彼と彼女の青春ストーリー 番外編
穏やかな春の陽気に誘われ、は日向ぼっこをしていた。吹き抜ける風は心地よいもので自然と彼女を夢の世界へと誘うかのように――。
「ねぇ八戒ー。今日の風紀委員の仕事は無いのー?」
「そうですねぇ…どっかの不良児達が問題を起こさない限り、特に無いですよ」
「私も入ってたりする?」
「さぁ。それはどうでしょうか。も問題を起こさないと言うなら除外してさしあげても構いませんが――」
「無理だね」
「では、僕の方も無理ですね」
クスリ、と僕が笑うと彼女もつられたかのように笑った。その笑顔が僕にはとても穏やかなものに見えて、なんとなく三蔵に嫉妬したのも当然の事かもしれません。
徐々に瞼が落ちていく彼女は寝るのも秒読み寸前。ですがそんな時、邪魔者が現れたのです。そう、鬼畜の塊が。
「貴様…呼び出しておいて寝るたぁいい度胸してるじゃねぇか…!」
ハリセンの小気味良い音が僕と彼女が居た屋上に響き渡ると、鬼畜の塊――三蔵は満足気に、怒り始めたの言葉を物ともしない動作で隣に腰掛けた。
こんな光景は日常茶飯事で、他の三蔵曰く『大馬鹿2人』が居ないだけ静かなものです。いつもそうなら僕だって苦労はしないんですけどね。
尊大な物腰な三蔵は未だ文句をたれるなど眼中に無いように懐から煙草を取り出し口にくわえ火をつける。…僕が風紀委員長だと知ってるんでしょうか。
まぁ、僕だってなりたくてなったわけでもないんでそこら辺は見なかったことにして差し上げます。そのかわりと言っちゃ難ですが、仕事は押し付けても構いませんよね?
そんな僕の心情を知ってかしらずか、若しくは感じ取ったのか三蔵は僕を睨むと何だ?と言いたげな視線をよこしてしました。
分っているくせに…とことん嫌味な人ですね。貴方は。
「で?何の様だ」
「んー?特に何も。ただ気持ち良さそうだからお昼ね一緒にしようかと思ってさ」
「くだらん事で呼出してんじゃねぇよ」
とか言って寝転んだ三蔵は案外海見と同じ事を思っていたのかもしれません。爺臭いというかなんと言うか…。
「誰が爺臭いだって?」
「何も言って無いじゃないですか。それより寝煙草は危険ですよ三蔵」
こういうことには聡い三蔵は舌打ちを一つすると屋上のコンクリートに煙草を押し付けた。…大丈夫です。僕は何も見ていません。
「まだ来ないなー。あの2人また喧嘩でもして先生困らせてんのかな?」
「なんだ、あいつ等も呼んだのか。煩くて昼寝どころじゃなくなるだろうが」
「貴方はと2人きりでお昼寝がしたいだけでしょう?」
「なんだー!そう言ってくれればそうしたのに…」
「誰がそんな事言った!別に俺は――」
「ふふふ…では僕はお邪魔のようですからあの2人の喧嘩を止める為にも、行きますね」
来ない二人に不満の色を隠せないで居るに、三蔵は途端不機嫌になる。本当は来たときに僕が居て既に不機嫌になっていたのも見間違いではないでしょう。
お言葉通り邪魔者はさっさと退散させていただきますよ。それに、この2人のラブラブっぷりを間近で見たくありませんしね。
僕はすばやく立ち上がるとと三蔵を背に屋上を出た。ドアに耳を傾けていた大馬鹿2人組みには後できっちりオシオキが必要でしょうし――。
傍から見れば虚しい3人の背中はきっと…同じ事を考えているのかもしれません。
なんで三蔵が先なんだ、と。
別に羨ましく思っているわけではありませんよ?ただ、1番女性に興味が無かったあの三蔵に先を越されて…。いや、三蔵はしか見ていなかったならでわの結果だと思います。
まぁココは一つ、祝福をしましょうか。いつまでもあの世話の焼けるカップルが末永く一緒にいれますように――。
宴会の準備は整っていますよ?
(ただ騒ぎたいだけだろうが、と悪態吐いた三蔵はコノ中で1番嬉しそうだったなんて…言ったら怒られちゃいますかね、やっぱり)
ATOGAKI
番外編。八戒からの視点と言う事で多分本編終了の直後だと思われ。今執筆している時点ではまだ完結してないもので(お前な…呆)
なんか2部が出来そうです。うっわ!←
↑既に出来てます。