俺が守る
























   trigger  Act:30 予想外




















気付けば見知らぬソファの上で、傍らにはのほほんとした男の人が


「おや?目が覚めましたか」

「あ、あの貴方は?ココは…」

「フフフ…写真で見るより可愛いい方ですねぇ。やっぱりあの子の眼は正しかったようです」

「?えっと、その…」

「私は光明といいます。是非お父さんと呼んでくださいねv」

「は、はいっ……え?」

「 三蔵の父 です。よろしくおねがいしますね」


その光明と名乗ったその人は、寝起きなの頭に信じられないことを言いのけた

















コンコン

静かに観音が居る部屋のドアが叩かれた

その人物はと言うと先ほど到着したばかりの八戒だ

失礼しますと言葉と共にドアが開き、微笑を浮かべた青年と後ろに不機嫌丸出しの男が立っている

ココの部屋の主、観音は特に何も言う事無く革張りの椅子に座っていた

まるで来るのを分かっていたかのように不敵な笑みを浮かべて


「よぉ。ご苦労だったな」

「夜分にすみません。貴方は分かっていたようですが」

「説明しなくてもよかっただろ?」

「確かに、お陰で今の状況が理解できました」

「まぁ座れよ」


客人用とはいえないごった返しになっている机の備え付けのソファに2人は座る

先ほど光明がお茶を飲んでいたのか一角だけスペースが開いている机だが汚い

それを前にして少し眉を寄せた八戒だが、いつもの事なので素直に腰掛けた

後ろに居た三蔵は隣にドカリと我物顔で腰を下ろすとすぐさま煙草に火をつける

今まで吸えなかったのだから我慢の限界が来たのだろう

そんな男の様子をさして気にせずに観音は笑みを崩さず2人に向き直った


「で?アレはなんなんだババァ」

「お前等が田舎に行っている間にちぃと面倒なことになってな…そのせいだろ」

「『面倒なこと』?一体何があったというのですか?」

「マフィアが本格的に動き出した」

「ッ!それはどういうことですか!」

「まぁ落ち着け」

「どうせ社長が首吊りでもしたんだろ」

「ククク…そうだったら可愛いもんだがな」


観音の言葉にワケがわからないといった様子の八戒

生産のほうにも過激になった『潰し』作業

それが社員にもおよび事態は深刻なまでになったと言うことだ

社長の首吊りでは無いとすれば一体なんだと言うのか

ますます面倒な事になったと、三蔵はため息をついたのだった


「ソレがよぉ…社長さんが勇敢にもマフィアの金を盗んで挙句の果てには…まぁ色々やっちまったってワケだ」

「なんてことを…僕等に任せておけばいいものをあの社長さんは事態を更に危なくしてしまったんですね」

「そういうことだ」

「馬鹿が…」


呆れてものがいえなくなるとはこの事か

もう仕事放棄していいんじゃないかな!と全員の意見が一致したとかなんとか

面倒ごとが増えた事に一同はため息をつくことしか出来なかった





「話はそれだけじゃねぇんだがな」

「?他に何かあるんですか?」


あきれ返った雰囲気とは別に観音は真面目な顔で言った

突然真顔になる観音にただ事では無いと察する2人


「三蔵…、と言ったか」

「既に調べてあるんだろ?悪趣味な奴だ」

「フンッ。それは光明にも言っているようなもんだぜ?」

「…あの人もか」

「ははは。どっちもどっちですね」



いきなり出てきた名前に三蔵は皺の色を濃くする

どうしてが


「あの娘の過去を知っているか?」

「…ソレがどうした」

「そうの様子だと知らないようだな」


観音の不敵な笑みが再び浮かぶ事によって更にいらだつ三蔵

自分が知らないの過去をこの女は知っている

別に知ろうともしなかった自分だがなんだか先を越された感じがして不快だ





「話は長くなるが、の両親はマフィアだったんだぜ?ま、小さかったがな」






「なんだと!?」

「と言うことは…今回もソレが関係している、と?」

「いいや。今回の件は関係ないと見ている。それより問題なのは『トラウマ』って奴だ」

「『トラウマ』…と言うと?」


思いもしなかった真実

それに戸惑いを隠せない三蔵と八戒

の両親がマフィア

こんなご時勢よくある話だがまさかがそちら側だったとは

となると、マフィアとの『トラウマ』と言うのは今回の件でには結構な負担になると思われた

マフィアと言うものは不幸が付き物だ

それに伴う悪い記憶と言うものがあるに違いない

三蔵はソレが心配でならなかった

もし傷付けてしまったら?

そんな不安が駆け廻る



「まぁ誰にしたって『トラウマ』と言うやつはあるだろう…お前等2人にもあるようにな」

「そんな事は今はどうでもいい。とっととはなしを進めろ」

「そう慌てなさんなって。…いいか?三蔵。今回ばかりは気が抜けねェ仕事になりそうだぜ?」

「嫌ですねぇ。いつも手を抜いているように聞こえるじゃないですか」

「ククッ…事実だろ?ま、お前等にとっちゃ簡単すぎて面白くないのも分かるがな」

「別に面倒ごとは無くていい」

「そうれもそうですね」




「話を戻すが、の両親はそのマフィア絡みで殺された。10年前の一家惨殺事件を覚えているか?」

「あの迷宮入りになった事件ですよね?確か何者かに一家が殺害され家を焼かれ証拠も残らず今もそのままだとか…」

「ソレだ。警察の方では全員死亡とみなされ適当にただの火災事故だと処理されたあの事件だ」

「…ソレが、の家だと?」

「あぁ。当時幼かったは難を逃れ人知れず孤児に預けられた。…多分、家族を殺された現場を見ているだろうな」



なんてことだ

当時頭の片隅に良くあることだ、と気にもしなかった事件がまさかの家だったとは誰が思おうか

『トラウマ』とはそのことを意味する

目の前で無残にも惨殺された両親の死を目の辺りにしては何を思う

きっと今でもその傷は癒されずただ悪戯に引きずっているに違いない

そんな事に気がつかなかったとは

はどうして自分の事を言わなかったのか

三蔵自身も語るのを拒む種族なので気にもしなかったが、それでも


「三蔵。今回の件はにも知られる。隠し通せる保障もねェ。だから…アイツを守れんのはお前だ」

「当たり前だ」

「そういうと思ったぜ」


数時間前に光明と話したとおりの事を言う三蔵に観音は笑った

全くこの無愛想男はどんな真実を話しても

ソレがどんなに過酷でも簡単にぶち破ってくれる

きっとの事も

その不器用な己で癒せる事だろう

否、絶対だ


どんなに決して揺るがないその紫暗の瞳に射抜かれ観音はただただ、これから起こる事に期待を隠せない




さぁて今回はどんな事をしでかしてくれるのやら




三蔵の一言に安心した八戒も立ち上がった隣の男に続くように席を立つ

そして、光明に任せたの所に行くため

最上階を後にした




コレを知ったらはどう反応するだろうか


少しの不安を残して



















To be continued.





















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ATOGAKI
ヒロインの過去が明らかに!やっとこさ、です。結構悩みましたねぇ…。話切り出すにもどのタイミングにしようかとも悩みました今回の話
三蔵とヒロインちゃん過去に会っていると言う話も良くないですか?…本当に採用するかも知れない!←
そうするとまたごちゃごちゃになりそうで怖いのでやめときます。ま、きっと採用すると思うけどな!(いいかげんにしろ)
次回は辛いと思うけどヒロインちゃんに打ち明けます。マフィア辺まだまだつづく!…三蔵サマおかしい事になっちゃうから!
photo by 戦場に猫 様