焼き鳥、丸焼き、チキン、北京ダック、鶏肉、フライドチキン、チキンカツ、チキン煮込みカレー、鶏ちゃん・・・その他諸々。そしてから揚げ。
私達の食する食材は、必ず犠牲と言うものがある。
私たちが生きられるのはその”命の犠牲”の上に成り立っている事を忘れないでほしい。
それは野菜でも動物でもお米でも魚でもなんでも同じ事だ。
だから普段何気なく言っている『いただきます』『ごちそうさま』に、少しでも命に感謝する思いを織り交ぜるだけでも違ってくるのさ。
命のありがたみは決して忘れてはいけない。
だから絶対『いただきます』と『ごちそうさま』を忘れない事を心がけるべし。
食べ物を粗末に扱ってはいけません。
嫌いなものを残すなとは言わないが、無駄にしないよう誰でもいいので食べてもらいましょう。
ほんの少しの思いやりや気持ちでも凄く大切だ。
そして、食のありがたさを理解した上でこれからも生きて下さい。
わかった人は全員その場で敬礼!(なんでだよ)
貧乏少女と金持ち男の物語
「やった!スーパーで安売りだー!!」
とある商店街。あまり大きいとは言えないこの街の、一番の賑わいどころである通りの一角に少女は居た。
名を。ある事を除けば他は極々普通の大学生である。彼女は主婦が群がる行きつけのスーパーへと一目散に駆け込んだ。
「やっばいくらい助かるよ〜これで今月の生活費は安泰だね!!」
大きな独り言?を安売りしている品物片手に満足そうに呟くは、
己が持つ籠から他の安売りしている品を横取りされている事に気付かないままレジへと軽快に足を進めるのである。
それはさておき、先ほどから『安売り』と言う単語に過剰反応する。
彼女は前文で言った通り、極々普通の大学生だ。しかし悩む点が一つ。
そう、は地元では指折りの貧乏人なのである。
「お母さんに仕送りとー、生活費とー大学の学費・・・はぅ・・・バイトもう1個増やさないと」
今は大学の為上京してきている彼女だが、見てのとおり家計は火の車。
無理してまで大学に入る事になったのは、大学に行けなかった母の願いでもあるからして、途中で投げ出す事も出来ず、日々苦労を重ねているのであった。
と、そんな時。
この街には見慣れぬ高級そうな車が一台ほどの目の前を通り過ぎた。
荒い運転で反射神経がそれ程良い訳でもないはただ立ちすくむしかなかったのだが、車は何事も無かったかの様にそのまま大通りへと走って言ってしまう。
「もー!この下手糞!!」
の足元には、吃驚して落としてしまった卵が割れていた。
翌日。
宣言どおりバイトを一つ増やしたは、コレで3つ目の掛け持ちである。貧乏暇なしとは言ったものだ。
それを言い訳にしない彼女は健気にも大学にも通い、隠し切れない疲れも相まって不審者よろしくフラフラと階段教室へと向かった。
が廊下を通ると周りの人々は哀れみを含めた目を向ける。事情を知っていると同時にの実際の状況を見ると尊敬と・・・やはり哀れみが浮かんでくるのである。
そんな彼女は大学では知らない人は居ないと言われるくらい、有名な貧乏人だった。
そんなと同じく、対極に位置する存在も居たりする。
所謂『金持ち』の存在だ。その人物は数々の女性を虜にし、金があるのを良い事に超!贅沢三昧していると言う。
にとっては羨ましい事この上ないのだが、貧乏を理由に金持ちに擦り寄るなどそんなプライドも減った暮れもない行為はしたくない。
ので、羨ましさ満点だが遠くで見つめるしかないのである。それ以前に、全く興味が無かったりする。
何処までも無欲な彼女は、同情の目を向けられながらも足取り重く、教室の向こうに消えていった。
「おい、昨日のアレって・・・あの有名な貧乏ちゃんだよな?」
「あぁ、悟浄、貴方の下手糞な運転の所為で危うく轢きそうになってしまったあの方ですか」
「見た目は全然そうっぽく無いのにな〜・・・」
「・・・・・・」
同時刻。とは別の教室で講義が始まるまで暇していた4人は、各々好きな体勢を取りつつ雑談をしていた。
彼等はこの大学で有名な4人組であり、その内の1人が例の金持ちである。
「今日にでもお詫びに伺いましょう。落としてしまった袋の中身、アレは卵ですよきっと・・・」
「貧乏人には痛手だよな・・・俺も謝りたい」
「はぁ・・・やっちまったぜ。弁償しねーとな。あぁ俺も今月の生活費やべぇんだよなぁ・・・」
事の発端である赤髪の男、悟浄はそこはかとなく責める笑顔の好青年、八戒を横目で窺いつつ懐事情を暴露する。
隣に座る全く無実にも関わらず反省する少年、悟空はを思い浮かべ心配そうに顔を曇らせた。
「貸してやろうか?もちろん十一だけどな」 (※十一(といち):10日で1割の意味)
「言うと思ったぜ」
そして金持ちである金糸の髪を持つ男、三蔵はさして気にした様子も無く、平然と突拍子も無い事を言い出す始末である。
そんな三蔵に両手を挙げ素直に払えばいいんデショ、と降参の意を示す悟浄は、八戒の提案に反省の色を浮かべつつ賛同した。
「卵なんぞ大した額じゃねぇだろうが」
何をそんなに思い悩むのか、3人の様子に三蔵が呆れ混じりに呟いた。
その呟きは八戒に拾われ、この金持ち社長令息に言い聞かす様に貧乏の何たるかを力説し始めるのである。
「三蔵、あの貧乏でいらっしゃる彼女は滅多にお目にかかれない程、屈指の貧乏人なんですよ?卵1パックと言うのは死活問題にも発展してしまうんです」
「・・・理解しかねる」
言葉は短かったが、八戒の気迫に貧乏の大変さを感じ取った三蔵だが、やはり根っからの金持ちらしい。
簡潔な一言によって八戒の言葉は一蹴された。
「ははっ・・・生まれる前から金持ちの三蔵サマには理解しろっつー方が無理ってもんだぜ」
「それも筋金入りの箱入りと来たら・・・世間知らずのお坊ちゃん程厄介な者はいません。こういう事になるんだったなら僕が教育係になりたかったですよホント」
「コレだから金持ちは・・・少しは貧乏人じゃなくても庶民の暮らしを考えたほうがいいと思うぜ?」
「はっ。くだらん」
三蔵の発言には慣れている3人。交わされる会話はいつも通り皮肉を込め、しかし挨拶の様なものだという。
そして昼休み。
は自前のお弁当を広げ、同じ講義を受けている友人と共にベンチで昼食をとっていた。
生活費節約の為お弁当の中身はお世辞にもおいしそうとは言えないが、それでも彼女は満足そうに頬張る。
そんな光景を見ても差別意識が無い友人らは、別段気にした風も無く他愛の無い会話に花を咲かせていった。
むしろ我先とおかずをにわける始末である。良い友人を持ったなぁとは感極まって涙する時もあったり。
「ありがてぇありがてぇ・・・オラこの感謝の気持ちは、忘れねぇだ!!」
「はいはい何処の村人ですかアンタは。ホラ、から揚げもっとあるからあーんして!」
友人に促されあーん、と大口を開けた。だが、次の瞬間悲劇は起こった。
ポロリ
「ぬああああああああ!!!!!私のから揚げぇえええええええええええええ!!!!!!」
なんと、今か今かと待ち構えていたを尻目に、目と鼻の先にあったから揚げが無情にも芝生の上に落ちてしまったのである。
まだ間に合う!と咄嗟に3秒ルールよろしく拾おうと思ったのだが、運悪く誰かの靴の下敷きになってしまった。
誰だコノヤロー!!と靴から視線を上げると其処には。
「あ」
眩しいくらい太陽の光を反射する金糸の髪を携えた、とは対極の立場であらせられる男、三蔵が居たのである。
眼が合いマヌケにも声を発してしまった気まずさから視線をそらし、はあわれもない姿になってしまった揚げを悲しそうに見つめた。
もし踏まれなかったら己の口の中へレッツパーリー!だったであろうから揚げは、おいしそうな肉汁を四方に飛び散らせ無残にも潰れている。
「私の・・・から揚げ・・・!!」
「、もう1個あげるから泣かないで〜」
「うぅ・・・ひっく・・・ごめんね、から揚げくん・・・」
「落としたの私だし・・・ってかから揚げに謝るんかい!じゃなくて、どっかのコンビニの商品名とかぶってるから・・・」
しゃくりをあげポロポロと涙を流すは友人のツッコミも耳に入っていないのか、から揚げくん(?)だけしか意識に無いらしい。
コレで続鶏さんの命であり苦労を無下にしてしまったのは2日連続で2回目だ、と心底落ち込む。
一見意地汚い様にも見えるが、は食と言う物のありがたみを人一倍理解しているからこその涙なのである。
「ったく・・・から揚げの一つや二つ程度でグダグダ言ってんじゃねぇよ、この貧乏性が」
そんなの様子を見かねてか、ため息混じりにから揚げを台無しにした張本人がしゃがみ込むに言い放つ。
さすが金持ち。言う事が違う。「あぁ、失言ですよそれ」、と呆れる八戒は額に手を当て肩を竦めた。
悟浄と悟空は口を挟むタイミングを逃し、行き場の無くした手を各々引っ込め八戒と共に、貧乏人と金持ちの対決を静かに見守る事にする他ない。
そして三蔵の横暴な物言いに1拍間を入れ、は流れる涙をそのままに目の前に立つ三蔵を下から睨みあげた。
思いもよらぬの反応に一瞬怯む三蔵だが、動揺を表に出さず尊大な態度で視線を受け止める。
「どうして・・・どうして、そんな事が言えるんですか。貴方は鶏さんの苦労と命のありがたみをわかっていないんですかっ」
「知らねぇよ、んなもん。この世は所詮弱肉強食、強いもんが弱いもんを食うのが当たり前だろ。それにありがたみも減った暮れもねぇだろうが」
「その貴方が言う『弱い者』のお陰で『強い者』が生きられると言う事が、なんで貴方にはわからないんですか!!」
「――っ!」
貧乏だからこそ、否、本当に食のありがたみを理解しているからこその言葉を受け、三蔵は頭を鈍器で殴られたかの様な錯覚に陥った。
彼女の言っている事は正しい。コレが真であり、自然の理なのである。
三蔵はの決死の思いに心底己を恥じた。今まで豪勢な生活しかしてこなかった彼は本当の意味でのありがたみを理解していなかったのだ。
が教えてくれたお陰で漸く理解し、それと同時に三蔵の中で何かが変わったのであった。
「・・・悪かった」
沈黙が続く中、静寂を破ったのは三蔵の謝罪の一言である。それに我が耳を疑う悟空と八戒と悟浄らは目を見開いた。
こんな短時間でこの世間知らずの金持ちお坊ちゃんを改心させたと言うのか、このと言う貧乏人は。
それだけなら露知らず、あろう事か人生初なのでは無いかと言う謝罪までさせて――凄すぎです、さん。
「いやいや、わかってくれたならいいんです。その思いはきっと鶏さんに伝わったと思いますから・・・これで鶏さんも救われますね」
「そうか、それならいい・・・」
不意に三蔵はしゃがみこみ、自分で踏んだから揚げを摘んだと思いきや其れをゴミ箱へ捨てた。
このまま芝生の上に放置するのは鶏に失礼だと思った故の行動である。
粗末にしてしまったら其れ相応の対応の仕方があるのは当たり前、三蔵の行動を見て「偉いです、坊ちゃん」と声をそろえる3人は涙を拭った。
だがしかし。
「ちょ、何してるんですか!?」
「「「「え?」」」」
「そのから揚げはまだ食べれますよ!!あーぁゴミ箱なんかに捨てちゃって・・・本当に最低です!!!!」
「・・・マジでか」
ともあれ、貧乏人少女と金持ち男の物語はこの出会いをきっかけに次第に変化していくのである。
豊かで金に物を言わせて好き放題生きてきた男。
逆に乏しく金に物を言われひもじい思いをしてきた少女。
この対極であり、価値観の違いが大きく異なる2人は今後どうなっていくのか。
其れは全て――神のみぞしる。なんちって。
お粗末さまでした
(みんなありがとう!)
ATOGAKI
なんか三蔵が凄く極悪人・・・ってか其れより性質が悪いキャラになってしまわれた・・・いやこれから変化していく様子がわかりやすくなるのではないかと予想。でも続かないと言う罠。笑
ごめんなさいぶっちゃけコレ、ギャグです。はい。冒頭の文から・・・そっからしてちょこちょこおふざけ入れていたんですが・・・何と言う不謹慎。
いや、食のありがたみを実感したり、意識したりするのはとっても大切な事であり、この心を忘れたら食べ物を食べる資格は無い。断言するさ。
なんか凄い偉そうな事言ってますけど、基本中の基本ですからね。でも言ってる傍から1週間前のおにぎりが机の上にあるって言う・・・。
まったく持って説得力皆無な管理人でした。ホント、ごめんなさい。(コレ言わないほうがよかったのでは・・・?)
( ゚д゚ )
えと、4万打ありがとうございます。予定では違う奴が記念作品?になる予定だったのですが、それはもうちょっとゆっくり時間を掛けようと・・・。
正直に言うと息抜きの筈のこっちが先に出来上がっちゃったからって理由だとか、なんとか。笑
兎にも角にも、遅くなって申し訳ない!4万打に達したと言う祝うべき素晴らしい事柄は、管理人には願ってもない嬉しい事です!
どうか皆様、これからも気だるいサイトをよろしくお願い致します。ありがとうございました!!(`w´)ノシ
なんかお祝いしてる感じの作品じゃないよね!笑