呆然と立ち尽くしたまま窓の外を見上げた

其処には瞬く星々と真っ赤なお月様












 夜光狂想組曲 No.10
   ― 星に願いを ―































カランカラン

BASARA店内にドアが開いたのを知らせるベルが鳴り響いた
いつもの事で一同さして気にしなかったのだが其処に現れた人物に黄色い声が上がる

「おや?貴方でしたか。てっきり今日はお休みだと思っていたんですが…」

「あぁ。気が変わった。俺だってそんなに休んでいられねェからな」

受付に居た光秀と会話する男=政宗。着替えは済ませてある様でそのまま出られる格好をしていた
しかし少々気がかりなものを感じる。光秀…何故受付などをしているのか。本来光秀は裏方、めったに店の表には出てこない人物なのだ。
それなのにどうして受付など表舞台の事をしているのか。政宗は聞いてみた

「それはですねぇ、今日はちょっと佐助君がお客の女性と一騒動起こしまして、人為不足で私が駆り出されているってわけなんですよ」

「An?…それは災難なこって。」

「人事ではありませんよ?その女性は貴方の指名客なんですからね。今のところ1番貢いでる方ですよ?」

What?!と少し声を張り上げてしまった政宗は一旦落ち着き、その女の事を聞いた
そんで何を思ったか無言のまま店内へ

受付との店内の仕切りのカーテンを潜り、突き当たりにある両脇に螺旋を緩やかに描いた階段を降りる
その間に政宗に気がついたお客は黄色い声を上げる
今日は来ないかと思った!とか、いつ見てもお美しいなど…
最近休みがちの政宗が姿を現したことに感極まって涙するものもいた
そんな視線を浴びながら優雅に歩く政宗、その姿は正に高貴な竜のようだ

そして1番貢いでいる彼女と一緒に来る友人を見かけ、そのテーブルにつく
女は目を見開いて素直に驚いているようだ
そんな彼女に政宗は立ったまま謝罪を述べた

「本日は大変不愉快にさせてしまったようで、私から謝罪させて頂きたい」

「い、いえ…そんな、私達も悪かったのですし…」

「貴方方は何も悪くありません。コレは我々の責任ですから、本日は特別メニュー心行くまでご堪能していただければ、と想います。こんな事で許されるとは思っておりません。しかし是非償いをさせてください。姫。」

「で、では直美にも是非一緒に」

直美とは先ほど佐助と抗論し、出て行ってしまった女だ
心からの謝罪をした政宗は外に出た



















「おい。政宗の奴帰ってきたんだな」

「フン。大方振られでも何でもしたのだろう…当然の報いだ」

一方政宗が戻ってきた時丁度よく控え室からでてきた元親と駆り出されている元就
彼らはまだ知らない。政宗との間に有った事を

「あいつ、さっきの出て行った女のご機嫌取りに行ったのか」

「精々こっ酷く言われるのがオチだ。連れ戻せるわけなかろう」

だが。
元就の予想に反して数分後、政宗は女の腰を抱き寄せながら店内へと帰ってきた
佐助が起こらせた問題の女だ

店内に居た誰もが目を疑った。階段の頂上から全体を見渡すように、みんなに見せ付ける様に2人は立ちそして降りてくる
まるでカップルのように、夫婦のように自然と

「オイオイ、あいつ、元に戻ってねェか?」

「…」

は如何した?俺、あんな政宗の姿もうみたくねぇぜ!」

「…何かあったようだな」

政宗に何が起こったのか。それはみんなも思っていたに違いない
一同唖然と見ている様子に目もくれず政宗は優雅に降り立った







閉店後、ミーティングにて

今なら解る

全員が見て取れる。いや実際は見えないのだがそれほどまでにして政宗の様子は一目瞭然だ
そう。何か不のオーラを纏っているのだ
もしかして以前より話しかけずらくなったのではないか

「なぁ、政宗さん?一体何があったって言うんだい?」

勇者は居た。そう、恋に敏感の慶二だ
彼に賞賛を称えエールを送ろう

「Ha?何がって何だ?」

「いや、だからその、なんて言うか、だから、」

「…うぜぇ。消えろ」


 眼が冷たい
 

第一に思ったのはそれだった
その凍てつく様な眼差しを直にくらった慶二は息を呑む
横に居た小十郎でさえも、何も声が出なかった。声に出ないが心の中で確信してしまう


あぁ、また以前のようになってしまったのだ、と。


そんな政宗を中心とした雰囲気の中で1人、その場に似合わぬほどの笑顔で居る人物がそこに
佐助だ。彼は何を思って凍りつくような笑顔を浮かべているのだろうか

 眼が笑っていない

彼にもまた、知られざる心境があるに違いない


「ねぇ政、ちゃんはどうしたのさ?」


その呟きは誰にも聞かれる事なく消えていった





「An?あんな貧乏くさい女しらねぇな。やっぱり俺には貢ぐ女が好みなんでね」

佐助の呟きと同時に同じ問いが発せられた。声の元は元親だ
心なしか怒っているようにも見て取れる
それと同時に悲しみも帯びて

「オイオイ如何しちまったんだ?政宗…おかしいぜ」

「Ah?何言ってやがる元親。俺は最初からこういう性格だったぜ?」

「でもよ、「下がれ元親。もう良い」

元親の言葉を遮ったのは立ったままの元親の横に並び片手を静止させる様にした元就だった
困惑した表情の元親を背に一歩前に出る元就

「貴様などもう仲間でもなんでもあるまい。好きにするがよい」

以前の政宗をあまり好んでいなかったけど、仲間意識はあった元就だが、に出会う事で変わりつつあった政宗の事は関心していた
しかし、以前以上な有様に限界を迎えたのだろう。元就はそれを言うとさっさと店内を後にした
残された一同は元親同様、困惑した表情だ

それを陰で見ていたオーナー信玄は悲しそうに首を振った








政宗、様

貴方と彼女の間に何があったかは存じませぬが、貴方が決めた途ならば、私は着いて行く所存でございます

しかし、私は彼女もお慕いしておりますが故、どうすれば良いのか解らないのです

あぁ。貴方はどうしてそのような、悲しそうな眼をなさっているのですか?

この小十郎何もでき無いのが無念でなりませぬ

どうか、またあの素晴らしい笑顔を振舞った頃に…




「政宗さんの恋が消えた。俺には解る」

「やはりが関係しているのだと?」

「おや?いつから呼び捨てにするようになったんだい?めったに心開かないあんたが珍しいねぇ」

「あいつは救世主でもあった。政宗様をお救いしてくれるような、何かが」

「あぁ。ちゃんにベタぼれだった政宗さんがあんなんになっちまったのはなんでかねぇ…」

あの日から1週間が経った

合いも変わらず政宗さんは仕事に専念していた

話術で女に貢がせある程度は触れさせた

それがどんどんエスカレートして、まるで何かを忘れようとしているみたいだった


















――side TOYOTOMI


「さぁ、これからは彼の好きなpartyだ。君にはその餌にでもなってもらおうかな?」

「…」

「ねぇ謙信君、この子を別室におもてなししてあげてくれないかい?」

「わかりました」

「半兵衛、くれぐれも手荒なマネはさせるな」

「なんだい秀吉。そうか、君はこの子を随分と気にいってるみたいだったね。解っているよ。僕だって馬鹿じゃない」


そう言って見下ろしす椅子に縄で縛り付けてある女を見た
口に布を巻きつけられ何も喋れない状態の、

なぜ彼女はこのようなところに居るのか、
それは政宗が出て行った後、1週間後の事だった
街中で生気もなく歩いているところを半兵衛の率いる部下が拉致ったのだ
以前元親を襲った輩だった

己の身に起こっている状況も理解できずただ、何故謙信が此処に居るのか
そして何故自分は縄を解かれ、謙信と共にホテル並みの部屋に居るのかさえも、何もわからなかった

しかし1つだけわかる事が1つ

自分がこのままだったら政宗が危ないのだと、



眩しいくらいの夜景に眼を焼かれ、何も見えないまま、は涙を流した










思い出せないよ、政宗さん

貴方の姿も顔も声も何もかも




最後に見た夜空はどんなだった?



















叶わないのなら



いっその事、

(貴方の邪魔にはなりたく無いの。どんなに嫌われようが、だからこそ)














続く









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ATOGAKI

何故かサブタイトルが気に入ってます。でも出すところを間違えた。そんな気がします(苦笑

やっと10話目…こんなぐだぐだ来るとは想いませんでした
そして当初の予定より遙かに遅れている…!!
全て私の文才がない故にorz

展開遅くてごめんなさい。そして更新も遅くてごめんなさい!_orz


さてさて、これからですね。佐助と政宗の間は何が起こる?
そして拉致られたヒロイン…!謙信の思わぬ場所での再会に戸惑うヒロイン!どうなるヒロイン!(くどい)

内容ぐだぐだだけど、許してちょw
な管理人が送るホスト連載。向後御期待!←

最近不眠症かなー。寝れないや