何から話そうかな…ソレと言って面白いことは何にもないよ?























   trigger  Act:32 A story ten years ago


































私は小さなマフィアの家に生まれた

それなりに生活に不自由も無く、むしろ幸せな家庭に生まれたと思ってる

父と母は凄く優しい人で愛してくれていた

両親が立ち上げた組織はマフィアと言うよりカモッラと言った方が正しいかな

そう名乗るその組織はとても平和的な連中が属する楽しいものだった

みんなみんな良い人で幼い私にも優しくしてくれて

家の地下がそのまま本部になっていて私はいつも其処に出入りをしていた

時には護身術、賭け事などを教えてくれる年上の人達は縄張り争いとか忙しそうだったけど

それでもそんじょそこらのマフィアとは段違いの強さと優しさに帯びていた

大好きで大好きで

この幸せが終わるなんて片辺も思ってもみなかった




アレは私がいつものように本部に入りびだっていたときの話

突然両親は私を追い出して安全な所に隠れるように言った

初めて怒鳴られたのもそのときだ


「あいつ等の手に届かないように…!これ以上かかわりを持たないように、早く!早く逃げるんだっ!!」

「お父さん!お母さん!!」

「貴方はこれから、裏世界なんかに身を置いてはだめ!表世界で綺麗に生きなさい!」





「どうして…?どうして……お父さん…お母さん」





目の前で見た赤

飛び散る赤

押入れに入れられ僅かな隙間から垣間見た光景

父は持っていた拳銃で対抗していたけどそれもあっけなく避けられそのままナイフで首を切られた

母は私が隠れる押入れを守るようにして立ち塞がっていたけどそれも無駄に終わった

黒ずくめの男が無表情で見下ろす瞳が今でも鮮明に残っている

目が合ったわけでも無いのに私はその場で凍り付いてしまった

助けなきゃ

そんな思いが脳裏を過ぎるけど身体は動かない

何かに気付いたのか男は私が居る押入れに近づいて来たけど恐怖に慄く私はそれをただ見ているだけで

でも後ろから良く知る仲間が来たことによって私の存在は知られることは無かった


残ったのは 父の亡骸と母の亡骸

それに男と優しかった存在の死体

辺りは血の海と化していて幼い私に残されたのは悲しみと恐怖

血が怖かった

父と母が流す血がとても生ぬるくて

小さな手で救い上げる赤い液体が温もりを甦らせる様に

私の掌から零れ落ちた










「お父さん?お母さん?」

















その後の事は記憶がおぼろげだ

誰かに手を引かれ外に出ると綺麗な血の色の空

燃え盛る血の色の炎


別に血は嫌いじゃなかった

ただ怖いだけ

あの時の両親のぬくもりを思い出させてくれるから



10歳そこらの私はそのまま孤児に預けられると心ココに在らずといった感じで毎日を過ごした

空虚を眺め傍から見たらとても滑稽に見えたことだろう

それでも

何かを求めるように空虚を眺め続けた

あの日の夕日を目にして何度も泣いた

最後に見せたあの優しい両親の顔が、儚くも浮かんできては消えていく

守れなかったあの優しい背中



ねぇ

なんで一緒に殺してくれなかったの?








「お父さん…お母さん?」









それから私は見知らぬ老夫婦に引き取られ

大自然の中

心を癒す様に育てられた

叔父さんも叔母さんもとてもいい人たちで…愛されていたと思う

生活に不自由は無くコレといった事は何も無い

幸せだった

どこか抜け落ちた心でそんな事を思った


父と母の写真は家を焼かれたことによって何も無く

遺品も何も残っていない

いつかあのぬくもりが消えるんじゃないかと不安になって

私は何年か後、その老夫婦の家を出た

哀しそうな2人の顔が今では思い出せないけれど、愛してくれたことを感謝しています

ありがとう ありがとう

そう胸に思いながら1人暮らしを始めた


今勤める会社は始めての会社で

マンションもちょっと両親と住んでいた家と似たような雰囲気で

もう何も残っていない事を求めている自分がとても惨めで嫌だった



1人暮らしのマンションは 孤独だ





でも私は太陽にであった

月明かりに照らされた煌々と煌めく太陽

事件にも遭遇した私は必然的に太陽を求めた


もう

1人じゃないよ












「お前はもう1人じゃねぇ…」

「うんっ…!私、1人じゃない…!ひとりじゃ…」

「俺が居る。俺が守ってやる。だから、お前も俺の傍に居ろ」

「さ、さんぞっ……」




その場で泣きじゃくるを三蔵は強く 強く抱きしめた

手放さない

手放してなんかやらない


過去が辛くても

トラウマに囚われた最愛の存在を少しでも安心させるように

この胸いっぱいの愛を君に送るよ









俺が全部全部ぶち壊してやるから































To be continued.






























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ATOGAKI
シリアス…なんだけどどうも文才が無い事によって薄れてきた!ギャー!!←
短くて簡潔すぎた過去偏。どうでしたでしょうか。すこしでもヒロインちゃんの悲劇が伝わるように
最後は甘くしてみましたが、それにしても三蔵が偽者wwwもうオワタ\(^o^)/
そんな感じで次回に続く。結構話進めちゃいます。もう穴があったら入りたい!羞恥プレイはよして!!!
それと『カモッラ』について…ですが詳しくはバッカーノ読んでください(おまっ)成田さん好きです
サブタイトル翻訳:A story ten years ago→10年前のお話
photo by 空色地図 -sorairo no chizu-様