既にあいつ等が居ると言うことは気配で分かっていて…それでも腕の中の彼女を離す事は出来なかったんだ
























   trigger  Act:16 忘れてはいけない























『あ、三蔵ですか?八戒です。先ほどあの2人を送り込みましたから…え?気付いてたんですか?さすが三蔵ですねェ…』




2人の甘い余韻を壊したのはズボンのポケットから震えだすバイブ音だった

一気に不機嫌になった三蔵はソレを隠す事無く舌打ちし携帯を開いた

表示されている名前はも知っているあの爽やか好青年

苦々しくまた舌打ちすると電話に出た




スピーカーから聞こえてくるのは想像したとおり八戒の声だった

態々名乗らなくても分かっていると言いたいところだが後が怖いので黙っておこう

そんな三蔵の様子には首を傾げるが聞こえてきた声に八戒だと分かると笑顔が戻る

ちょっと複雑な気分の三蔵だが我慢して空いていた手での頭を撫ぜた


「それで…犯人の目的とか分かってんのか?」

『そうですね、大方只のお金目当てとかじゃないですか?まぁ、後はあの2人に任せて貴方はさんを守ってあげてくださいね』

「言われなくても分かっている」

『フフフ…。あの2人に報告しに直ぐ帰って来いと伝えておいてくださいね?それでは』


頼みごとをしているのにどこか有無を言わせぬ彼の言葉に心底面倒だと三蔵は悪態をついた

やっぱり後が怖いので言われたことは一応するが、でもあの2人をにあわせたくないと言うのも事実

きっとあの河童に会わせればにセクハラをするのは目に見えていて

猿に会わせたら会わせたらで騒ぐに決まっている

どうしたものか…三蔵の心の中に葛藤が生まれた

そんな三蔵の心境を知ってかしらずか相変わらず天然娘はにこにこと笑顔だ





ドウンッ!ドウンッ!!


不意打ちを喰らった

忘れかけていたが、そうだここは既に戦場と化している

重苦しい銃声に所々で悲鳴があがり幼い子供の泣き声も一段と大きくなった

辺りを見回すと犯人の姿を見つけることができ距離も結構離れていることも分かる

このスーパーは背の高い陳列棚は端の方に幾らかあるだけで他は子供でも簡単に手が届くほどの棚のみ

なのでしゃがんでいてもギリギリ見えてしまうかしまわないかの瀬戸際だ

幸運にも完全に地べたに座り込んでいた三蔵とはまだ見つかってなさそうだった

見つかったらただでも目立つ金髪…少々厄介だと思う

でもそんな事は杞憂に変わり数メートル前方にもっと目立ちそうな触覚もどきが生えた赤髪を目の端で捉える

直ぐ傍には茶髪も見えたから、やつ等が動き出したのだと理解した


「ねぇ三蔵…これで3回目だね!」

「お前な…もっと緊張感を持て。こっちの気が抜ける」

「うーん。でも三蔵が傍に居てくれるからこうして安心していられるんだよ?」

「…そうか」


本当はそんな事言われて嬉しくないはずが無くて

恥ずかしげも無く言ってのける彼女が羨ましい

三蔵は答えの変わりにの額に唇を落とした






「大人しくしろてめぇら!」


数発発砲して犯人は声を荒げた

この広いスーパーの敷地内で黒光りする拳銃を高々と掲げ幾らか高い天井にまた数発打ち込む


「オイ!早くしろよ、テメェ悟空!」

「うっせーなぁ!悟浄は黙ってろよ!!」

「だぁー!もたもたすんなこの馬鹿猿!」

「猿ゆーな!このエロゴキ!!」

「略すなガキ!!」

「うるせぇなぁ河童!」


犯人から程近い位置で先ほどの2人は言い争いを繰り広げていた

赤い髪赤い瞳の男、悟浄と茶色い髪に金の瞳をもつ悟空

この2人は最初の銃声(がこけた瞬間)より少し前に到着していた

依頼を受けたのはもっと後だったのだが偶然にもただ居合わせたと言ったほうが正しいであろう

そんで正式に依頼と受理され八戒から連絡を受け今に至る

この2人ももちろん三蔵達がいる組織に所属する人物で腐れ縁と言う奴だった


「ったくよー。ただの遊び心がこんなめんどくせー事になるなんて思いもしなかったぜ」

「最初は悟浄が言い出したんだろ!?『三蔵の彼女を一度拝んどこう』なんてさ!」

「しゃーねーだろ?気になっちまったんだから。あの鬼畜生臭坊主唯我独尊男の三蔵サマが、態々紹介してくれるワケがねぇし?」

「ソレもそうだけど…すっげー可愛かったよな!」

「アイツにはもったいないくらいだぜ…」


先ほどまで言い合いしていたかと思うと仲良さげに話すこの2人

一応言っておくが任務中である

しかし言葉とは裏腹に2人の行動は慎重さが伺える

顔には余裕の笑みさえ浮かんでいて動きに無駄は無い

そして2人は徐に立ち上がった


「な、なんだお前!こ、殺されてぇのかコラ!!」

「えー?ナニ言ってんのおっさん。声が震えちゃってよく聞き取れないんだけど?」

「う、うるせぇ!ぶぶ打ち殺すぞオラァ!!」


そう言って犯人は目の前に立ちふさがった悟浄に標準をあわせた

手はこれ程無くフルっていて軌道がブレにブレまくる

そんな犯人に悟浄はニヤリと笑って見せると後ろに音も無く立ち上がっていた悟空に目で合図を送った

うるぁ!という掛け声と共に犯人は後頭部にかなりの衝撃を喰らい地に伏せる事になった

まさに早業

固唾をのんで見守っていた周囲から歓喜の声が鳴り響く




「わー。凄いねぇあの2人!」

「…ったく。もっと迅速にできねぇのか」

「ん?もしかして三蔵の お友達? 」

「ただの腐れ縁だっ!」

「フフフ…今度紹介してね!三蔵のお友達だから悪い人居ないもんね?」


色んな意味で悪い人だ(自分の事を棚に上げて)などと満面の笑みを向けるに何もいえなくなって

三蔵は面白くなさげに顔を背けた


別にあの2人を見て凄いと言っていたことに嫉妬しているわけではない

決してそんな事は無い

と、隠しても隠し切れない感情を必死に隠そうとする三蔵が居たとかなんとか






忘れてはいけないよ?まだ犯人は、起き上がろうとしている




















To be continued.




















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ATOGAKI
ちゃーっすやっとこさ悟空と悟浄の正体が明らかになったと思います
実は三蔵たちを着けていたんですね。そんで偶然にも事件発生。みたいな。罰が当たったんでしょうね!2人に←
そしてそんな馬鹿2人にも嫉妬をしてしまう三ちゃん…どこいってもバカップルはバカップルと言う事で管理人はそんな2人が大好きす
次回、最後の文通りに犯人さんまだ動きます。悟空の踵落としでは気絶できなかったみたいです。どんだけ強靭な石頭しているんでしょうか笑