お前は俺がどんなに肝を冷やしたかわかんねぇんだろうな…まったく、心配させるな馬鹿女
























   trigger  Act:24 奇跡の復活
























暫くしてお世辞にも救急車とは言えない車が到着した

そんな思いが顔に出ていただろうか、乗り合わせていた医師と夫婦たちは苦笑していた

ちょっと後ろめたかったが三蔵はを抱き上げその簡素な救急車に乗り込んだ





車独特の車内で安心したのかまた眠りについたを見て三蔵は再びこみ上げる安堵感を露にし

垂れる小さな手を握り締めた

今回こそは失うと思った三蔵

己の不甲斐なさ故こんな危険な目にあわせてしまった、と自分に怒りを覚える

そんな三蔵の握られた掌から伝わってくる温かい体温に愛しさが一層増した

血はとうに止まっており固まり始めたソレは先ほどと打って変わって流れ落ちる事無く凝血していく

固まってゆく血を馴染ませた前髪を退けるとパックリ開いた傷口が痛々しくも目に映る

医師は三蔵が手を引っ込ませるとその傷口を消毒して、倒れた時に出来たであろう肘のかすり傷を三蔵に任せた

ガーゼに含ませた消毒液が冷たくても余程深い眠りに入っているのかは起きる事無くスヤスヤと正常な呼吸をしている


まったく呑気なもんだ


そんなの様子に三蔵は口元を揺るめた



さっき救急車とすれ違った徒歩の黒ずくめ集団が眼に入ったが

気に留める様子もなく三蔵はの血を拭った

なにか胸騒ぎがする

多分コレで一件落着とはいかないだろう

この先の事にを巻き込まない為に三蔵が病院を後にするのはが傷口を縫うためオペ室に入った後である

その前にこの大切な愛しい存在を目に焼き付けて、三蔵は任務遂行に本腰を入れるのであった









+++










「ったく。列車内ではひどい目に遭ったぜ」

「お前がガキ相手に騒ぐからだろうが」

「仕方ねェだろぉ?うるさいあのガキがいけねェんだからよ」

「それにしても、あの金髪も堅気には見えなかったな」

「違うとか言ってたけどアレは嘘だな」

「あぁ。兎に角恐ろしかったぜ」

「…何モンだ?アイツ」

「俺、聞いた事ありやすぜぇ。なんていったか、前に察の方にすんげーこえぇ金髪の幹部が居た、とか」

「それなら俺も聞いた事あるぜ!今じゃどっかの理想郷?…そんな感じの何でも屋に転職した、とかなんとか」

「チッ…それならさっき乗ってたのは今回の件に関わるって事か?」

「それならやっかいですぜ兄貴…俺たちじゃ対抗できっこないって」

「馬鹿言うな!そんな弱腰じゃボスになんていわれるか…最悪俺たちの首が飛ぶぜ」

「ヒィィ!」

「変な声出すな馬鹿野郎!…兎に角、任務は続行だ。逃げたら…わかってんだろうなぁ?お前ら」

「「おぉ!」」

「…何事もなけりゃあいいんですけどねィ」

「いくぞ!」

「「「おぅ!」」」


踏みしめる砂利道

そこには不釣合いの黒ずくめの男が4人

そろいも揃って怪しいオーラを漂わせていた

兄貴と呼ばれる髭面の男は額にバッテン傷を携え、威厳が増している

後の3人は特に違いもなくその他大勢みたいな雰囲気だ

名を決めるなら黒A、黒B、黒C、といった所か

「「「安易だな!」」」

うるさい黙れ馬鹿

といったように兎に角この4人は目的地に向けて砂利道を歩いていた

既に行く筈の家を通り越しているのは誰も気がつかない

そして何処までも続く砂利道をただただマヌケに足を進めるばかりであった































To be continued.





















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ATOGAKI
穏やか?な車内の雰囲気とは別にお馬鹿な感じの黒ずくめ集団。再登場です。
そしてちょこっと齧った程度に出てきた三蔵サマの過去。ヒロインの過去の前に出張ってしまった…!←
それは追々乗せると言う事で、ヒロインちゃんは無事なようです!命にも別状はアリマセン!ついでに言うと後遺症とか皆無です
どんだけ丈夫なんだお前…笑。血は暫し足りない様子ですのでみなさま献血をお願いします!(なんでよ)
奇跡でもなんでもねぇな。苦笑
そんなこんなで、どうでる黒ずくめ!この後の展開に頭を悩ませるお馬鹿4人組今後の行動に期待!って事ですかね(いや、全くいらないから)
photo by clef 様