たった数時間はなれていただけなのに…わたしはその時間がとても長く感じてしまったのだ
trigger Act:29 帰宅
程よく狭い車内で揺られ一行は三蔵とが住むマンションへと軽快に向かっていた
辺りは既に暗く夜中である
流れ行く風景はまだ村を出て幾らかしか経っていないため何も無く
窓越しに見える闇が全てを飲み込んでいくようだった
所々に街頭が灯されたまだ真新しい道は八戒が運転する車以外1台も通っていない
とても静かだ
いつもはペラペラと喋るはやはり疲れが取れなかったのか今はぐっすりと三蔵の足に頭を乗せ眠っていた
「フフフ…よく眠っていますね」
「…疲れたんだろ。無理も無い」
「今日1日色々なことがありましたからねぇ。彼女も体はりましたし、起こすのがもったいないくらいです」
八戒はバックミラーで安心しきった様子で眠るに目を向け微笑んだ
何も知らず仕事で村に向かった
しかし突然の訪問者に頭を殴られ大量の血を流すことになった
遠出したことの疲れもあるだろうに、果敢にも立ち向かったの強さに八戒も三蔵も驚かされてばかりだ
「ったく…この馬鹿女」
声は優しくて
頭を撫ぜる手も優しくて
細められた紫暗の瞳もこれ程に無く優しい
そんな三蔵を見た八戒もまた、優しさを帯びていた
暫く穏やかな空気が車内を充満し、気付くと三蔵も眠りについていて
安全運転を心がけ2人が少しでも休めれば良いと八戒は果てしなく続く道路に集中した
2時間程経った頃だろうか
八戒が運転する車が静かに止まる
辺りは薄暗かったが街頭が手伝って視野が広がり辛うじて周りを見渡すことが出来る
雨が降っていたのだろうか霧が濃く目の前にある建物の存在をおぼろげにした
車内には三蔵が片手を窓に肘掛け頭を支えるように座っていてその膝の上にはがまだ寝ている
運転席の八戒は起こすかどうか躊躇われたがこのままではいけないと思い遠慮がちに声を掛けることにした
「三蔵…?着きましたよ」
「あぁ…そうか」
寝起きの悪い三蔵にしては直ぐ帰ってきた返事に眠りが浅かったのだと言うのが読み取れた
紫暗の瞳はまだ眠そうに細められ窓の外を写す
しかしそれは瞬時にして鋭いものと変わつこととなる
八戒は何事かと理解した時、視界の端に閑静な住宅街と不釣合いな黒塗りの車が映った
霧と暗闇に紛れ佇むソレは明らかに異様なまでの空気をかもし出している
自分の考えが正しければアレは多分
「出せ八戒」
「はい。…まさかもう嗅ぎつけられたと?」
「イヤ、多分アレはにだろう。生産農家の次は社員…といったところだな」
「まったく卑怯といいますか…では兎に角桃源郷に非難しましょう」
「あぁ。急いでくれ」
「わかりました」
八戒は言葉と共に感づかれぬよう静かにその場を後にした
多分アレはマフィアのもの
不躾にも夜中に来るあたり推測は当たったと言うことだ
暫くは戻ることが出来ない自宅を背に八戒が運転する車は霧に紛れて行った
To be continued.
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ATOGAKI
都会でのマフィア戦スタートしました。まだ序章と言った所でしょうか、愛の巣窟には戻れなさそうです笑
いよいよヒロイン、観音さんたちとご対面ですね。まぁ少しだけなのですが、本部には一時で、あとは支部の方へ住んでもらいます
マフィア戦が終わったら帰れます^^^それまで暫しお待ちを…
今後の展開どうしようかな!←
photo by clef 様