このまま進めば光に辿り着ける。
だが、同時に絶望を見るだろう。
このまま退けば闇に落ちる。
そして、何も知らず楽になるだろう。
「私は――、」
銃を持つ手が震える。抑えるように両手に力を入れるが、震えは止まる事無く、逆に増すばかりだ。
後ろは闇。前は光。だけど、だけど。
「三、蔵・・・!」
私は走った。死に物狂いで、喉に突っかかる息苦しさを振り払い、我武者羅に走った。
私は知っている。このまま光に近づけば、絶望を味わうと言うことを。
それでも走らなければならない理由があったのだ。
たとえそれが、絶望へのカウントダウンだとしても。私は貴方に会いたかった。
「・・・――」
それは、地面に広がり今も尚、範囲を拡大していった。
まるで水溜りだ。足を踏み入れれば僅かに撥ねる。
周りに飛び散ろうが、貴方に貰った靴が濡れようが、構いはしない。
目を瞑る貴方の顔をもっと近くで見たいんだ。
「遅くなりました、ご主人様」
何が、従者だ。
何が、守るだ。
何が、
「『俺は死なない』、だ・・・」
嘘吐き。嘘吐き。貴方はいつも私に嘘を吐く。
『丁度いい、人手不足だったんだ。お前を雇ってやるよ』
嘘吐き。屋敷には従者が腐るほど仕えていた癖に。
『知り合いから貰った。少しは女らしい服でも着ていろ』
嘘吐き。本当は貴方が用意したんでしょ?不器用な癖にその上、下手な嘘を吐く。
『お前は逃げろ。心配するな、直ぐ追いつく』
嘘吐き。待ちくたびれて戻ってきちゃったよ。
『俺は死なない。必ずお前の元に、帰る』
嘘吐き。帰れないって、知ってた、癖に。
「この、大嘘吐きっ――」
嘘で塗り固められた嘘
(これも嘘だと言ってもう一度私に微笑んで)
***
久し振りの拍手がコレかァァァ!!すみませんでしたぁぁぁぁ!!!