見てみてお父さま!今年はお父さま来れないって言うから態々学校から持ってきたの!
…じゃーん!メイド服〜。似合ってる?
ウフフ…そう言ってくれると思ったよ!


え?馬子にも衣装?


………お父さま、晩御飯はカレーで良いんだったよ、ね?



「、カレーは昨日やっと食べ終わったばかりではなかったでしょうか…」

「そうだね。3日前に作りすぎちゃったんだっけ。でも今日もカレーでいいよね?安心して。答えは聞いてないから」

「どこぞの特撮モノですか」











彼と彼女の青春ストーリー2












今日は待ちに待ってない文化祭です。
いつも殺伐とした雰囲気の校内はここぞとばかりに賑わいを見せていてその中に私は混じっているのだと思うと吐き気がしてきます。
担任の先生にそのままぶちまけたいくらいですわ!誰かさんのお陰で今の私があるんですから。ミニスカ反対!

「実はこの提案は僕が提案したって言ったら、驚くでしょうか」
「オイ八戒…殺されるぞ」
「いや〜だって僕等にとっては文化祭は今年が最後なんですよ?だから我侭言ったってバチは当たらないかな〜なんて」
「ま、俺はいいけどな!ちゃんのミニスカメイド服…そそるねェ〜」
「殺すぞエロ河童」

なんてやり取りが行われていたなんて露知らず。私は自分のクラスで営んでいるメイド喫茶なるものの店員として呼び込み中でございます。はい。
全部で2日間行われる我が高の文化祭は1日目が生徒内だけで2日目に一般人参加OKと言うものです。わー。逃げたい。
ま、今年はお父さまが来れないって言ってたから楽しみは減ったと思う。一緒に回りたかったのに…。

「お店は繁盛していますか?」
「あ、八戒!お蔭様で満員御礼だよ…」

クラスの宣伝用看板を持ってお店の入り口付近に居たら八戒が来た。ついでに悟浄と三蔵も。
約一名はとっても興味なさそうだったけど2人はそれなりに楽しんでいるらしい。

「お〜似合うねェちゃん。ナニ、テイクアウトとかないの?」
「貴様エロ河童!」
「あるよ!」
「え?…」
「何がいい?クラスの家庭科部特性マフィンとかあるけど…」
「ワリ、やっぱいーわ」
「様ァみろ」

悟浄の戯言なんかに付き合っていられない私は、綺麗に受け流すと黒い笑みを浮かべる男と不気味に口の端をあげている男をみてちょっとうんざりした。
いつもの光景なのだが自分の格好はとてもじゃないけど少なからず恥ずかしいからだ。まぁ、それを着こなしてしまう自分は(以下略)
そして既に長者の列と化してしまっている己のクラスを見て、ちょっと安心したのも事実。良し。案内できそうにないわ。
だってこの3人がメイド喫茶なんてのに入ったら正直気持ちわる…おっと。ここら辺は言わない方が得策かもしれない。あっはは。何も言ってませんよ八戒さん。
兎に角今日は呼び込みだけな私は…やはりと言うべきか、バックれることにしました。

「じゃあ一緒に回ろうよ!」
「そうですねぇ…僕達は他に行くところがあるんで三蔵と2人で楽しんできてください」
「…俺はちゃんとだな、」
「悟浄?」「はいスミマセンデシタ」


「行くぞ」
「うん!」

気を使ってくれたのか八戒は悟浄を嗜めると早々に行ってしまった。きっと風紀委員の見回りの仕事を悟浄に押し付けるに違いない。ご愁傷様です。
悟浄がいい生贄になってくれたお陰で2人きりになれた私たちは当ても無く校内をぶらつく事にした。と言っても最終的には屋上に避難するのだけれども。
こんな人が多い中こんな格好であまり出歩きたくないってのが本音だ。明日になったらもっと多くなるんだろうなぁ…。
あ!そういえばまだ三蔵から何も言ってもらっていないことに気がついた。…まあり期待はしてないけれど聞くだけ聞いてもいいよね?

「ねぇ三蔵。似合ってる?」

私の今回の最重要目的はこれかもしれない。昨日お父さまだけにお披露目したから三蔵は初見だ。そんな彼に褒めてもらいたいと言うのは我侭だろうか。

「ふん…家庭科部もいい仕事してるじゃねぇか。センスがいい。…馬子にも衣装って奴だな」

そろそろ殴ってもバチは当たらないよね?ね?ってか親子揃って同じ事を…カレーは1ヶ月でいいんだったけね。
まぁ、褒められてるのは家庭科部の様な気もしないでもないようなそうでもないような。イヤ、実際そうなんだろうケドちょっと微笑をくれたのでソレに免じて許してあげるさ。
なんて心の広いちゃんなんでしょうかっ!あーぁいやになっちゃうなぁ!

「……悪くはない」

しょうがないから許してあげる。一回チラ見した部分は貧乳だといいたいのか。目で訴えんなこの金髪ハゲ野郎め…!
…これ以上なんか言うと『今度は俺の見立てた奴を』とか言いそうだ。それだけは阻止せねばならんのだよ諸君。この不器用な男を煽ってはいけません。
まぁ今は、それだけでいいのさ。正直に『可愛い』とか言われたら反対に不気味だもんね。うん。ありがとう。

「そろそろ屋上に避難しようよ。私この格好であんまり出歩きたくないんだけど」
「もう満足したのか?」
「うん。三蔵が一緒に居るだけでもう満足ですから!」
「…そうか」

ねぇその赤くなった耳は照れ隠し?って前にもこんなこと言ったなぁ…ではなく、言ったこっちまで照れるから突然素直な反応しないでくださいよ。
さり気無く手を繋いでくれるその手が暖かかったって事は内緒にしてあげるからさ。たとえ後ろでデバガメやってる大馬鹿2人が居ようとも。
あっはは。2人とも八戒のお手伝いですか。三蔵今なら気付かないだろうからちゃっちゃと逃げちゃったほうが得策よ?後でどうなるかわかんないけど。
そんな大馬鹿2人を背に、私たちは屋上に続く階段を上る。…下からパンツ見えそう。



+++



ったく。こんな格好してるなんて聞いてねェよ。…直視できない俺はガキか。元がいいから余計に目立つじゃねえかよ。
それにしてもこのデザインはよく出来てると思う。まぁ、俺が家庭科部に提供した…イヤ、なんでもない。
でも着せた馬鹿はあの世行きだ。大方担任だろう…アレは金の亡者だ。去年担任だったから間違いない。
そしてこの本当の黒幕は八戒だ。(冒頭参照)この為に風紀委員に居座っていたかと思うと不思議で仕方ない。アイツなら何をやらんでも、脅しなんやで…ココは気にしたら終わりだな。
ってかアイツのせいで大注目じゃねぇか。野郎共の目が尋常じゃねぇ…。少しでも俺が離れたらよって集ってコイツに手を出してくるだろう。
それだけは阻止せねばならん。ま、俺が離れなきゃいい事だ。それに離す気も毛頭ないがな。もしそれでも手を出してくるってんなら…殺す。
あと、後ろでこそこそ着けて来る大馬鹿2人も後で抹殺だ。ハッ…覚悟しておくんだな。目が合ったから伝わったと思う。だが許さん。
兎に角、今はこっぱずかしい台詞を言ったをこのまま持ち帰るのもいいと思うが、どこぞのエロ河童になりかねんからとりあえず我慢だ。
階段下から覗き込んでこようとした奴等は俺の殺気で慄いたようだから早々に屋上のドアを開けた。肌寒くなった風から守るように上着を貸してやるのを忘れずにな。

…それにしても、寒ぃ。




はこんなにいのに

(俺の心の中は黒い感情で埋め尽くされていて、コイツを見てると更に増えるのは自然の摂理だと思いたい)




ATOGAKI
三蔵サマ変t(ry)そして八戒はいつもどおり(笑)最後の黒い感情と言うのは嫉妬とか、欲情とかそんな感じ。やっぱ変t(殺すぞ)
ヒロインちゃんは流石にカレー1ヶ月はキツイだろうと、ビーフシチューとクリームシチュー、シチューに白いカレーと順々にしたとか(大して変わらないのは色々物語ってるんです)
新たに設定が加わりましたが三蔵サマの高2のときの担任が今ヒロインの担任になっていると言う…どうでもいい話(爆)
それにしても…メイド服のデザイン提供が三ぞ(殺すぞ)だなんて…!自分を棚に上げて担任に悪態ついているからたちが悪い。(お前もな)
家庭科部「衣装デザインの提供者はハヤブサ太郎様です。金髪でタレm何も言っていません許してくだキャァァァ…」