季節は移ろう寒さが身に沁みてきた今日この頃秋の空。
でも日中の日差しは暖かく境内を陽気に照らす。
そんな中、縁側に3人。いつもの如くお茶会を開く私たちが居る。
このお寺の住職でもあるお父さまと坊主見習い時期後継者三蔵、それに居候の私だ。
淹れたてのお茶はとてもおいしく、ほのかな甘さの和菓子と絶妙なハーモニーを奏で私の口の中に甘い余韻を残した。
うん。平和で結構。
彼と彼女の青春ストーリー2
「もう、秋なんですねぇ…あちらの紅葉が美しいですよ」
「そうですね。1本しかない紅葉も珍しいけど」
「…それは言うな」
お父さまの微妙な趣味が織り成すこれまた微妙な季節感をかもし出す境内。
四季を感じられるのは大変結構な事なんですが、その風物詩とも言いますか、定番の木々は所世話しと植えられている。
紅葉1本、それに桜の木が数本、その他諸々…。どうせなら1つに絞ってくれても。それか場所を変えるとか。
そんな私の意見なんか聞いちゃくれないマイペースな住職はいつも通りのほほんと其処に佇むだけである。
「お彼岸も終わっちゃいましたし暇ですよ。なんかいいことありませんかねぇ」
「彼岸だけでも面倒くさいのに他に何を望むって言うんですか」
「そういえば…もう文化祭の時期なんじゃない?確かコノ前話し合いがあった気がする」
「文化祭ですか。いいですね学生さんはイベントが沢山あって。私も今年は見に行っちゃいましょうか」
「別に面白くもなんともありませんよ」
「えーんなこたぁない!今年は冥土喫茶…」
「漢字がおかしいのは気のせいか…?それにメイド喫茶はもう時代遅れだ」
他愛も無い話だけど、私にとっては三蔵と一緒に出来る残り少ないイベントだったりする。文化祭は。
今年の体育祭はそれはもう盛り上がった。私的には晒し者にされた気が否めないけれど。
もう半年もしない内に一つ学年が上の三蔵達は卒業だ。私と悟空はまだ残るけどやっぱり寂しいのはあたりまえで。
今まで一緒だったみんなと離れるのは悲しい。中学の時も同じ思いをした記憶がある。
でも小中高とエスカレーター式の学校だからそんなに離れてるって感じがしなかった。
でも大学はきっとみんなバラバラになるのだと思うと…やっぱり寂しいものだ。
ま、三蔵とは家が一緒だからそんな心配はご無用なんだろうけど。
「今年は何やるんだろー」
「これを期に授業をサボらずに出てみてはどうですか?」
「俺はそんなイベントなど興味ねェからだけ出てろ」
「そりゃないぜハニー」
「誰がハニーだ誰が!」
「ふふふ…江流にしてみればが『ハニー』ですよね」
「それは失敬。『そりゃないぜダーリン』!」
「…勘弁してくれ」
心なしか嬉しそうなのは黙っておこう。三蔵サマそっぽ向いちゃって照れてるんでしょ?アイタっ!殴らんでもいいでしょーが!これでも一応彼女なんですけどー?
そう言ったらまた殴られた。すっごい音がしたのは気のせいではあるまい。お父さまも見てないで助けてってば!
呑気に「が本当の娘になる日が来るのもそう遠くはないでしょうね」なーんて言ってますが…。私も居候の身なのでその一言が嬉しかったりもする。
お父さまが望む限り、私は実の娘じゃなくてもココに居座りたいです。だって家事も碌に出来ないなんて、目を離せませんもの。
コレはどっかの2人みたいな事になりそうだと、吹き抜ける風に身震いを一つ。風だけじゃないよこの悪寒は。
そんなこんなで日中の日差しが少し傾いた頃、冷め切ったお茶を片し私たちはお茶会をお開きにした。
お父さまのお体に触るし―別に病気持ちなワケでもないが―最近は少し肌寒くなってきたので、夏のように遅くまで居れない。
それにそろそろ晩御飯の仕度をしなければならないので、続きは今晩のお月見にでも。この際未成年だと言うのは愚問である。今更、とも言う。
あぁ。こんな日々が永遠に続けばと願ってしまう私は愚かなのでしょうか。
過ぎ去る時は早すぎて
(今、この時があるからこそ未来に繋がる道ができる、と誰かが言っていた気がする)
ATOGAKI
結局書いちゃったのね。わかってる。今回はヒロインの居候がテーマであります。大した事ではアリマセンが掠る程度に書けたらと(駄目だこりゃ)
2部の入り方を間違ってしまった。幼児期から始めようとしてました。あっはは!次回に続く←