「ねぇ、お姫様の君。正直に吐いちゃいなよ?…痛い目にあいたくなかったらね」
「……」
パシン
男は手にもっている鞭を床に叩き付ける。その音にピクリと反応を示す囚われの姫――その眼に宿すのは強い光
反抗的な瞳に苛立ちを覚える半兵衛
今現在、案内された部屋で繰り広げられる拷問にも似た光景に息を呑む間も与えられない
部屋から謙信が出て行った数分後に半兵衛達は再び部屋に訪れた。その手に鞭を持ち凶悪に歪んだ表情を貼り付け滲み寄って来る
―狂気
何故彼をココまで追い込んだのか
そんなになるまで政宗に対する―復讐心?―憎しみ?―を抱え今まで生きてきたのだろうか
彼を救う術は無いのだろうか
は考える
人はこうも人を変えられるものだろうか
夜光狂想組曲 No.13
― 任務:お姫様奪還作戦開始 ―
「で?あいつらの本拠地ってやっぱり店なわけ?」
「あぁ。多分其処に居る筈だ」
「でも、あそこには”あの人”がいるはずでしょ?ちゃんは大丈夫だよね?」
「…正直わからない。謙信殿もある意味”囚われの身”両方守る事は難しいだろう」
車を走らせ早30分。BASARAを出て佐助と小十郎は夜の街を徘徊していた
正確には敵の本拠地―ホストTOYOTOMI―に向かっている
焦る気持ちを抑え、少しの希望に想い馳せ…
「間に合わない間も知れない…イヤ、オレ様はかっこよく救い出してみせるよ♪」
こんな状況でも軽口を叩けるほど少しは落ち着いてきたのだが小十郎はそうも行かない
店に置いて来てしまった政宗の事も気がかりだ。何せ主君を裏切ってまで飛び出してきたのだから
「コレでに何かあったら…やはり俺は腹を切る」
「ちょ、こじゅさん!こんな時に何物騒な事いってんのさ!?」
「致し方なかろう!俺は、俺は…」
「良いから前見て運転してよ!事故ったら元も子もないんだから!」
「…このまま死んでしまおうか…」
「待って待って待って!!俺様まで巻き込む気?!お願いだから勘弁してよホント!!」
思わぬところで命の危険に晒される哀れな男、佐助。ココに眠る
「死にたくないからね!!!」
意外にネガティブな小十郎だった…
それから走ること10分。ようやく目的地に着いたらしい
(命あってよかった…)
余計なところで肝を冷やした佐助は安どの表情を浮かべた
しかし今は敵目前。気を引き締め車をでた
店のドアには『Closs』の文字
どうやら今日はこの舞台の為に貸切になっているらしい
「面白い…この小十郎受けて立つ!」
「あんたって人は…後ろ向きの癖に血気盛んなこって。ま、俺様も気合いれようかなっと♪」
佐助は無造作に足でドアを蹴破った
さぁて、正面突破と行きましょうか
+++
所変わってとある集会場
ココは地下に位置する夜の猛者、四天王の集まる会議室のようなものになっていた
30畳ほどの一面に畳が敷き詰められ、真ん中付近には卓が丸く置かれていて人数も比例して着席している
上座に位置するのは四天王を更に取り締まる地位に位置する老人―島津のじっちゃん(通称である)―がただならぬ表情で佇んでいた
ちなみに言うと辺りのホスト等を纏め上げる会長だ
そして左右2人(+α)ずつ四天王が鎮座している
1人は長政。右隣には妻のお市。その右隣にはBASARAオーナーの信玄公
向かいにBASARA店長?信長。信長と島津の間に家康だ(背後に忠一)
信玄公と信長の間に空席が2つ
どうやら欠席のようだ
しかしこの会議の話題の中心はこの欠席者2名について
「…裏切りって事か」
真剣な面持ちで家康が重い空気の中声を発した
「許せぬ!悪はこの我が成敗する!!」
「長政様、落ちついて…」
「こんな時に何を言っている!市!!」
夫婦喧嘩が勃発しようとしている時、信玄公が口を挟む
「お主の言い分もわかる…だが落ち着かんとしてどうするのだ」
頭に血をのぼらせた長政にいつもと違う信玄公。やはりと言うべきか神妙な面持ちで淡々と紡ぐ
きっと内心は苦悩な表情をしているに違いない。先ほど政宗の事は元就から連絡が入った。しかし今は…
「独眼竜が慕う女が攫われた、と?」
「アヤツも人の子であったと言う事だな!」
杯を傾ける信長が信玄公の内心を汲み取ったかのように言い、それに反応を見せる家康
全員この裏世界の情報を知り尽くして居るので、あの政宗が、と驚きを隠せずに居た
「春が来たっちゅうことばい」
重い雰囲気とは裏腹に重役会議は何故かずれていた…会長を筆頭に
このままでは話がまとまらなそうなので簡潔に説明しよう
今日収集がかかったのは昼
一応表の顔としても働いている重役達は薄々感づいていたのかもしれない
最近不審な行動をしていたTOYOTOMIと欠席者2名。なんらかのかかわりがある事は明白である
その事についての会議だ。今の会話では難航を極める(真面目にやってくださいby忠一)
欠席者2名に関してはワザと連絡を入れてない。どちらにせよ、今日来るはずもないのだから
「ほっほっほっほ。情報がはいったでおじゃる」
と、其処にこの場に似つかわしくなさそうな訪問者が1名。あまり会議などには顔を出さない顔面白塗りの今川である
片手に見事な扇子を携え開いている席に鎮座した
来るはずも無いと思っていた人物に席を用意し忘れた一同は心なしかめんどくさそうな表情を見せる
コイツが来ると余計ややこしくなると踏んでいるのであろう。正解だ
しかし今日はそうではないらしい
情報が入った。奴は確かにそういった
下らない内容だったら即座にぶん殴ってやろうとハリセンを用意するが信長の予想は外れる
「…今夜、動くと言っておったでおじゃるよ」
その一言でその場の雰囲気は一気に引き締まる事になった
「さぁて。ワシ等も行動するとするかのう」
会長は重い腰をあげた
「Hey!まちな、爺さん。物は相談なんだが…」
+++
場所は戻ってTOYOTOMI豪華スウィートルーム。未だに鞭を片手に半兵衛は尋問紛いのことをしていた
そろそろ堪忍袋も音を立てて千切れる寸前である
傍らに位置する秀吉は表情を変える事無く佇んでいる
今までに幾度もこんな光景を見てきた。半兵衛がキレるといつもこうだ
常備している鞭片手に制裁、否痛めつけるだけの行為
今まさにはその鞭の餌食にされそうだった
「いい加減にしなよ!僕は怒っているんだ。頭の良い奴はわかっているのだろう?」
「私は…!私は何も知らない!知っていたとしてもあんたに教えてあげられる事は何も無いわ!!」
「フン…!虚勢を張っていられるのも今のうちだよ?君は今どんな状況かわからせてあげる必要があるようだね」
「それでも私は、政宗さんの重荷になるくらいなら死んだほうがマシよ!!」
「そう。君がそういう態度なら…僕だって容赦はしない!」
パシン
の足に一線の後が残された
TOYOTOMIホスト専用控え室。そこに1組の男女が抱き合っていた
幻覚だろうか一面の薔薇が満面なく広がっている
「わたくしのうつくしきつるぎよ。よくここまで たえて きましたね」
「あぁ謙信様!!私は、私は貴方様の為ならばどんなに苦難の日々を送ろうとも貴方様を思うだけで、それだけで幸せです!」
「かすが…!わたくしもですよ!」
「謙信様ぁ!!」
「かすが!」
まさに薔薇色
「ところでかすが。いまここに あのむすめが とらわれているのは しっていますね?」
「はい…。でも私の力ではどうしようも無いのでございます…申し訳ございません謙信様!!」
「いいのです。あなたには これからやっていただく しめい があります」
「何なりとお申し付けくださいませ!」
「はい。あなたはあのむすめを にがしてさしあげてください。あのむすめは りゅうの”こいびと”です」
「まぁ!あの独眼竜に特定の娘ができたというのですか!?…珍しいこともあるのですわね」
「そういうことです。なのでわたくしは なんとしてでも あのむすめをすくってさしあげたいのです」
「なんとお優しい謙信様!わかりました。私に出来る事なら何でも致します」
「どうか、ぶじに…」
「貴方様のご命令とあらば命を懸けても…!」
「たのみますよ。わたくしのうつくしきつるぎ」
「はい!」
先ほど連絡が入った。コレは慶二からだ。今さっき佐助と小十郎が行き、しばらくして政宗も行ったと
あの小十郎が主君を差し置いて先に出て行ったと言うのだから驚いた
それほどの価値がある子なのだと。その裏切りは全て政宗の為、同時に友の為なのだとも
謙信とかすがは”その時”を待つことにした
「何奴…!」
「侵入者だ!正面から向かい打て!!!」
「ヒュー♪奴さんお待ちかねってか?」
「佐助!アンタは早くのところへ!」
「じゃ、こじゅさん後は任せたよ♪」
ホストTOYOTOMI正面玄関。その火蓋は切って落とされた
2人はドアを蹴破ると共に待ち受けていた全身黒ずくめの男たちと対峙すると共に早々に突破口を見いだしていた
多数に無勢。力の差は歴然とされていたがこんな奴ら小十郎だけで十分
佐助は隙を見て中央階段を駆け上る。小十郎は片手に木刀、懐に銃を忍ばせ次々と薙ぎ倒す
佐助も上から流れるように迫り来る敵を得意の体術と隠し武器を使い奥に進んだ
「絶対を助け出せ!!佐助!!」
「おーせのままに♪」
2人は各自与えられた使命と共に動き出す
「そこまでですよ!はんべえ!!」
「謙信君…どうやら君は裏切り者のようだね」
最上階スウィートルーム
其処には鞭片手に立つ半兵衛と傍らに秀吉が居た
部屋の奥には全身傷だらけの。痛々しい光景が目の前に広がる
謙信は美しい顔を歪め右手に真剣を持ち入ってきた
「謙信よ。あの女がどうなっても良いと言うのか?」
今まで沈黙を保っていた秀吉もわかっていたような口ぶりで言った
しかし謙信の後ろに居る者を見て無表情は若干驚きに変わる
半兵衛も気付いたようで苦虫を噛み潰したような表情になった
「かすがは このとおり かえしてもらいますよ」
「愚か者!その娘を傷つけて人間の風上にも置けぬ!」
「ふん。黙りなよ。僕達に雇われた身で有りながら敵に寝返った薄汚い女!!」
「…わたくしの うつくしきつるぎに それいじょう ぼうげんをはいてみなさい。ただではすましませんよ」
美しい容貌と裏腹に殺意を宿す瞳に怯む2人
その様子をは朦朧とする意識の中見ていた
あの謙信さんが、とか、あの女の人は確か謙信さんと熱々な光景を繰り広げていた綺麗な人など
少々場違いかな、と思いつつ理解し難い話は進む
「『意外に違う人かも知れない』?ホントだね。最初に来た王子様は君たちだったんだね」
「…2重スパイとはこの事か」
「騒ぎに乗じて来るとはね。でも一枚上手なのは僕だ!このお姫様をそう易々と渡すわけないだろう?」
「それは しょうちのこと。いざ、まいりますよ!」
「はい!謙信様!!」
臨戦態勢に入った
と、其処に…
「あらー?もう始まっちゃってんの?俺様としたことが一番乗りは失敗ってか?」
「さ、佐助君…!?」
「やーちゃん!本物の王子様登場♪」
現れたのは佐助だった
その姿は少しかっこよく見えたのは気のせいにしたい
ではなく、この場合は助かったと言うべきか
戦闘態勢になっていた4人に割って入るように軽口は益々言葉を紡ぐ
「ちゃんに傷つけた代償は高いよ?…覚悟は出来てるんだろうね?もちろん」
「弱いくせに何を言っているのかな?君は。望むところだ!」
「返り討ちにしてくれる」
「むだぐちをたたくひまは ありませんよ!かすが、さんをはやく!」
半兵衛VS謙信
秀吉VS佐助が幕を開けた
「さぁ、逃げるわよ」
「あ、あのかすが、さん?」
「私の事はかすがで良い。立てるか?」
「はい。なんとか…ごめんなさい。私のせいで…」
「何をいっている。コレはのせいなんかじゃない!全ては私のせい…!」
「そんなことないです!私さえ捕まらなければ!!」
「違う!コレは…」
あれ?なんか抗論してるんですけど?な2人を横目に佐助が欠かさず割り込む
「かーすが!今はそんな事言いあってる場合じゃないでしょーが…。仲良くなってるんだか、険悪になってるんだか…」
「猿は口を挟むな!馬鹿者!!」
「おーこわ!兎に角ちゃんを!」
「わかっている!」
なんとか攻防を繰り返す4人をすり抜けかすがとはスウィートルームを出た
「貴様は余所見をしている暇など無い!」
「おわっと!へ〜中々やるじゃない秀吉さんよぉ!」
秀吉の鉄拳を易々と交わし懐から武器を出す佐助
「ボーイ七つ道具〜なんちゃって♪」
手にもっているのはコルク抜き、栓抜き、アイスピックなどなどボーイがいつも所持している一見普通の物だが何かが違う
そう。全て凶器であり鋭く磨がれているのである
アンタは商売道具を何だと思っているんだ、みたいな
それでも鉄鋼を嵌めた秀吉には効果が無いっぽい
恐るべし鋼鉄の鉄拳!
「侮っちゃこまるな♪俺様だってこの裏世界で生きてきた人間よー?」
「そんな玩具で何が出来ようか!」
「あんたの欠点だってあるっしょ!その無用心の首元とかさ!!」
必要以上に磨がれたアイスピックを投げつける
しかしそれは右手の鉄拳に易々と跳ね除けられ、反対に体制を立て直す前に左手で拳を振るわれた
肩に掠ったがそれだけでも大打撃
見ないでもわかる程きっと内出血はしたであろう
でもそれはお得意の身軽さでカバーする佐助
少々痛むが構わず七つ道具を投げつけた。ちなみに道具は無限大だ
「へ〜意外にやるじゃない♪こりゃあおちおちしてられないねっ!!」
「貴様など本気を出さなくとも赤子の手を握る様なものよ!」
「幼児虐待反対っと♪じゃ、いっちょ行きますか!」
「させるものか!!」
思ったより苦戦を強いられる状況となった
「な、お前は…!!」
「……」
「そうか。そういうことか!貴様はスパイと言うわけだな!」
「……」
「風間、小太郎!!」
無言の一閃が放たれた
任務続行
(裏では何が起きていると言うのか。コレでは見方も敵もわからない…!)
続く
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ATOGAKI
長くなりますた
一体これからどうなるんでしょう…戦闘シーンは苦手なので省きます(オイコラ)
じっちゃんの口調が難しすぎるんで口数すくなくしました。ごめんなさい
これから怒涛の快進撃は続きます。とぅーびーこんてぃにゅー!!笑
ってか読みズラくてサーセンww
伊達さんがあんまり出てきてない!コレって伊達さん夢だよね?だけど謙信様とかかすがとか佐助がでまってます。
イヤイヤイヤ、これからですよwww(しねばいいよ!)
+++
修正しました。そしてゴメンナサイ!!
あんまりしてませんのです…; 誤字は最初に訂正しましたし…
やっぱコレでいいんじゃないかと思ってしまって、半兵衛とヒロインのやりとりを冒頭にもってきて、其処にあった政宗さんのココロの叫び(?)を次の話に入れました。
あるお方が勇気づけてくれたお陰です(ノ∀`*)みー君ありがとう!
そんなわけで、次回に続く…