私は恋をした
それは日が沈み、日が昇るまでのほんの僅かなひと時しか会えない王子様
私は恋をする
それは叶わないと知っていてもその隻眼の瞳に吸い寄せられるかの如く
だけど私は御伽噺のお姫様のようにはなれない
夜光狂想曲 No.7
― 勇敢は時にして 怖い物知らずの愚か者になる ―
なぜ、私はホスト同士の派閥争いみたいなものに巻き込まれているのだろう
目の前にベットの上で横たわる元親を見ては思った
こんな強そうな元親を気絶させる事のできる人たち、の中に"恐怖"が少しずつ襲ってくる
人、争い、生死、云々…
今になって気付く
あの時危険な路地裏に何も省みず飛び込んだ。それは元親がいたからであり、死に行くつもりなど毛頭なかった
でも後から政宗にこっ酷く叱られてしまったのだ。そんなに親しくない私みたいな小娘に、本気で
それは本当に心配していたからなのだが、は不謹慎にちょっと喜びを感じていた。あのクールな政宗の一面を見れたことと、心配されていた事にだ
なんか自分が特別な存在なのではないのだろうか、などと言う思い上がりな考えが脳裏を過ぎる。そんな事は、無い。絶対に
しかし説教の後に見せた、あの安堵した表情が頭から離れない。心の底から良かった、と思っている顔
またまた不謹慎だがときめいてしまった。その時の顔がニヤけて居た様で軽く頭を叩かれたのであった(軽くだったけど痛かった)
反省しつつは元親の額に乗せてあったタオルを冷水に浸し、絞りまた乗せる
この作業も何度目だろうか。一向に目覚める様子は無い
そろそろ本気で心配になってきた。と、その時
「お…れは…」
「え?」
微かに呟いた。部屋が静かだったので鮮明に聞こえたのだ。多分『オレは』と言ったと思う
唸り声と共に少し動く元親。ようやく意識を取り戻したのだろうか
嬉しさと、何を言っているのか聞きたいは元親の口元に耳を傾けた。途端
「オレは姫若子じゃねぇぇぇぇ!!!!!!!」
「ひぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!」
耳に激痛が襲った…痛い。痛いのだよ元親君
そうとも知らずいきなり叫びながら起き上がった元親はぜーはーと息を切らしている
一体彼に何があったのか…
「What was there!?!!」(何があった)
本人に聞く間もなくの悲鳴に駆けつけた政宗
コンマ数秒の早さだ。イヤ、それにしても早すぎる。早すぎるぞ政宗
「ん?如何したんだ?政宗」
「あ、政宗さん!元親さんが意識を取り戻しました!!イタタタタタ…グス」
「oh...It was good!!」(良かった)
「んお!お前居たのかよ!」
「一応居ました(耳、痛い)」
「Ha!丁度エレベーター降りたところでの悲鳴があったから何事かと思ったら・・・shit」
元親、の存在に今しがた気がついた様子。一体どんな悪夢に魘されていたのやら…
後で政宗がからかったそうな(楽しそうだった)
ここの宿舎は一応高級マンションみたいで一つ一つの部屋が防音になっている。他の皆は聞こえず今頃は談話室を出て各自部屋に戻っている事だろう
政宗は1人早く元親の様子を見に(ってかを見に)来ていたらしい…防音になっているのにも拘らず廊下での叫び声が聞こえた政宗。あんた一体なんなんだ
「愛の力だ!」
「へ?」
「オイオイ政宗、何言ってやがる?」
「何でもない」
ともかく、だ。元親は見事生き返った(表現おかしいぞオイ!!)
本当はまだ頭の後遺症とか心配して安静にしていた方がいいのかもしれない。でもそんな事を言ってられない状況
元親には悪いが早急にこちらの作戦準備に参加させなくてはいけないのだ
「緊急事態だ…元親」
「あ?…そんなにやべぇのか」
「yes.今さっき連絡があったんだが重要なバックについている幹部が何人かやられたらしい」
どうやらと元親がこの部屋に居る間に新たな情報が舞い込んできたようだ
政宗の様子からただ事では無いと悟った。は邪魔にならないように氷水が入った桶をかたしておく事にした
それにしても事態は思ったより深刻のようだ。まだ社会に入りたてでこういう世界には初めての
まったく頭がついてゆけない。何か政宗の役に立ちたい。しかし右も左もわからないような小娘に何が出来ようか
小さな脳みそをフル回転させても何も、何も浮かばなかった
こんな自分が情けない…
(如何すれば、如何すればいいの?)
何も答えは見つからぬまま、残酷にも時は流れる
あぁ、もうそろそろ夜明けだ。王子様ともお別れの時間が刻一刻と過ぎてゆく
「ぅ親方様ァァァッァァ!!!!!この幸村、何かお役に立てればと参ったしょぞんにございまするぅぅぅぅぅ…グヘァ!!」
「ちょ、旦那〜。一応怪我人居るんだから静かに…って床に沈んじゃったよ」
「おい、猿飛よぉ…一応ってなんだ?あぁ?オレは普通のか弱きけが人だコラァ」
「HA!コレがか弱く見えるか」
「くだらん」
朝、みんな仮眠を取り早々にオーナーも集まって会議が行われた。場所はいつもの店。BASARA店内だ
朝から出勤なんて滅多に無いメンバーにとって、ちょっと乗り気ではないらしい
でもそんな事は言ってられないので、一同我慢
初っ端から幸村は親方様の姿を確認せず、叫び飛び込む、が。親方様の華麗な一撃。見事
しかも『お前がやることは無い』との事。哀れ幸村(ちーん)
佐助はいつもの様に保護者。元親にも軽い喧嘩を売る
もちろん真に受ける元親。本当に頭大丈夫なのか?
そんなこんなでいつもと変わらないメンバーに場が和む
しかし、どこか緊張感を持っている様だ
ここにいないメンバーを含めやはり今回の件は一同に大きな衝撃を与えた
今わかっていること
それは"主犯は半兵衛と秀吉"それくらいだ。目的もわからなければ行動も読めない
打つ手無し。そう思われたのだが…
一方黒塗りのベンツ内
そこには政宗の御付、小十郎とは居た
小十郎が運転する社内は静かなクラシックと、どこか居心地の良い空間
主の言葉に忠実な執事みたいな人は何もかも完璧なのだと、は思った
しかしソレを言ったら『嬉しい言葉だが、完璧な人間なんてこの世に存在しないのさ』と、君主と話す時とは違う言葉遣いで言われた
やはり敬語は主にだけなのか。でもどこか優しいニュアンスを持った声に嫌われているわけではない、とは安堵する
前から、スーパーで合った時からこの人はどこか気を抜けない人と思っていた
にこやかに笑っていても、いつもの仏頂面をしていてもなにか恐怖を覚えるほどの威圧感
イメージ的に言うと、番犬。警察犬。ドーベルマン。…全部犬だ。悪い意味ではなく。立派だ。は何処か警戒心をかもし出す小十郎を純粋に尊敬した
(私もこの人みたいに政宗さんのお役に立てたらいいのにな。頭良さそうだし…強そう)見た目はこんなごつくなりたくないけれども
イヤ、しかし。何故が小十郎が運転する車に乗ってるのかと申しますと…
昨日ってか今日になりますが、氷水の入った桶を片し終わった後の事
元親の部屋に戻ると話しはすんでいた様で政宗と元親は寛いでテレビを見ていた
そこにが入ってくると政宗はテレビを消し、政宗が座る反対側のソファに座るよう命じた(さすが政宗さん。有無も言わさぬ命令)
元親は長時間寝ていたので起き上がりストレッチをベットの上で開始。気になります。元親さん
そんな光景を横目に政宗は話し出した
内容は今後の事。
「夜だとは言え一回奴らに姿を見られているんだ。はココに住み込み、しかも送り迎えつきにする」
だそうだ。
他にもぐだぐだ説教じみたことを言われたが先ほども言われたことなので気がつかれないように受け流す事にする(Hey.ちゃんと聞いているのか!!)
しかし、驚いた。
もうコレでおさらばだ。と言われるのかと思いきや爆発発言。しかもしかも住み込みとか、ありえない
そうか、コレは夢だ。なんてわかりやすい現実逃避してみても何も変わらない状況。アレ?どう返事すればいいの?私
こんな今後の人生を左右するするような言葉いきなり言われても困る。ましてやこんな時だ。私なんか足手まといだし、問題が増えるのでは…?と、常人の考えが過ぎる
普通の人間なら断るだろう。だがの脳内はそれだけではない様子
(政宗さんと、もっと、もっと居られる…?)
自分の考えは自重して欲しいものだ
そんなこんなで、実はまたもや有無も言わさぬ言動での必死の考えも無駄に、今、このような結果に終わったのであった
「すみません。今大変なことになっているのにも拘らず送り迎えなんて…」
隣で無言で運転し続ける小十郎には言った。話しかけるのに結構勇気がいるのがわかった
勇気を振り絞って言った言葉はあっけなく返される
「コレは政宗様が決めたこと。それ以前に貴方を巻き込んでしまったのは我々の責任であるからにして、コレくらい当たり前の事だと思っている」
「…そんな大層な」
言葉は事務的なんだけど何処か穏健さを持っている小十郎さんには少し面食らった感じだ
「それと、コレはオレの個人的な事だが…政宗様は貴方にであって随分変わられた。感謝しているんだ」
「変わった?そ、そんなきのせいですよ!!」
「オレは幼い頃から政宗様を見てきたんだ。些細な変化にも気付くと思っているのだが?」
「すいません!失言でしたね」
感謝される覚えは無い。しかし小十郎さんが言っているんだから確かなのだろう…(ちょっと怒られたし)
「イヤ、そうじゃないんだが…何と言うか俺はあまりこういう時の言葉を持ち合わせていない。気を悪くしたらのなら謝る」
「違うんです!私、何も出来ないから…政宗さんの事もあまり知らないし、それに何にも役に立ててない…」
「フッ…そんな事は無いぜ。言い切れないが、少なくとも政宗様にとって貴方は必要不可欠な存在になってきているんだ。自信を持ってみろ」
「私には持ったいないお言葉です。政宗さんに何もしてないのに」
「貴方はそう思っているかもしれねぇが、周りは解るんだ。あの、寂しいお方に光が射す瞬間がな」
「寂しいお方・・・?」
「おっといけねぇ。ココからはお前と政宗様の問題だ。オレが立ち入っていい話じゃない。後はお前しだいだ」
なんかどんどん口調が変わってきていたのですが。なんなのでしょうか。
ではなく、小十郎の一面が見れただけでも良しとする。
最後の言葉が気になったけどこれ以上聞いてはいけないことなのだと、は思う
これからはしだい。何が出来るのか、如何すれば良いのかもう一度良く考えることにした
会話と思考の途中で目的地についた2人は夕方に迎えの約束をし、各自行動することにした
はまず、荷物の整理と、部屋の手続きだ。コレは政宗に言われたことで、本位ではないが引越しの準備と言うわけだ
何も無い部屋だが一日では終わると思えない。なので2日時間を貰い、その間小十郎の送り迎えをしてもらうことになっていた
まぁしかし、申し訳ない気持ちが溢れてくる。小十郎さんにもだが、他のメンバーにも、ほんとに良いのか?と言う疑問
あっちは今ものすごい深刻な状況にもかかわらず、だ
命令した政宗の心理も、何も解らぬまま、はそれに従うしかなかった
一晩の夢は覚めやらぬまま、私はどこまで行けばいいのか
終わり無き道をただひたすら歩く私は居た
困惑と不安、恐怖を胸に抱きながら刹那の幻想に迷い果てて
「秀吉ィ…見てご覧?あの困惑に満ちた表情を…アレのあんな姿を見ただけで僕は興奮が収まらない」
「半兵衛よ。まだ何も始まったばかりぞ」
「解っているさ。でも、ちょっと待ちきれないんだ。わかるだろう?…君にもさ」
「わたくしは ただびしゃもんてんのみちびきのままに こうどうするのみですよ」
「フフフ…君も罪な人だねぇ。謙信君?」
「…」
「ま、これからは君の行動に期待するよ。楽しみにしてるから。僕の忠実な僕としてね」
手のひらの
上で踊る人形
(さぁ、踊り狂って僕を満足させてよ)
続く
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ATOGAKI
遅くなりました。BASARA長篇更新です
アレ?なんか最後…おかしいな。またとんでもない展開にしちゃったよ。
ま、結構今考えているので行き当たりばったりな物ではなくなって行くと思われます。わからんな(オイ)
それにしてもこの半兵衛、まったくの別人である。
そこツッコんじゃいけないところだからね。だめだからね。
ってか今回は小十郎と打ち解けよう!みたいなサブタイトル希望 笑
実は結構気に入られていますよ。って事。他の皆も絡み少ないけどヒロインの事好きです。愛されてますよー!
文才無くて困ったなこりゃ。ってか皆とのからみのネタが思いつかないだけであって、やっぱり政宗さん大好きなんです管理人はw
逆ハーとか書けないタイプなんですあっはははは
ではでは。一話一話が異様に長いホストBASARAですけれど、これからもお付き合い願いたいしょぞんでございます_orz
ここまでよんで下さってありがとうございました!続きはなるたけ早くしたいと想います!では!アディオース!!