はケロリと言ってのけた
「だぁ――!なんだよその適当な返答はよぉ!!」
「しかたないじゃないですか。今回は交流会に参加するだけなんですから」
「後はあの2人に託すしかない、と言うことか」
「まあ、何かあったらそれもそれでいいんですけどね」
意味深な八戒の言葉にガックリしてた2人は顔を上げた
「そろそろ会社の社長さんも、マフィアさんたちも行動に出ているとおもいますからv」
その言葉の真意をつかめずただただ唖然とするしかない焔と悟浄であった
To be continued.
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実は焔の過去にこんなことがあったよーって話をしてみました。取って着けた感が否めないのは綺麗にスルーしちゃってください←
ホント可愛そうな役割だな!ゴメンね焔!そんな貴方が好きですよww(嘘付けww)
ヒロインの過去にもっと真相を加えたかったんですが、まぁソレは後程ってことで^^^
そして久し振りに登場です悟浄さん。何をしていたかっていうと企業秘密ですね(なんでw)
そんあこんなで意味深な言葉を残した八戒。その真相は次回に持越しです。なんだかなーこの話ホントシリアスじゃなくなるんですけどっ!