数日経ったがあの殺伐とした部屋は荷物を開いてもそんな変わらなくて。でも彼が居るだけで雰囲気は和やかになる
trigger Act:4
なんなんだ一体
三蔵は自分の事が分からなくなっていた
数日前の夜偶然見かけた現場
ソレをいつものように排除しようとして、被害者の女に目をやると恐怖に脅えていた
しかしそれでも声を振り絞る姿にどこか強さを感じたのも事実
自分らしくは無いと思いながら彼女を抱えて家に持ち帰った
それだけでも驚異なのにさらに自分は朝食を強請り泣く彼女に手を差し伸べてしまった
なんなんだ一体
三蔵は先ほどと同じ悪態をついてそろそろ来るであろう人物にまた、悩まされる事になる
ピンポーン、と五月蠅過ぎるわけでもない軽快なチャイムに耳を傾けるとガチャリとドアの開く音が聞こえた
勝って知ったる他人の家とはこの事か
いつもずかずかと、たまに呼び鈴を鳴らさないで入ってくる他の3人を思い浮かべて眉間の皺を濃くする
しかし現れたの姿に眉間が緩むのに気付かない三蔵であった
「こんばんはー!今日の晩御飯はパスタにしようと思うんですが…駄目でしたか?」
「いや、それでいい」
「よかったー!私が食べたかったんですが、今度からは聞くことにしますね!」
は使い慣れた自分の部屋と同じ構図のキッチンに向かうと早速料理を始める
なぜこんな状況になったのか
それはを泊めた次の日にさかのぼる
帰っていったあの日は朝と昼の間ぐらいで明るかったのを覚えている
しかし数時間後は突然また戻ってきたのだ
両手に買い物袋を抱えて
呆気に取られた三蔵だがの一言で呆れる事となる
『どうせなら昼も一緒しませんか』、と彼女は言った
ソレを招き入れた自分にも吃驚したがそれより己の内に芽生える感情が圧倒したのは言うまでも無い
そして休日ともあってか夕方近くまで談笑…とまでは行かないが大分と打ち明けれたと三蔵は思う
普段なら他人、ましてや女と過ごすなんて考えられなかった自分
心を許すのはあの馬鹿3人だけだと思っていた
しかし今の現状はどうだろうか
数日経っても変わらない関係に満足している自分が居る
でもソレは全然苦でもなんでもなく反対に心地よいとまで思ってしまう三蔵であった
コレだけではない
夕方帰ったと思ったがまた来たのである
しかも夜中に
枕を抱きしめ玄関前に居た時はどうしようかと思ったくらいだ
そしてまた彼女の一言で三蔵は招き入れる事になるのだが…
『怖くて、眠れないん…です』、と彼女は夕方とは違う不安そうな顔で言った
そんな彼女を抱きしめたい衝動に駆られたがなんとか踏みとどめると三蔵はの頭を撫ぜていた
昨日あんな眼にあったばかりだ
怖くて眠れないのも頷ける
それだけだ、と自信に言い聞かせその晩は何もせず彼女をベットに寝かしつけ己は手を握っていてくださいと言う言葉通りになすがまま
彼女の小さな手が震えている事を感じながら眠りに就くまで頭を撫ぜた
本当に、どうしちまったんだろうな。俺は…
掌に感じる暖かさに惹かれ己も眠りについた
翌朝起きると変な体制で寝た居たため体が痛かったがまだ傍らで眠る彼女の寝顔を見ればこんな痛みお安い御用だ、と思った
って言うか男の部屋に来るのもどうかと思う
男と見られて無いのか…少し残念がる三蔵が居たとか
思いに耽っているとどうやら晩御飯ができたようだ
キッチンからおいしそうな香が鼻を衝く
どっかの猿ではないが空腹に狩られる三蔵
は料理上手だと知ったのはあの朝食の時だ
笑みが絶えない青年も良いが彼女はまた違った…何と言うか心温まる料理
柄にも無くそう感じる三蔵であった
彼女が作ったパスタを食べ終えると残ったのはキッチンから聞こえる食器を洗う音だけ
三蔵は特にする事も無く煙草を加え今夜の事を思った
昨日からは自分の家で寝ている
それは当たり前の事だが数日寄り添った自分はなんだか物足りなさを感じていた
彼女は気を使って来ないのか、本当に大丈夫になったのか
ソレを知るのは明日の朝
To be continued.
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ATOGAKI
うーん。全然進まないねこの話(笑)ま、ほのぼのした雰囲気を感じてもらえたら本望です^^^
三蔵サマ、己に芽生える感情に気付かず。そしてヒロインちゃんは暫し天然…
…大丈夫かこの2人…!(お前が言うな)
次回はきっと彼女の不安、再びみたいな。そんな感じです!
どんどんストーリーとかけ離れて言ってるような気がするのは気のせいじゃないです←